ニコンは10月14日、新型フルサイズミラーレスカメラ「NIKON Z 7II」と「NIKON Z 6II」を発表した。Z 7IIは12月、Z 6IIは11月6日の発売を予定する。
Z 7IIとZ 6IIは、2018年に発売したニコン初のフルサイズミラーレスカメラ「Z 7」「Z 6」の次世代モデル。従来機種よりも性能を向上したほか、ユーザーから挙がっていた不満点を解消したモデルとなっている。
Z 7IIは、有効画素数4575万画素の裏面照射型センサーを搭載したモデル。シャッタースピードは1/8000秒~30秒。常用ISO感度は64~25600で、拡張で最大ISO102400相当までをカバーする。Z 6IIは、有効画素数2450万画素の裏面照射型センサーを搭載。シャッタースピードはZ 7IIと同じ1/8000秒~30秒をカバー。常用ISO感度は100~51200で、拡張で最大ISO204800相当まで対応する。
両モデルとも、メモリーカードスロットはCFexpress/XQDカードとSDカードに対応。Zマウント機では初のダブルスロット搭載モデルとなる。画像処理エンジンは、従来と同じ「EXPEED 6」を、新たに2基搭載した「デュアルEXPEED 6」として採用。連写コマ速度やバッファ、AF機能、動画機能を向上している。
連写性能は、Z 7IIが最大で秒間10コマ(従来モデルは秒間7コマ)、Z6 IIが秒間14コマ(従来モデルは秒間12コマ)。連続撮影枚数も増加しており、Z 7IIは最大77コマ、Z 6IIは最大124コマだ。連写時のクーリングタイムも改善しているという。
AF性能は、Z 7IIの493点、Z 6IIの273点というフォーカスポイント数こそ現行機と変わらないものの、低輝度性能を改善。Z 7IIは-3EV、Z 6IIは-4.5EVに対応。さらに静止画撮影時に使用可能な「ローライトAF」により、Z 7IIは-4EV、Z 6IIは-6EVまでカバーする。人物・動物AFは新たに動画撮影時も対応し、ワイドエリアAFも選択可能に。そのほか、AFのアルゴリズムを改善し、従来モデルよりも性能向上を図っているという。さらに、電源オフ時のフォーカス位置記憶機能を新たに搭載している。
動画は、両モデルともに4K UHD/30pのフルフレーム撮影に対応。Z 6IIでは、全画素読み出しによる出力に対応する。また、電子手ブレ補正機能も搭載。5.0段のボディ内手ブレ補正機構との組み合わせで、高い補正効果を得られる。フォーカスリング・コントロールリングの回転方向を変更できる機能も新たに搭載する。10bit HDMI出力時には、HDR(HLG)動画出力や、10bit N-Log動画出力に対応。有償オプションとして、12bit RAW動画出力にも対応する。なお、Z 6IIの4K UHD/60p撮影は、2021年2月を予定するファームアップデート以降の対応となる。
このほか、画像処理エンジンの性能向上により、EVF性能を向上。コマ間の表示コマ数を増加している。なお、EVFは0.5型 Quad-VGAの約369万ドット。視野率は約100%、ファインダー倍率は約0.8倍となっている。また、EVFや背面モニターのアイコン・撮影情報表示をワンタッチで消す機能を新たに搭載。動画撮影時の構図決めに配慮している。
ボディは従来通りマグネシウム合金を採用。防塵・防滴を配慮した設計としている。ボディサイズは、縦・横は現行機と同寸だが、奥行きは2mm拡大。グリップ部の握りやすさを改善している。また、コマンドダイヤルは刻みを荒くするなど、従来モデルよりも使いやすさを向上しているという。
バッテリーは、7月に発表した「Z 5」と同じ「EN-EL15c」を採用。従来モデルのUSB給電に加え、Z 5と同様にUSB充電に対応する。また、静止画モードで使用可能なパワーセーブ機能を新たに搭載。バッテリーの消費を抑えることができる。撮影可能枚数は、Z 7IIはEVF使用時で330枚、背面モニター使用時で380枚。Z 6IIは、EVF使用時で340枚、背面モニター使用時で410枚となっている。なお、撮影可能枚数は減少するものの、従来のEN-EL15シリーズも使用可能だ。
また、ニコンはあわせてバッテリーパワーパック「MB-N11」を発表。いわゆる縦位置グリップの製品で、カメラボディ同等の防塵・防滴性能を確保。電源オンのままバッテリーを交換できるホットスワップに対応するほか、同製品単体でのUSB充電にも対応する。
このほか、デジタルデバイス用アプリ「SnapBridge」を、Ver2.7にアップデート。従来の画像転送機能やリモート操作機能に加え、カメラのファームウェアアップデート機能を新たに搭載。デジタルデバイス経由で最新ファームウェアに更新できるようになる。
Z 7II、Z 6IIの両モデルとも、価格はオープンプライス。市場想定売価としては、Z 7IIのボディ単体が約40万円、Z 6IIのボディ単体が約27万円。Z 7IIは12月、Z 6IIは11月6日の発売を予定しており、両モデルとも10月16日10時より予約受付を開始する。なお、MB-N11の希望小売価格は税込み4万8950円で、発売は11月6日を予定している。
なお、ニコンイメージングジャパンでは、Z 7II、Z 6IIに関するスペシャルコンテンツ「THE NEXT CHAPTER -Zは、新境地へ。-」を、10月14日21時に公開する。
レンズ交換式カメラ市場において、フルサイズセンサー搭載機の需要は年々高まりつつある。また、ミラーレスカメラ市場も拡大を続けている。この状況の中で、ニコンは2018年9月にフルサイズミラーレスカメラ市場への参入を発表。Zマウント初代モデルのZ 7、Z 6、2020年7月発表のZ 5と、2年間でハイエンドモデルからエントリーモデルまでの3機種を投入してきた。Zマウントの発表から2年が経過し、ニコンは初代モデルの後継機であるZ 7II、Z 6IIを発表。カメラ市場でのさらなるシェア拡大を狙う考えだ。
新機種の開発に際し、ニコンは従来機ユーザーからの声を反映している。その最たる点がデュアルスロットの採用だ。Z 7とZ 6ではXQDカード対応のシングルスロットだったが、ユーザーからは「シングルスロットでは不安」という声が挙がっていた。前モデル開発当時はシングルスロットで十分だと判断していたというニコンだが、市場動向やユーザーの声を反映し、今回はデュアルスロットを採用した。
なお、従来のEXPEED 6を1基搭載とした場合、処理速度がデュアルスロットの要求スペックに届かない恐れがあったという。今回デュアルEXPEED 6を搭載したことで処理速度が向上したことも、デュアルスロットを採用できた理由の一つだとしている。
Z 7IIは同業他社のハイエンドモデル、Z 6IIはミドルレンジモデルを想定し、それら他社製品よりも低価格に設定。従来のZ 7、Z 6も併売し、フルサイズミラーレスカメラでは、Z 5を含めた5機種で、他社製品群に対応していくという。
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