昨今のテレワーク、在宅勤務拡大の動きは、既存のオフィスをどのようにすべきか、という新たな課題を浮かび上がらせている。出社する社員が激減したことでオフィススペースの縮小を決めた企業、本社を都心から郊外や地方に移す企業、あるいは複数に分散していたオフィスを1箇所に集約する企業など、対応はさまざまだ。
これまでのオフィスのあり方を考え直すきっかけになっているこのコロナ禍において、まさしくその働く場を作ってきた不動産業界のプラットフォーマーは、オフィスの未来をどのように描いているのだろうか。本誌CNET Japanが主催した「不動産テック オンラインカンファレンス2020」では、「働く場所から自由に。WorkingAnywhereの実現へ」と題したセッションを実施。LIFULLの代表取締役社長の井上氏と、ツクルバ代表取締役ファウンダーの中村氏の2人が、今後のオフィスのあり方について議論した。
不動産・住宅情報サイトの「LIFULL HOME’S」で知られるLIFULLだが、近年は「暮らし」をテーマに引っ越しや介護や地方創生などにも取り組んでいる。また、ワーケーションのトレンドを牽引する形で「LivingAnywhere Commons」という名称でコミュニティの運営も2019年から行っている。
このLivingAnywhere Commonsは、同社の代表取締役社長井上氏らが2017年に立ち上げた一般社団法人LivingAnywhereに、そのコンセプトを実現する「場」となるワーキングスペース兼居住スペースを提供している。現在は全国各地に8拠点展開し、2020年中にこれを10拠点に増加させ、さらに2023年には100拠点まで拡大することを目標にしている。
LivingAnywhereが目指しているのは、「ライフラインをテクノロジーでオフグリッド化することで、場所の制約から解放して、好きな場所で暮らし、学び、働ける社会の仕組みを構築する」というもの。つまり、テクノロジーを活用して、これまで不便とされてきた郊外や地方であってもより豊かに暮らせるようにしていく新しい取り組みだ。そのためにはインフラの整備が必須であり、なかでも仕事、教育、エネルギー、医療といった分野が鍵になってくる。
このことから、LIFULLでは、LivingAnywhere Commonsのノウハウをいかし、どこでも働ける環境を整える「LivingAnywhere WORK」というプラットフォーム構想を立ち上げた。
「LivingAnywhere WORK」は、募集からわずか2カ月で100を超える企業・自治体が賛同者として名乗りを上げた。中村氏が共同代表を務めるツクルバはそのうちの1社で、同社は中古・リノベーション住宅の流通プラットフォーム「cowcamo(カウカモ)」を運営するとともに、シェアードワークプレイス「co-ba(コーバ)」を全国約22箇所に開設している。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス