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急須を使わずおいしいお茶を--IoTで入れ方を最適化する「Teploティーポット」CEOインタビュー - (page 3)

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「好みの味へのパーソナライズ」と「おいしいお茶の提案」が売り

 ビジネスモデルとしては、Teploのハードウエア販売と茶葉の販売が2つの柱だ。

 「私たちに茶葉を卸している生産者は10前後ある。いろいろな縁があり、小さな農園から大きな農園、商社まで幅広く、大小は気にしていない。そのお茶にどのような背景のストーリーがあるか、どのような味の特徴があるかを基準にして選んでいく。商談会などにも積極的に展示しており、生産者に積極的にアクセスしていくことと、興味を持たれた生産者に声がけしてもらえるようにすること。どちらもやっていく必要があると思っている。現在は20種類の茶葉を扱っており、今後の方向性はユーザーと一緒に探っていきたい」と語った。

LOAD&ROADが扱う茶葉の一部
LOAD&ROADが扱う茶葉の一部

 Teploをお茶の商談会などで展示して試飲を提供すると、多くの生産者が興味を持ってくれるという。

 「Teploを見て『これを入れてみてよ』とサンプルをくれたり、一緒に試してみたりすることは多い。私たちも生産者のブースに行って試飲する中でTeploを紹介し、サンプルをいただいたりすることもある。私たちからアクセスしていく中で、門前払いされることは一切なくて、協力的だと感じる。『日本茶で茶こしを回すなんて邪道だ』というイメージを持たれる方でも、実際に試飲すると『意外といけるんだね』と感心される。そうすると『ちょっとこれで入れてもらえる?』とか、『この温度じゃなくてもうちょっと高くして』とか、研究心に火が付くこともある。Teploは生産者の方にも結構買っていただいていて、いろいろな実験をしてレポートをくれる方も多い」

 Teploが連携できるスマートフォンアプリは1台で、複数台との同時連携には対応していない。家族で使うというよりはパーソナルユースを中心に考えているという。

 本体に加えて、キーとなるのはアプリだ。「飲んだ後のフィードバックに応じてお茶の味の方向性を決めていくことができる。また、Teploは他社のお茶も使えるので、例えばユーザーが『こんなお茶を飲んだよ』と登録すると、その方向性のお茶をアプリで買えるように追加していくといったことも考えられる。スマートフォンを介することでユーザーとのコミュニケーションやフィードバックが可能になり、今まで見えてなかった部分が見えてくる。アプリを使うのはちょっと面倒かもしれないが、それを使うことで僕らは抽出条件を最適化したり、おすすめのお茶を提案したりといった形でユーザーに還元できるようにしていきたい」と説明した。

 現在Teploを購入しているユーザーは元々お茶が好きな人が多いと分析する。

 しかし、「僕らが本当にターゲットにしていきたいのは、現代のライフスタイルの中で急須を使っていないけれども、お茶やドリンクに興味がある方だ。そういう方にとっての“お茶のツール”として訴求していきたい」と展望を語った。

 スマートフォンでパーソナライズしたお茶を楽しみたいという先進的なユーザーと、古くからのお茶の生産者をつなげるというのもLOAD&ROADの役割だ。

 「お茶の業界はまだ注文が電話やファクスで行われていることが多く、そういう生産者の方々が私たちに興味を持ってくれてもアプローチまではなかなかハードルが高い。そういう方たちには私たちからアプローチして、その方たちの習慣に則った方法で卸していただき、一般消費者が買いやすい形で届けていく。お茶の業界の常識と一般消費者の生活の常識のギャップを僕らが埋めていくというのも私たちの役割だと考えている」とした。

米国での展開も視野に

 LOAD&ROADは米ボストンで創業したが、「現在のハードウエア開発拠点は日本で、共同設立者がインド人のためソフトウエア開発はインド、製造は中国で行っており、ボストンは米国市場の代理店のような的になっている」という。

 日本市場でのローンチを果たしたが、Teploは2019年1月に米ラスベガスで開催された「2019 International CES」などにも出展して注目された。米国市場への展開予定はあるのだろうか。

 「あと数カ月で米国でも販売をスタートできるように進めている。米国でもすごく評判がよく、急須を使ったことがないけれどお茶に興味があるという方もいた。それまで米国では粉の抹茶に砂糖を混ぜてフラペチーノにするみたいな飲み方が中心だったが、(伊藤園の)『お~いお茶』が少し流行りだして、甘くないストレートの緑茶を飲むのに抵抗がなくなってきたシリコンバレーやニューヨークでは緑茶のリーフティーを飲み始めている傾向があって、その方々からすると温度と時間を管理してくれて、今まで知らなかった味を提供してくれるとすごく反応がいい」と期待を寄せる。

 米国ではコーヒーは入手しやすいが、緑茶や中国茶を一般消費者が入手するのはあまり手軽ではないため、「米国の消費者と日本の生産者をつなげるところにも私たちができる可能性は大きいと思う」と分析する。

 国内で販売をスタートしてからヒットしており、現在は受注をストップしている状況だ。B2Bでの引き合いも多い。

 「ホテルのチェックインロビーでのおもてなしとして導入したいとか、レストランでお茶を出す機械として導入したいなど、B2Bでの引き合いがすごく多い。一方で、米国はすごく市場が面白くて成長している。日本のリーフティーの消費量は下がっているが、米国は今から盛り上がるところだ。茶道などの文化がない分、新しいものに柔軟な人が多く、そういった部分は米国の方が面白い」

新しい味と出会うきっかけ作りや体験できる“場”作りも今後の課題

 ようやくTeploのローンチにこぎ着けたばかりだが、今後の製品開発の予定はあるのだろうか。

 「今後も製品開発はもちろん続けていくが、ずらしたくない軸はある。例えばコンビニの店頭にあるコーヒーマシンのように、短時間で抽出するティーマシンという方向性ではない。5分とか10分とか、時間はかかるが、脈拍を測ってあなただけのために抽出する、その体験も含めて届けていく方向性は変えずにやっていくつもりだ。というのも、お茶はコーヒーに比べて味のパンチが弱いので、プロセスの体験で満足度を上げていく必要があるし、そこに面白みがあると思っている。コーヒーのように30秒でできるというのは、お茶には合っていないのではないかというのが私たちの考えだ」

 緑茶や紅茶、中国茶、さらにはハーブティーまで、Teploで楽しめるお茶は幅広い。現状Teploが扱うのは20種類だが、今後増やしていく場合、その人の好みに合うお茶を提案するような機能も必要になりそうだ。

 「そういった機能については、いろいろと試行錯誤しているところだ。(味の濃さや香りの強さなど、複数の項目を可視化する)スパイダーチャート(レーダーチャート)を出そうという話をデザイナーと話した時には、スパイダーチャートを出すと風情がなくなるとか、先入観を持たずに飲んでもらえるとか、シズル感が伝わるといった意見も出た。実際どちらがよいのかは、いろいろテストしながらフィードバックを得て改善していく必要がある」

 Teploをようやくローンチしたところだが、今後はどのようなチャレンジが必要になっていくのか。

 「まだ認知度が低いので、できる限り訴求して多くの人にリーチしていくことが必要だ。このハードウエアを使ってお茶を楽しんでもらうという基本的なところに注力していきたい。また、ハードウエアとの接点を作るための『プレミアムレストラン』の取り組みも9月からスタートしたが、それを毎月続けていく予定」という。

 9月27日にand factoryが運営するスマートホステル「&AND HOSTEL」で「teplo」の世界観を体験できる1日限定のレストラン「teplo premium restaurant vol.1 &AND HOSTEL AKIHABARA」と命名し、Teploで入れたお茶と食事を楽しめる「ティーペアリングディナー」体験イベントを行った。イベントは応募制で1日限定だったが、Teploを体験できる空間は9月27日から1カ月間限定で提供した。

 「&AND HOSTELでのイベントは日本食のコース料理に5杯のお茶をペアリングして提供するというもの。今後は日本食だけでなくイタリアンやフレンチ、トルコ料理などもあるかもしれないが、そういったところとコラボしていろいろな方にリーチし、Teploやお茶との接点を増やしていきたい」

 イベントでは、Teploで抽出したお茶を冷やしてからソーダメーカーで炭酸を注入した「スパークリングティー」なども創作して提供した。

 「創作系のティーレシピなども開発している。そういった手間のかかるレシピを家で作ってくださいというのは難しいかもしれないが、私たちの世界観や伝えたいことをしっかりとコミュニケーションしていきたい。今後開催するプレミアムレストランでも新たなレシピを開発してレストランに提供するなど、B2Bの動きも進めていくつもりだ。テクノロジーを使ってお茶をデザインしていくことや、新しいお茶に出会ってもらうことなどは、積極的に進めていきたい」と今後の展望を語った。

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