ITコンサルティング企業のAccentureとテクノロジー教育を提供する非営利団体Girls Who Codeが米国時間9月29日に公開したレポート「Resetting Tech Culture」によると、米国で技術職に就いた若い女性の半数は35歳までにその職を辞めているという。
その大きな理由は、インクルーシブ(受容的)とは言えない企業文化だ。IT業界を離れたという回答者全体の37%が、退職理由にこの点を挙げた。
調査では、技術職に就いている1990人と、テクノロジー関連の人材を雇用している企業で人事を担当する幹部500人から情報を収集。また、大学生2700人からも情報を集めた。
これまでも多様性の欠如という問題への対策に苦戦し、過去35年間で女性の割合が低下している業界にとって、この種の退職は打撃になるとレポートは指摘する。
「米国経済にとっても、また米国が世界を主導する立場を維持する上でも、技術の役割が高まり重要さを増しているまさにこの時期に、(女性の割合は)むしろ後退が進んでいる」(レポート)
現在オンラインで開催中のカンファレンス「Grace Hopper Celebration(GHC)」では、3万人以上の女性参加者を見込んでおり、今回のレポートはこのイベントに合わせて公開された。GHCは、ハイテク業界で働く女性の支援をテーマに、20年にわたり開催されている。
AccentureとGirls Who Codeはまた、企業の人事担当幹部と女性自身とでは、現状認識に差があることを指摘した。これらの人事部門の回答者のうち、「女性が技術職で活躍するのは容易」と回答した人は45%に上った。女性の場合、この割合は21%で、有色人種の女性ではさらに低く、8%だった。よりインクルーシブな企業文化を築くことが、女性を引き留めて昇進させる効果的な方法だと考えている人事責任者は38%で、半数にも満たなかった。
とはいえ、今回の調査では、こうした傾向を打破してさらにインクルーシブな文化を生み出すための戦略が提示されている。たとえば、目標を設定して外部に公開すること、すべての親に育児休暇の取得を奨励すること、メンターやスポンサーを紹介したり、従業員が情報交換できるネットワークを提供したりすることなどだ。
レポートの予測では、すべての企業がインクルージョンの面で上位20%の企業並みの評価を獲得できれば、退職率は最大70%減少する可能性があるとしている。
「そうなれば、2030年には最大300万人の若い女性が技術職に携わるようになり、その数は現在の傾向が続いた場合と比べて140万人増加する可能性がある」(レポート)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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