J:COMとシャープが手を組み暮らしを変える--「J:COM HOME」アプリでシャープ家電を操作

 国内最大手ケーブルテレビ会社のジュピターテレコム(J:COM)は、シャープの子会社であるAIoTクラウドと連携し、J:COMのホームIoTサービス「J:COM HOME」の利用者を対象にしたサービスを提供する。

「JCOM HOME」アプリ(左)から「COCORO HOME」アプリを起動して家電を操作
「JCOM HOME」アプリ(左)から「COCORO HOME」アプリを起動して家電を操作

 「J:COM HOME」アプリで、自宅で利用しているシャープのテレビ、エアコン、空気清浄機、冷蔵庫といったAIoT家電の稼働状況を確認できるほか、J:COM HOMEアプリから、シャープのスマートライフアプリ「COCORO HOME」を起動して、AIoT家電を操作することができるようになる。外出先からスマホを使った稼働状況の確認や、機器もオン、オフも可能だ。

 J:COMの「J:COM HOME」は、スマートスピーカーなどを利用したサービスで、同サービスを利用するためのデバイスを、「家電パック」と「見守りパック」として用意していたが、これを9月1日から、「J:COM HOMEパック」に一本化。月額利用料はそのままに、標準デバイスを拡充して、サービスを提供。さまざまなライフスタイルにあわせたホームIoTの実現を支援するという。月額税別1480円で利用できる。

 「J:COM HOMEパック」 は、スマートスピーカー「Google Home Mini」と赤外線リモコンの2つのデバイスを基本デバイスとして用意。3つめのデバイスとして、ネットワークカメラ(広角タイプ)、マルチセンサー無線通信アダプタ、簡単ボタン無線通信アダプタ、スマートプラグのなかから選択できるほか、別の部屋にスマートスピーカーを設置したい場合にはGoogle Home Miniと赤外線リモコンを選択することもできる。

J:COM HOMEパック
J:COM HOMEパック

 これにより、家事をしていても、音声でJ:COM TVを操作したり、リモコンがない家電もスマホや音声で操作。外出する際には、家電の電源をまとめてオフにしたり、子供が帰宅したことをスマホに通知したり、ペットの状況を確認したりといった利用のほか、外出先からの家電操作も可能になる。帰宅途中に、スマホを通じてエアコンのスイッチを入れておけば、涼しい部屋に帰宅するといった利用もできる。

 一方、J:COMは、経済産業省の「LIFE UPプロモーション」にも参画する。LIFE UPプロモーションは、IoT家電や各種機器から収集する生活データを活用したサービスの利用契約を行った消費者に、ポイントやディスカウントなどの特典を提供することで、ユーザーの体験を創出、促進するものだ。2019年度に続き、2回目となる。

 今回は、令和元年度補正予算の「生活空間におけるサイバー/フィジカル融合促進事業費」により実施され、5億5000万円の予算規模となっている。

 J:COMが参加するのは、AIoTクラウドが幹事会社となる「AIoTクラウドコンソーシアム」で、シャープやKDDI、ノーリツ、セコムも名前を連ねている。AIoTクラウドとKDDIがプラットフォーム事業者として、生活データを集約し、各種サービスとの連携を可能にするデータプラットフォームを提供。J:COM、シャープ、セコム、ノーリツが、サービス事業者として、収集した生活データを活用して、家事負担の軽減や日常的な見守りサービスなどを提供する。

機器、プラットフォーム、サービスを相互連携し生活課題を解決

 J:COM では、LIFE UPプロモーションを対象にした「はじめようJ:COM HOMEキャンペーン」として、キャッシュバックキャンペーンを開始することも発表した。

 2021年2月15日までのキャンペーン期間中に、J:COM HOMEに新規加入すると同時に、対象となる長期契約プランに申し込めば、最大1万円分のQUOカードがプレゼントされる。J:COM HOMEアプリに登録したデバイスから得られたデータを、学術機関や研究機関の求めに応じて、学術研究利用を限定して、匿名加工した上で提供することが前提となる。

 今回のJ:COMとAIoTクラウドとの連携は、経済産業省が打ち出すスマートライフ政策に合致した取り組みのひとつということができる。

 スマートライフ政策は、Web APIを用いることで、独自に構築されたクラウド同士でも容易にデータのやり取りを行なうことを目指したもので、各社の機器とプラットフォーム、サービスが相互に連携して、生活課題を解決することになる。

 今回のプラットフォームでは、J:COMプラットフォームと、AIoTプラットフォームが連携。それぞれのプラットフォームを通じて収集してデータをやりとりしたり、それをもとに新たなサービスを提供することができるのが特徴だ。

AIoTプラットフォーム連携実績
AIoTプラットフォーム連携実績

 シャープ AIoTクラウド プラットフォーム事業推進部副事業部長の松本融氏は、「当社は、経済産業省が推進するスマートライフ政策の具現化に向け、AIoTプラットフォームとさまざまな事業者のプラットフォームとを連携することにより、新規サービスの提供やスマートライフの創出を加速する、業界横断型の仕組みづくりに取り組んでいる」と前置きし、「AIoTプラットフォームを通じて、家庭内の多様な機器の利用データを集約、高次化し、生活データとしての利活用を進めるとともに、他社の機器やサービスとの連携を強化することで、スマートライフのさらなる進化を図る」とする。

シャープ AIoTクラウド プラットフォーム事業推進部副事業部長の松本融氏
シャープ AIoTクラウド プラットフォーム事業推進部副事業部長の松本融氏

 今回のJ:COM HOMEアプリで、自宅で利用しているシャープのテレビ、エアコン、空気清浄機、冷蔵庫といったAIoT家電の稼働状況を確認できるサービスは、AIoTプラットフォームが用意した機器情報取得Web APIを活用している。

 機器情報取得Web APIでは、AIoT家電の機種名や個体識別情報といったハードウェア情報、家電を設置している部屋や郵便番号などといったユーザー情報、温度や湿度、光などのセンサー情報、利用している機能や操作時間などの操作情報、スマホアプリでの検索ワードや閲覧情報などを収集し、これをもとに新たなサービスを創出して、提供することになる。

 「家電や他社機器のデータを、生活データとして高次化し、さまざまなサービスに応用できる。ガス機器とテレビ、冷蔵庫を連携した生活の異常検知見守りサービスや、ガス機器とエアコンを連携した入浴後の部屋の温度自動調整サービス、ガス機器と調理家電を連携した生活習慣改善提案サービスなど、社会課題の解決や、安心・快適な暮らしを実現する新たなサービスの創出につながる」とする。

 また、AIoTプラットフォームでは、機器操作Web APIも用意しており、これを活用することで、サービス事業者のアプリから、シャープのAIoT家電を直接操作することもできる。これもプラットフォーム連携による成果のひとつになる。

プラットフォーム連携
プラットフォーム連携
プラットフォームの連携イメージ
プラットフォームの連携イメージ

 AIoTクラウドでは、LIFE UPプロモーションでの取り組みを通じて、J:COMのほかにも、KDDI、セコム、ノーリツとのプラットフォーム連携を強化するほか、大阪ガスや関西電力、リンナイなどとのプラットフォーム連携を推進しており、連携の幅をさらに広げていく考えを示す。

 また、「このプラットフォームは、BtoB領域にも活用することができる。ビジネスホテルなどに導入しているシャープ製業務⽤ドラム式洗濯乾燥機では、稼働データをもとに、客室のテレビなどに洗濯機が利用できる状況かどうかを知らせたり、洗濯が終了したことを知らせたりする。今後は、BtoB領域での活用提案も積極化したい」とする。

 さらに、今後はニューノーマル時代の新たなサービス創出にもつなげたいという。「ニューノーマル時代の生活スタイルにおいては、自宅でご飯を食べる機会が増えたり、24時間のエアコン稼働といった家庭も多い。家電やセンサーから得られたさまざまなデータを使って、調理履歴や好みにあわせてメニューの提案を行ったり、天気予報や部屋の環境にあわせて、エアコンを最適な形で自動運転するといったこともできるだろう。さらに、人との接触を避けるという点では、家電からのデータをもとにして、eコマースとの連動、買い物代行サービスの提供といったことも可能になる。プラットフォーム連携が、ニューノーマル時代における新たなサービスを生むことになる」とした。

 巨大な単一プラットフォーム上に、サービスや機器を接続する方式を採用するのではなく、プラットフォーム連携によって、新たなサービスを創出するのが、経済産業省が打ち出すスマートライフ政策の考え方だ。今回のJ:COMとAIoTクラウドのプラットフォーム連携によるサービス提供は、それを具現化したものといえる。

ニユーノーマル時代に向けた新たなサービスを創出
ニユーノーマル時代に向けた新たなサービスを創出

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