筆者からすると、一番奇妙に感じられるのは、Facebookが安全性をどう取り扱おうとしているのか、ということだ。Facebook Horizonには、この世界に常駐するスタッフと、コンテンツモデレーターがいる。Facebookは、問題の報告があった場合にモデレーターが後から再確認できるように、同サービスでのゲームプレイを記録し、バッファーに保管する予定だ。Facebook Horizonの開発者は、このバッファーが一時的なものであって、長期的に保存されることはないと保証している。だが、Facebook Horizonも結局は、中で起こるたくさんのことが監視の対象になる世界らしいと、いやでも考えさせられる。
Facebook Horizonのプライバシーに関するFAQには、こう規定されている。「問題を報告する際には、過去に起こったことから取得した情報を含めることができます。お使いのOculusヘッドセットは、Facebook Horizonで起きた過去数分の体験を、ローリングバッファーを通じて取得するようになっています。これはデバイス上でローカルに処理され、時間がたつと上書きされます。このローリングバッファーから取得された音声データは、報告が送信されない限り当社のサーバーには保存されませんが、ベータ版Facebook Horizonの補足利用規約に従い、Facebook Horizonにおけるユーザー体験に関して他のデータを保存する場合もあります」
Facebook Horizonでは、手首の辺りにあるツールを使うと、設定画面と世界間を移動できるツール、さらに盾の形のセーフティーボタンが出現する。このボタンを押すと、ソーシャルな環境から切り離され、世界をミュートしてセーフゾーンに入る。万一、嫌がらせや問題行動などが発生した場合には、インシデントとして記録することができる。プレーヤーのミュートやブロックも可能だ。Facebookはこの世界での活動をバッファーに保存しているので、コンテンツモデレーターは後から振り返って問題行動がないかどうかインシデントを確認し、事後の対策をとれるようになっている。Facebookは仮想世界でのアクティビティーをバッファー以外には記録しないとしているが、混沌として、かつ多様な社交活動を管理する上でこれらのツールがどのくらい有効かも、明らかにはなっていない。
また、Facebookは、公共スペースでのガイドやホストとして適切な行動のモデルを示すために、Facebook Horizonに常駐するスタッフを配備する。ただし、今後Facebook Horizonにアクセスできるようになるユーザー数に対するスタッフの比率は公表されていない。
プライバシーに関する動画を見るとどうしても、安心というよりは避けがたい不安を感じる。この時代、特にFacebookが2020年に入ってから巻き込まれたことを総じて考えれば、それも当然だ。FacebookがFacebook Horizonで適切な行動の模範を示して広めようとしようとしていることは明らかだが、それが日常的な利用にどう反映されるかは不透明である。Facebook Horizonの開発者でさえ、これがまだ進行中の取り組みだと認めている。だからこそ、ややクローズドなベータ版として始まったのだ。
Facebook Horizonのベータ版は、申請した人から順に提供されている。参加できるユーザーの数は当初かなり限定しているようだが、Facebookは今後さらに増やすと約束している。
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