法執行機関が位置情報データの提出を要請する「ジオフェンス」令状について、プライバシー擁護派や政治家の間で懸念が広がっている。さらにはGoogleのエンジニアらも、位置情報データの広範な提供要請を問題視していることが、先ごろ開示された裁判所への提出書類で明らかになった。
アリゾナ州の判事は米国時間8月21日、消費者詐欺防止法違反の容疑と位置情報データをめぐり同州の司法長官がGoogleを相手取って起こした係争中の訴訟の一環で、Googleの社内メールを開示するよう命じた。Googleは、調査が「不適切に公表」されたとして、これらの文書を開示しないよう求めていた。
開示された文書は、Googleのエンジニアや広報スタッフの間で議論が交わされたことを示している。そこには、同社による位置情報データの収集や、膨大な数のユーザーにとって意味のある制御ができていない現状をめぐる不満が記されていた。
「位置情報オフとは、位置情報がオフになることを意味すべきであり、『この場合やあの場合を除く』といったものであるべきではない」と、あるGoogleのエンジニアは2018年8月13日に電子メールのやり取りの中で綴り、「現在のUIはさまざまなことを可能にしつつ、人々がそれに気付かないよう複雑に作られているように思える」としている。
こうした議論の中には、ジオフェンス令状に関する懸念もあった。ジオフェンス令状は、法執行機関が時刻と場所を提示して位置情報データの提供を要請するもので、Googleはその領域にあったすべてのデバイスに関する情報を提供している。
Googleの広報担当であるJose Castaneda氏は、「プライバシーの管理は長きにわたり当社のサービスに組み込まれており、当社のチームはこれについて継続的に協議し、改善している。位置情報についてはフィードバックを受け取っており、プライバシー管理の改善に向けて精力的に取り組んできた」と述べ、さらに「実際、こうした一部だけを取り上げて公開された抜粋でも、チームの目標が『ロケーション履歴の設定をめぐる混乱を減らす』ことだと明記されている」とした。
ジオフェンス令状は、バージニア州では合憲性が議論されており、ニューヨーク州の政治家らはこれを違法にする法案を提出した。イリノイ州では、連邦判事が24日、同令状は米憲法修正第4条に違反するとの判断を示して、この慣行を無効にした。
警察はますますジオフェンス令状を利用するようになっており、2017年から2018年の間に1500%増加し、続く2018年から2019年の間にも500%増加した。ジオフェンス令状請求の急増は、位置情報データに関するGoogle従業員の困惑と併せ、同社内でプライバシー上の懸念を引き起こしている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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