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ソフトバンク、コロナ禍でも営業活動に手応え--2022年に「営業利益1兆円」へ

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 ソフトバンクは8月4日、2021年3月期第1四半期の決算を発表した。売上高は前年同期比0.7%増の1兆1726億円、営業利益は前年同期比4.1%増の2799億円と、増収増益の決算となった。

 ただし、事業別の動向を見ると、主力事業であるコンシューマー向けの通信事業は、売上高が前年同期比5%減の6254億円、利益が前年同期比8%減の1894億円と減少している。同社の代表取締役社長執行役員 兼 CEOである宮内謙氏は、同日に実施された決算説明会において、電気通信事業法改正やそれにともなう競争環境の激化、そして新型コロナウイルスによるショップの営業縮小による端末販売の減少が主な要因と説明した。

決算説明会に登壇するソフトバンク宮内社長
決算説明会に登壇するソフトバンク宮内社長

 特にショップの営業に関しては、4〜5月にかけて営業時間を短縮しており、宮内氏も「人命尊重のため、あえて抑え込むしかないと覚悟してやった」と売上減を覚悟しての営業縮小だったと話す。ただし、通常営業に戻った6月には販売が伸びているそうで、四半期中のスマートフォンの純増数も204万件と順調に伸びているとのことだ。

コンシューマー向けの通信事業は、コロナ禍によるショップの営業時間短縮などで端末販売が落ちたことで売上・利益ともに落ちているが、他社よりは影響が小さい
コンシューマー向けの通信事業は、コロナ禍によるショップの営業時間短縮などで端末販売が落ちたことで売上・利益ともに落ちているが、他社よりは影響が小さい

 とはいえ、端末販売数は前年同期比で約16万台の減少と、大幅な販売の減少を記録しているライバル他社よりは影響が小さい。その理由について宮内氏は、ワイモバイルやソフトバンクの「スマホデビュープラン」など低価格のプランの契約が好調だったことに加え、法人事業での端末販売が好調だったことが下支えになったと話す。

 その法人事業は、テレワーク需要の急増によるVPNやウェブ会議などの契約が伸びたことで、売上高が前年同期比5.2%の1625億円、利益が11.1%増の313億円と好調に伸びている。中でも伸びをけん引しているのがソリューション事業で、法人事業における売上の3分の1を占める規模に成長しているとのことだ。

法人事業はテレワーク需要の増加により、ソリューションがけん引する形で増収増益となっている
法人事業はテレワーク需要の増加により、ソリューションがけん引する形で増収増益となっている

 それに加えて、Zホールディングスによるヤフー関連の事業が、40%の増益を果たしたというEコマースの伸びがメディア事業の落ち込みを補う形で、売上高は前年同期比14.8%増の2789億円、利益は前年同期比40%増の506億円とこちらも好調な業績を記録。事業のダイバーシティ化が好業績に貢献する結果となったようだ。

コロナ禍で落ち込んだコンシューマー事業を、法人と、Eコマースが好調なヤフーがカバーする形で補う格好となった
コロナ禍で落ち込んだコンシューマー事業を、法人と、Eコマースが好調なヤフーがカバーする形で補う格好となった

 また宮内氏は、「コロナ禍が続く可能性が高いと社内で議論し、経営的にはキャッシュフローを積み増さないといけない」と説明。不確定要素が多い状況が続く中でも安定した会社経営を実現するため、資産の流動化や現金化などによって調整後フリーキャッシュフローを49%増の2363億円と大幅に増やしたことも明らかにした。

デジタルシフトの成果で営業利益1兆円に自信

 さらに今回の決算説明会において宮内氏は、2019年5月に発表した営業利益1兆円の実現に向けた具体的な戦略を説明した。売上高5.5兆円、営業利益1兆円、そして純利益5300億円という目標を、「少なくとも2022年を目標に、できるだけ早く達成したい」としている。

 宮内氏は当初、この戦略を前回の決算で発表する予定だったそうだが、当時はコロナ禍での緊急事態宣言下にあり、今後の営業活動が停滞することへの不安もあって取りやめたという。だが、その緊急事態宣言下でデジタルを活用した営業活動のトライアルを積極的に進めた結果、非対面でも十分な営業活動ができることが見えてきたとのことだ。

 コンシューマー事業では、これまで実施してきた大規模・集合型の店舗イベントを、「Zoom」による小規模・配信型のイベントに変更。また法人営業では、訪問・面談による営業から、ウェブビナーやメールマーケティングを活用した営業へと転換を図ってきたという。その結果、法人事業では実施した商談の84%をオンラインが占めるまでになったという。

コロナ禍でコンシューマー事業のイベントも、大規模集合型からZoomを活用した小規模・多拠点型に切り替えたが、顧客とのコンタクトは維持できているという
コロナ禍でコンシューマー事業のイベントも、大規模集合型からZoomを活用した小規模・多拠点型に切り替えたが、顧客とのコンタクトは維持できているという

 これらの結果から事業のデジタル化に手応えを感じたこと、そして秋以降に5Gのエリアを急速に拡大し、人口カバー率90%を早期に達成することによって、IoTやEコマース、FinTechなどのデジタル産業が「一気に開花しだす」(宮内氏)こと、そしてZホールディングスとLINEの経営統合に目途が立ったことから「逆境を転じることができるんじゃなかろうか」と、改めて戦略を打ち出すに至ったという。

5Gスマホ販売加速で2023年度に6割の普及を目指す

 戦略の1つは、スマートフォン決済サービス「PayPay」のプラットフォーム化である。PayPayは3000万ユーザーを獲得するなど短期間のうちに非常に大きな存在となったことから、これをプラットフォームとしてEコマースや通信など他の事業とのシナジーを追求していく計画で、Zホールディングスやソフトバンク傘下の金融関連企業・サービスを「PayPay」ブランドに統一したことも、その取り組みの1つとなるようだ。

3000万契約を集めたPayPayのプラットフォーム化を積極推進。傘下金融機関の名称をPayPayブランドに変更することも発表している
3000万契約を集めたPayPayのプラットフォーム化を積極推進。傘下金融機関の名称をPayPayブランドに変更することも発表している

 ただ、PayPayのプラットフォーム化を推し進めることは、統合を予定しているLINEとの関係や、「Yahoo! Japan」の今後にも影響を与えると考えられる。宮内氏はこの点について、統合完了前ということもあり言及は避けたが、ヤフーに関してはあくまでZホールディングス次第としながらも、日本で強いブランド力を持つことから「(なくすことは)ないと思う」と答えた。

 2つ目の戦略はスマートフォンの拡大と法人のデジタル化だという。前者に関しては「2023年度にはなんとか(累計契約数)3000万を目指したい」と宮内氏は説明するが、そのためには5Gの本格展開が重要になるとしている。

 5G基地局を2021年3月末時点で1万局、2022年3月末時点で5万局まで増やし、人口カバー率90%超を実現するとしている。また達成を予定している3000万のスマートフォン累計契約数のうち、6割以上を5Gスマートフォンが占める計画とのこと。そのため、秋から5Gのミドル・ローエンド端末を一気に投入する予定だという。「晩秋から来年にかけて5G祭りが始まるだろう」と、宮内氏は意気込みを語った。

今秋以降5Gスマートフォンの販売を本格化することで、2023年にスマートフォンの累計契約数3000万、そのうち5Gスマートフォンの普及6割を目指すとしている
今秋以降5Gスマートフォンの販売を本格化することで、2023年にスマートフォンの累計契約数3000万、そのうち5Gスマートフォンの普及6割を目指すとしている

 法人のデジタル化に関しては、「クラウドが圧倒的に重要」と宮内氏は説明。デジタル化の進展によってクラウドの活用が広がり、IoTやセキュリティなどさまざまなソリューションへと事業の拡大につながることで、法人ソリューションの売上が拡大し、毎年2桁の増収を見込めるとしている。

 3つ目はコスト効率化であり、デジタル化による生産性の向上や、KDDIとのインフラシェアリングなどによる投資効率化によって、固定費を現在の1兆円という水準を維持する方針とのこと。そして4つ目は、コロナ禍だけでなく米中関係の悪化など不安定な状況を見越し、フリーキャッシュフローを安定的に創出するなど財務のコントロールと株主還元を両立することだという。

 そうした政情に関連し、記者からは中国企業に関連する質問も挙がった。ソフトバンクは中国の滴滴出行との合弁によるタクシー配車事業「DiDi」を手掛けているが、宮内氏は「DiDiのAIエンジンは使っているが、サーバーは国内に持っている。データが向こう(中国)に漏れることのないよう管理してやっている」ことから、影響はないと説明した。

 また、ネットワーク機器に関しては、4Gで一部採用しているファーウェイなどの機器を順次他社製へと切り替えているというが、端末については「総務省と話しているが、ファーウェイのスマホ(の販売)を止めろというガイドラインにはなっていない」と説明。今後のファーウェイ製端末の取り扱いに関しては、政府と話し合いながら決めていくとしている。

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