NTTドコモは8月3日、2021年3月期第1四半期の決算を発表した。売上高は前年同期比5.3%減の1兆982億円、営業利益は前年同期比0.7%増の2805億円と、減収増益の決算となった。
主力の通信事業の売上高は、前年同期比933億円減の8518億円、営業利益は118億円減の2194億円と、減収減益となっている。主な要因の1つは、2019年に導入した新料金プラン「ギガホ」「ギガライト」の導入によるモバイル通信サービスの収入減少だ。
しかしながら、携帯電話の契約数は前年同期比2%増の8061万に増える一方、ハンドセット解約率は0.34%と一層低下。ARPUに関しても、モバイルARPUの減少を、「ドコモ光」のARPUの伸びや月々サポートなど端末値引きの減少が補う形で、トータルでは前年同期比30円増の4800円に伸びているなど、足元は好調な様子を見せる。
そして、減収減益のもう1つの要因は新型コロナウイルスの影響だ。訪日外国人が減少し、国際ローミング収入が大幅に減少したことに加え、より大きな影響を与えているのが端末販売の減少。ドコモショップの営業時間短縮による来店者の減少、それに加えて前年同期は新料金プランの導入直前で駆け込み需要があったことなどの影響もあり、スマートフォン・タブレットの販売数が214万9000台と、前年同期の344万3000台から130万台近く落ち込んでいる。
その影響もあって、5Gの契約数は今四半期時点で15万にとどまっているが、同社代表取締役社長の吉澤和弘氏は決算説明会において、8月1日時点では24万契約に達し、計画を上回る契約数を獲得していると説明。今後、普及価格帯の5Gスマートフォンなどを投入することで、2020年度末には250万契約の獲得を目指すとしている。4Gも含めた端末販売に関しても「第2四半期以降は前年を上回る販売を考えている」と、吉澤氏は巻き返しを図っていく考えを示した。
また吉澤氏は、アップルが新型iPhoneの販売を数週間遅らせると発表した件についても言及。「その後の期間で巻き返しできるのではないか。全体の想定に対して大きな影響を与えることにはならないと思う」と、数週間程度の遅れであれば問題ないとの認識を示すが、「数週間遅れでの提供をぜひお願いしたい」と、大きな遅れは懸念する様子も示した。
一方のスマートライフ領域に関しては、営業収益が前年同期比347億円増の2555億円、営業利益が136億円増の612億円と増収増益を記録。利益は30%近く伸びるなど非常に好調な様子だ。
中でも成長をけん引しているのは、「dカード」や「d払い」などの金融決済サービスだという。金融・決済取扱高は前年同期比32%増の1兆5000億円に達しているほか、dカードの契約数は1300万を突破。d払いのユーザー数も前年同期比で1.8倍となる2727万に達するなど好調に伸びており、「大きな成長ドライバー」と吉澤氏は話す。
もう1つ、コロナ禍の影響によって、「dアニメストア」「Disney+」などのコンテンツサービスも大きく伸び、アクティブ率が高まっているとのこと。プロ野球やJリーグの開幕・再開によって「DAZN for docomo」の需要も復活してきており、金融と並んで収益をけん引する存在と位置付けているようだ。
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