フォトシンス、キーレス社会実現に向けたAkerun新戦略--複数の扉1つのIDで解錠

 フォトシンスは8月4日、オフィス、自宅、自動車など、すべての鍵をクラウド化するアクセス認証基盤「Akerun Access Intelligence(アケルン・アクセス・インテリジェンス)」を発表した。キーレス社会実現に向け本格的に乗り出す。

 フォトシンス 代表取締役社長の河瀬航大氏は「オフィスの鍵、ビルのセキュリティゲート、家の鍵、ホテルにチェックインしたときにもらうセキュリティカードなど、私たちは扉の数だけ鍵を持ち歩く必要がある。シェアリングエコノミーが加速し、持っている鍵の本数は増え続ける。この鍵の使い方を変えたい。今までは、扉の数だけ鍵が必要だったが、Akerun Access Intelligenceは、複数の扉を1つのIDで開けられる新たな認証のインフラ。キーレス社会を実現する仕組み」と話す。

オフィスの鍵、ビルのセキュリティゲート、家の鍵、ホテルにチェックインしたときにもらうセキュリティカードなど扉の数だけ鍵が必要な現在
オフィスの鍵、ビルのセキュリティゲート、家の鍵、ホテルにチェックインしたときにもらうセキュリティカードなど扉の数だけ鍵が必要な現在
アクセス認証基盤「Akerun Access Intelligence」を使えば、複数の扉を1つのIDで開けられる
アクセス認証基盤「Akerun Access Intelligence」を使えば、複数の扉を1つのIDで開けられる

 Akerun Access Intelligenceは、普段使用している交通系ICカードやスマートフォン、社員証、入館証などユーザー固有の物理IDと、メールドアレスや電話番号などのデジタルIDを組み合わせた情報を「AkerunユーザーID」として登録することで、Akerunが導入された空間にアクセスできるというもの。AkerunユーザーIDとして登録されているユーザーのメールアドレスや電話番号と紐づいたICカードに、指定のAkerunへのアクセス権限が付与できる。

 これにより、物理キーを手渡しする必要がなく、メールアドレスや電話番号に対して鍵権限を付与するだけで、扉が開けられ、キーレス社会を推進する。

 同日には、オフィスや施設向けに提供する「Akerun入退室管理システム」に続く新サービスとなる「Akerun来訪管理システム」も発表。ベータカスタマーの問い合わせ受付も開始した。

「Akerun来訪管理システム」のデモンストレーション
「Akerun来訪管理システム」のデモンストレーション
「Akerun来訪管理システム」の概要
「Akerun来訪管理システム」の概要

 これは、オフィスの受け付けなどで発生する、会社名や氏名を手書きで記載する、来訪者の情報や履歴をリアルタイムでデジタル化、クラウド化できない、受付対応時におけるセキュリティ面の不安といった課題を解決するシステム。

 Akerun利用者であれば、メールアドレスに対して権限を付与することで、手持ちのICカードでセキュリティゲートを解錠できるほか、Akerunを使っていなくても、来訪予約時に発行された受付番号をエントランスのチェックイン端末に入力することで、セキュリティゲートを手持ちのICカードで出入りできるようになるというもの。利用時には、ゲスト側にメール通知することで、利用許諾をとっており、許諾を得た場合のみに使えるとしている。

 河瀬氏は「Akerunを使えば、ビルやテナントにどれだけ人がいるかを可視化でき、コロナ時代に求められる機能も搭載している。仮に陽性者が出た場合でも近くにいる人をあぶり出せるなど、トレーサビリティにも優れる。ここ数年で現金の扱いが減り、キャッシュレス社会が到来している。かばんの中は書籍がキンドルになり、現金が電子マネーになり、アナログなものがなくなった。その最後に残されているものが鍵。鍵がなくなりキーレス社会が到来する」と今後を描く。

 すでに、協業を発表している三井不動産のオフィスビル内にAkerun来訪管理システムを設置しており、実証実験を実施。来訪者はAkerunユーザーIDとして登録されたICカードを利用して三井不動産の新オフィスのセキュリティゲートにアクセスできる

 三井不動産 執行役員ビルディング本部副本部長兼法人営業一部長委嘱の中村健和氏は「Akerun来訪管理システムを使った実証実験の話を聞いたときは、私自身も普段から問題意識をもっていた課題を解決できると考えた。今後もフォトシンスとともに課題を発見し、事業展開していきたい」と話した。

 フォトシンスでは、農林中央金庫、NTTドコモ・ベンチャーズ、三井不動産CVC、LINE Ventures、凸版印刷、BSPグループ、スクラムベンチャーズ、常陽産業研究所と既存株主であるグロービス・キャピタル・パートナーズなどを引受先とする第三者割当増資と、新生銀行、日本政策金融公庫、みずほ銀行、常陽銀行などからの融資等により、これまで未発表だった資金調達を含めて、新たに総額35億円の資金調達を実施したことも発表。累計調達額は50億円となった。

 この資金調達により、新戦略Akerun Access Intelligence」推進し、Akerunを起点とした1つのIDをさまざまな場所やシーンへのアクセス管理に活用することで、さらに高度なセキュリティと利便性を追求。キーレス社会のさらなる進化とその適用領域の拡大に向け、取り組んでいくとしている。

左から、フォトシンス 代表取締役社長の河瀬航大氏、三井不動産 執行役員ビルディング本部副本部長兼法人営業一部長委嘱の中村健和氏
左から、フォトシンス 代表取締役社長の河瀬航大氏、三井不動産 執行役員ビルディング本部副本部長兼法人営業一部長委嘱の中村健和氏
発表会場では、Akerunの新ロゴデザインも発表した
発表会場では、Akerunの新ロゴデザインも発表した

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