テクノロジーの世界にジェンダーギャップの問題があることは、周知の事実だ。若い女性のプログラミングスキルを支援する非営利団体のGirls Who Codeによると、女性のコンピューターサイエンティストの数は1995年から10%以上減っており、13歳から17歳までの間に、多くの女子が関心をなくしてしまうのだという。
プログラミングに関心をもつ女性を増やそうと、女性が率いるスウェーデンのスタートアップ企業imagiLabsは、若い女性がゲームの形で楽しくプログラミングを学習できるアプリと、それに対応するスマートキーホルダーを展開している。
スマートキーホルダーの「imagiCharm」は、メイク用コンパクトよりやや小さく、8×8マス、64個のLEDライトが並んでいる。無料モバイルアプリ「imagiLabs」にPythonのコードを入力して、デザインを視覚的にカスタマイズできるしくみだ。アプリは「iOS」版が既に公開されており、「Android」版は現在テスト中だが、早期アクセスバージョンは今でもダウンロードできる(アプリのプライバシーポリシーと利用規約は、簡潔で分かりやすい)。
imagiLabsアプリがコーディングの基本を教えてくれるので、花や動物、動く色のグラデーション、絵文字など思い思いの画像の描画方法を学習できる。アプリとimagiCharmはBluetoothを介して接続し、移動中でもそのキーホルダー上に自分のプロジェクトを表示できる。
imagiLabsの最高経営責任者(CEO)を務めるDora Palfi氏は、自身がテクノロジー業界に入ってから早い段階で、男女の格差に気づいたという。若い女性のプログラミングに対する関心を保てれば、今後のキャリアチャンスが開かれ、デジタル化の進む経済のなかで成功の確率も高くなると同氏は話している。
「テクノロジーの世界に入れなければ、女性はテクノロジーを利用して問題を解決することもできない」(同氏)
ビデオチャットを通じて、同氏はテクノロジー業界の女性に向けたコミュニティーサポートの重要性について説明してくれた。imagiCharmで、女性のために確立したいと同氏が考えているのは、この点だ。
imagiLabsアプリでは、ほかのユーザーのプロジェクトを見ることができる。文章が流れるものもあれば、色付きのブロック、ハート、いろいろな形が表示されるものもある。なかには、アニメーション化されたピカチュウをコーディングしたユーザーまでいる。ほかのユーザーのプロジェクトにプラス評価のコメントを付けられるほか、その作品を自分で再現してみることも可能だ。
このアプリは、2019年にKickstarterで約59万クローナ(約690万円)の資金を集めた。imagiLabsによると、同年にアプリを公開してから30日間で、400件のコーディングプロジェクトが共有されたという。これは、コードの行数にすると合計2万5000行以上に相当する。同社の長期的な目標は、女性プログラマーのためのソーシャルネットワークを作ることだ、とPalfi氏は話す。
アプリの「LEARN」(学習)タブでは、ハートの形のコーディングを学習できる。imagiLabsはゲームのスタイルを利用して、コードの各行と、作成している絵との関係を理解させようとする。レッスンでは、ピクセルの描画から、プロジェクトに対する色の割り当てと作成などを学ぶ。1つのレッスンを完了するとレベルアップして「スーパーパワー」のバッジを獲得できる。
「コーディングはスーパーパワー(大きな力)になる。習得したその大きな力を使って、ものを作ったり問題を解決したりできる」(Palfi氏)。
Palfi氏は、ビデオチャット中にimagiCharmキーホルダーの動作をデモンストレーションしてくれた。imagiCharmを「起こす」とインターフェースで目が開くところは、初期の「たまごっち」のようで懐かしい気分になった。続いて同氏は、BluetoothでスマートフォンとimagiCharmを接続し、コードプロジェクトをアップロードする。ほぼ一瞬で、imagiCharmに絵が表示される。スマートフォン上でコードに加えた変更はすべて変換されてimagiCharmに伝わり、画像が更新される。
imagiCharmは米国外にも販売され、単体を78ユーロ(約9500円)、2個セットなら129ユーロ(約1万6000円)で購入できる。「Premium imagiCharm」も販売しており、こちらは単体が85ユーロ(約1万円)、2個セットが149ユーロ(約1万8000円)だ。Premium版には、12時間分の学習コンテンツが付属し、メールで受け取れる。
Palfi氏によると、キーホルダーがなくてもアプリを利用することは可能だという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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