Appleは例年9月にiPhoneの新モデルを発売するスケジュールを維持してきた。
11月末から始まるホリデーシーズンに新製品を安定して供給できるようにすること、そのホリデーシーズンのショッピングリストにiPhoneを予め追加しておいてもらうことを目的とするなら、9月の発表がぴったりであり、iPhoneの販売を年末にかけて最大化する戦略は成功してきた。
しかし2020年は、これが少し遅れるかもしれない。Nikkei Asian Reviewによると、2020年モデルに発売される5G対応のiPhoneは、4週間から2カ月程度遅れていると報じた。
2020年のiPhoneは2014年から実に6年ぶりとなるデザイン変更が行われ、かつ待望の次世代通信規格5G対応を果たす、大きな変化が期待されている。しかしながら、毎年針の穴を通すようなサプライチェーンマネジメントと組み立て、そして流通を駆使するAppleのiPhoneローンチ。2020年に計画通りに進めることができるかどうかは、なかなか難しそうだといわざるを得ない。
ただし、Appleは2020年の前半、新型コロナ禍においても、iPhone SE、iPad mini/Air/Pro、MacBook Air/Pro 13インチ、Mac miniといった各種新製品をリリースしてきた。遅れてもリリースにこぎ着け、顧客に待ってもらえるだけの力業は、持ち合わせていると言って良いだろう。
5G対応の次世代「iPhone」量産に2カ月程度の遅れ--新型コロナの影響 (7/2)Appleは2019年3月にApple News+という雑誌を中心としたデジタルサブスクリプションサービスを立ち上げた。ただし、Apple News(Newsアプリ)は、独自の編集部を各国で用意し、ニュースのキュレーションを行い、iPhone、iPadのウィジェットに対して、最新ニュースの配信を行ってきた。
このウィジェットにリストアップされると、その記事へのアクセスは爆発的に増加することは、すでに各国のメディア業界における常識となっている。iPhoneだけでも、1億2500万の月間読者数を誇るというから、その集客力にも一定の評価をすることができる。
その一方で、キュレーションは完全にブラックボックスであり、メディアや書き手がその枠を狙うことはほぼできないに等しい。また、記事をよりたくさん読みたい場合はメディアのアプリへ誘導して購読してもらうことになるが、ここでアプリ内から購読者を獲得した場合、Appleが3割の手数料を取るのが痛い。もしくは、前述のApple News+で、読まれた記事数に応じた利益配分を受けることになる。
購読者数を増やすことが売上に直結する現在のメディアビジネス命題に対して、キュレーションの不確実性と手数料の高さを見ると、もっと良い方法が存在しているはずだ、というのがThe New York Timesの本音なのかもしれない。
NYTは、Apple Newsから撤退し、「もしかしたら」大量のアクセスを呼び寄せることができるニュースフィードに、NYTの記事は表示されなくなる。
「Apple News」からThe New York Timesが撤退--読者と直接的な関係築けず (6/30)CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
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