O'Donnell氏によると、iPhoneとiPad、Macコンピューターを揃えて持っている人はそれほど多くなく、iPhoneと他社製のコンピューターを持っている人の方がはるかに多いという。だが、ホーム画面上にアプリからの情報を小さく表示するウィジェットや、メッセージアプリの会話のスレッド化など、他社製品で何年も前から提供されていた機能をAppleが追加し続けていくにつれて、今後、同社に乗り換える人が増える可能性もある。
「人々がこれらのデバイスで多くの時間を費やしているのは事実だ」(O'Donnell氏)
22日のイベントで発表された最大のニュースは、iPhoneの新機能ではなく、むしろ、Macコンピューターに今後加えられる変更のことだった。
Appleは今秋から、iPhoneやiPadで採用されているのと似た設計のチップを搭載したコンピューターの提供を始めると発表した。これらのチップ(最新のものには、「A13 Bionic」などの名称が付けられている)は、2010年の初代「iPad」で初めて搭載された。Appleによると、現在のチップは当時のチップに比べて100倍以上高速だという。
さらに、Mac用に独自のチップを開発することにより、Appleはソフトウェアをさらに細かく調整して、最適な体験を提供できるようになる。
「最も重要なのは、これによって、iOSとiPadOSのアプリケーションが将来的にmacOSでネイティブに動作できるようになり、Appleの2300万人の開発パートナーがこれまでよりも簡単にすべてのApple製品に対応したアプリケーションを開発できるようになることだ」。Morgan StanleyのアナリストのKaty Huberty氏は22日の発表後、投資家に宛てたメモの中で、そう述べている。
消費者にとって、これは、iPhoneですでに使用しているアプリの一部がMacでも使えるようになることを意味する。それがきっかけとなって、Appleのほかのハードウェアに興味を持つ消費者も出てくるだろう。
業界ウォッチャーの間では、何年も前から、Appleは携帯性に優れたタブレットであるiPadを、ノートブックのMacBookと最終的に統合するのだろうか、ということが話題になっていた。コンピューターとタブレットのハイブリッドという概念を社会に浸透させたMicrosoftの「Surface」ノートPCが好評を博しているにもかかわらず、Appleは決まってそのアイデアを却下してきた。
しかし、iOS 14とiPadOS 14、macOS Big Surを発表したことで、Appleは事実上、それらを統合したことになる。新しいMacコンピューターでiPhoneとiPadのアプリを実行できるようになれば、MacとiPhone、iPadを隔てるものは、ほとんどなくなる。Macの方がストレージ容量が多く、プロフェッショナルな動画編集やグラフィックデザインなどのより高度なタスクを実行できるように設計されているが、そのことと、タッチスクリーン、ポートの数を除けば、MacとiPhone、iPadの間に、もはやそれほど大きな違いはない。
Appleは、iPhoneとiPadのアプリをベースにしてMacの「マップ」アプリを再設計しており、そのことを実証している。「メッセージ」アプリも同じだ。Appleのソフトウェア責任者であるCraig Federighi氏は同社のプレゼンテーションで、「これは、ネイティブで動作する本格的なMacアプリであり、Macに忠実なやり方で設計されている」と語った。
Appleにとって、デバイス同士をより強固に結び付け、ウォールドガーデンの壁をさらに高くすることは、可能な限り最高の体験を保証する新しい方法にすぎない。
「当初からMacは、コンピューター業界を再定義してきた。Macといえばイノベーションであり大胆な前進だった。パーソナルコンピューターの最先端に位置し続けるための変化をしてきた」「私たちがイノベーションを止めたことはない」(Cook氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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