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ビデオ会議の画質を劇的に変える--デジタル一眼を「ウェブカメラ化」してみた

山川晶之 (編集部)2020年05月02日 12時08分
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 4月7日に緊急事態宣言が発出されてから1カ月近くが経とうとしている。働き方から普段のコミュニケーションまでガラッと様変わりし、外出が必要な職種をのぞき、在宅での仕事が一般的となった。そこで一気に浸透したのがビデオ会議だ。今回の事態でZoomやMicrosoft Teams、Google Meetなどに初めて触れた人も多いだろう。かく言う筆者もその一人だ。

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PCのウェブカメラを使う機会が増えたが、画質がいまいち(写真はMacBook Pro 16インチの内蔵ウェブカメラ)

 ビデオ会議は結構新鮮な体験だったものの、あるタイミングから気になることが出てきた。それは、ビデオ会議の画質だ。リアルタイムで配信しているため、画質は大幅に圧縮されてしまう。しかも、全世界的にビデオ会議、ストリーミング配信などが活発化し、帯域を圧迫している。それによる画質の低下は仕方ない。しかし、もう一つ原因があるとすれば、ビデオ会議に使うカメラの画質そのものだ。

 きちんと統計を取ったわけではないが、ビデオ会議で使うのはPCが一般的ではないだろうか。自撮り需要で日々高性能化するスマートフォンのインカメラと異なり、PCのウェブカメラは全くと言っていいほど進化していない。例えば、2019年発売のMacBook Pro 16インチでさえ、内蔵カメラは720p止まり。もちろん、センサーのダイナミックレンジなども画質に寄与するので解像度だけで判断できないが、同じAppleだと、iPhone 11のインカメラは4K撮影に対応する。その分、センサーも世代が新しいものを採用しており、画質の差は歴然だ。

 筆者は、写真を趣味にしていることもあり、この画質が気になって仕方がなかった。オジサンの顔を高画質に映したところで全く需要はないが、部屋全体にピントが合ってしまうウェブカメラと異なり、一眼特有のボケ味で部屋の様子をうまくボカすことができるほか、被写体を高画質で撮影できるため、実写のバーチャル背景を組み合わせるとその場にいるような「リアル感」を与えることもできる。さらに、ウェビナーやライブ配信などを考えている人であれば、高画質な配信環境は今では必須と言える。なにより、外出する機会が大幅に減ってしまってカメラを持ち出さなくなり、有効活用する手段はないかと思った次第だ。

キヤノンが英断した“カメラのウェブカメラ化”

 実は、この記事を書いている最中、4月29日にキヤノンから大きな発表があった。EOSシリーズとPowerShotシリーズの一部をウェブカメラ化する公式ツールを提供開始したのだ。ベータ版ではあるが、特別な機材を使わずとも、USBケーブルでPCとカメラをつなぐだけでウェブカメラ化できるようになる(ただし、解像度は720pの模様)。

 2013年に発売された「EOS 70D」以降、キヤノンのデジタル一眼は「Dual Pixel CMOS AF」という、ライブビュー撮影や動画で使える強力なAF機能を搭載している。安定した画質だけでなく、高いフォーカス性能をウェブカメラとして利用できる素晴らしい対応と言えるだろう。なお、同様の機能はシグマのフルサイズミラーレスカメラ「Sigma fp」が先行して搭載している。ぜひ、他社にも追随して欲しい機能だ。

 本稿ではこうしたUSBウェブカメラ機能を搭載していないカメラでもウェブカメラとして利用する方法を紹介したい。さらに、Logで収録し、LUTをリアルタイムで当てることで映画調の画質で配信できる「シネマティックビデオ会議」についても、後半で解説する。

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フルサイズミラーレスのウェブカメラ化、照明の追加、Log配信→LUTを適用した結果、ここまで画質を引き上げることができた

フルサイズカメラをウェブカメラに変身させる(ハードウェア編)

 さて、ウェブカメラ機能を搭載していないカメラの映像をPCに伝送する手段として、HDMIキャプチャーなどを使った「ハードウェア」と、特別な機材なしにPCとカメラさえあれば使える「ソフトウェア」の2つのアプローチがある。カメラの映像をPCに伝送するHDMIキャプチャーは、ゲームのプレイ配信などの需要もあって数が増えてきており、1万円台のものも多い。そして、ソフトウェアでは、カメラのPCリモート機能を利用する。

 まずは、HDMIキャプチャーから紹介する。今回用意したのは以下の機材である。

  • ソニー α7R II
  • Blackmagic Design ATEM Mini
  • ZOOM H2n
  • ACアダプター(互換品)
  • LED照明 SOONWELL 「FB-11」
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カメラはα7R II、レンズはSEL28F20。手前右がBlackMagic DesignのATEM Miniだ

 HDMI出力できるカメラとして今回、ソニーのα7R IIを用意した。ソニーのカメラは、古くから動画機能に強いこともあってHDMI出力を搭載しているモデルも多く、この手の用途にうってつけだ。さらに、キヤノンやニコン、パナソニックなどもHDMI出力に対応するカメラを多数揃える。自身のカメラがHDMI出力に対応しているか、まず確認すると良いだろう。なお、顔認識AFに対応したモデルの方がより正確にピントを合わせることができる。

 HDMI出力をPCに取り込む機材として、Blackmagic Designの「ATEM Mini」を用意した。これは、4つのHDMI入力、2つのマイク入力を装備しており、複数のカメラを切り替えできる「スイッチャー」と呼ばれる製品なのだが、PCと接続するとウェブカメラとして認識する。さらに、上位機種の「ATEM Mini Pro」では、PCを使わないハードウェアでのライブ配信、HDMI出力を使った複数カメラの同時モニタリング機能、SSDなどストレージへの直接記録などが可能。

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「ATEM Mini」は4台までのカメラを接続することができる。写真右上にあるRX100m4というコンパクトデジタルカメラもHDMIで接続できた

 こうした特徴から分かるように、もともとYouTube Liveなど複数のカメラを使ってライブ配信するための機材であり、ビデオ会議用としては明らかにオーバースペック。また、この手のスイッチャーとしては常識を覆す低価格ではあるものの、約4万円と高価(ATEM Mini Proは約7万円)な上に、あまりの人気ぶりと新型コロナウイルス感染症の影響で品薄状態だ。筆者もこの記事のために4月頭に購入したのだが全く入荷せず、ライターの砂流恵介氏に機材を借りたほどだ(なお、執筆時点でもまだ到着していない)。

 単純に、HDMIの映像をPCに入力する機材としては、IODATAやサンワダイレクト、Elgato、AVerMediaなどが1万円台半ばから用意しているため、そちらを購入するとよいだろう。新興メーカーとしてPENGOなどもよく見かけるが、需要が急増したためか、ここ1〜2カ月で値段が高騰している。

 前置きが長くなったが、ここからは接続方法について説明する。カメラとキャプチャーをHDMIケーブルで、キャプチャーとPCをUSBケーブルで接続すると、ドライバーが自動的にインストールされる(UVC対応製品であれば特別なドライバーは必要ない)。これでセットアップは完了。あとは、ZoomやMicrosoft Teams、Google Meetなど各種ビデオ会議サービスのウェブカメラ設定から、HDMIキャプチャーを選択するとカメラの映像が映し出される。

 なお、モードダイヤルは「動画モード」にしておくことをおすすめする。静止画を撮影するモードだと、AFの挙動がアクティブになる傾向にある。動画モードであれば、AFの動きがなめらかになるため、自然にピントを合わせてくれる。また、カメラのモニターに表示される各種情報がそのままPCに伝送されてしまうこともある。その場合は、カメラの設定からHDMI設定を確認するとよいだろう。ソニーの場合は設定画面から「HDMI情報表示」を「なし」にすると、純粋な映像のみがPCに送られる。

 ウェブカメラ化すると気になるのがバッテリーの消耗だ。一般的なUSBウェブカメラと異なり、カメラのウェブカメラ化は内蔵バッテリーを消費するため長時間の運用は難しい(α7R IIはUSB給電に対応するがHDMI出力すると給電が追いつかない)。ACアダプターを用意すると、バッテリーを気にせず運用できる。筆者の場合は、USBポートを2つ使ってカメラに給電できる互換品を用意した。メーカーが保証する使い方ではなく、故障した場合は最悪修理を受けられない可能性があるものの、テストした限りでは数時間稼働させても特に問題はなかった。

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2つのUSBケーブルを使うACアダプター互換品を使用

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