ビデオ会議の画質を劇的に変える--デジタル一眼を「ウェブカメラ化」してみた - (page 2)

山川晶之 (編集部)2020年05月02日 12時08分

フルサイズカメラをウェブカメラに変身させる(ソフトウェア編)

 ソフトウェアベースの場合は、WindowsとMacでそれぞれ別の方法が存在する。

 まずはMacの説明として、「Camera Live」と「Cam Twist」を組み合わせた方法を紹介したい。Camera Liveは、カメラのリモート機能を使い、映像ソースをMacの映像共有システム「Syphon」に送り込むソフトだ。そして、CamTwistは、デスクトップやSyphonの映像ソースをバーチャルカム(ウェブカメラを仮想的に実現する機能)化する。これを組み合わせることで、カメラの映像を配信に使うことができる。

 まず、Camera LiveとCam Twistをダウンロードしてインストールする。次に、カメラの設定で、USB接続時の動作を「PCリモート」に変更し、Camera Liveを立ち上げたあとにUSBケーブルで接続すると、一覧に接続したカメラ名が表示される。その後、Cam Twistのビデオソースから「Syphon」を選択。設定画面の「Syphon Server」から「Camera Live」を選ぶと、バーチャルカメラのソースをカメラにすることができる。「Command + P」を押すと、プレビューが表示されるので映り具合を確かめるとよいだろう。

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左上が「Camera Live」の画面、下が「Cam Twist」の画面。Cam Twistで「Command + P」を押すと、右上にあるようなプレビューが表示される

 ただし、この手法には制限もある。解像度が低いことだ。ウェブカメラとしてテストしたところ解像度はQVGAと表示され(追記:後日テストしたところ設定から1280×720などの高解像度表示も可能と判明)、ジャギーも目立つ。より高画質を狙うなら、1080pや4K画質で収録できるHDMIキャプチャーの方がベターだろう。さらに、バーチャルカムを制限しているビデオ会議もある。直近でテストしたところ、アプリ・ブラウザともにMac版のZoomではバーチャルカムが利用できなくなっていた(古いバージョンだと映るようだが、昨今のセキュリティ問題もありあまりオススメしない)が、Google Meetでは問題なく利用できた。

 Windowsでは、カメラメーカー純正のPCリモートツールと、オープンソースのライブ配信ツール「OBS(Open Broadcaster Software)」を組み合わせた方法で動作した。OBSは、HDMIやウェブカメラなどの映像ソースを、YouTube LiveやPeriscopeなどに送るライブ配信ソフトだが、バーチャルカムとして出力するプラグインが存在する。これを組み合わせると、OBSの映像をビデオ会議などで利用することができる。なお、プラグインは現時点ではWindowsのみ提供されており、Macは開発中。GitHubのリポジトリにはベータ版のソースコードが公開されているため、ビルドできるユーザーであればこの手法はMacでも利用できる。

 ソニーの場合、「Imaging Edge Desktop」というPCソフトが無料でダウンロードでき、その中に、PCからのリモート撮影を実現する「Remote」というソフトが内蔵されている。そのソフトに表示されるカメラのライブビュー映像を、そのままウェブカメラとして使おうというのがこの手法である。

 まず、USB接続時の動作を「PCリモート」に設定し、カメラのモードダイヤルを動画に切り替えるか、撮影時のアスペクト比を16:9に変更する。次に、カメラとPCをUSBで接続し、OBSの「ソース」から「ウィンドウキャプチャ」を新規で追加。Remoteの画面を選択する。そのままでは、撮影ボタンなどのインターフェイスが映ってしまうため、OBS側のプレビュー画面で、インターフェイスが隠れるよう映像をクロップすると準備は万端。

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下がソニー純正のリモート撮影ツール「Remote」の画面。これをそのままOBS上に取り込み、インターフェイス部分をクロップしたのが上の画像。なお、上下で色味が異なっているが、これは後述するLog収録→LUT適用をしているため

 プラグインが正常にインストールされていれば、「ツール」に「Virtual Cam」という項目が追加されているはずだ。そこから、バーチャルウェブカメラを起動すると、ビデオ会議ツールやライブ配信ツールでデジタル一眼の映像を使うことができる。OBSを使うため後述のLUTを当てての配信も可能で、フレーム数が足りずにカクつきやすいものの、HDMIキャプチャーなしに配信する手段としては有用だ。なお、Windows版に限っては、Zoomでもバーチャルカムが利用できる。

レンズやマイク、照明で差をつけろ!

 基本的には、上記の内容で“フルサイズウェブカメラ”は実現する。ここでより高品質な環境を構築するTipsをお伝えしたい。

 ウェブカメラに最適なレンズだが、個人的には24〜35mmの画角、特に28mmをオススメしたい。家の中の様子が“余計なところ”まで映り込まない上に、必要以上に寄り過ぎないため「自分の顔がアップになりすぎる」といったこともない。今回チョイスしたのは「SEL28F20」。28mmでF2.0という明るさを持つため、良い感じに背景がボケてくれる。しかも、かなりコンパクトなレンズなので机においたときの威圧感もない。価格は新品で約4万円とリーズナブルだ。

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広角、明るい、コンパクトで約4万円とお手頃の「SEL28F20」。フォーカスも早く音もないため、ビデオ会議やライブ配信でオススメしたい一品だ

 こうした機材だけでも大きく画質は改善されるが、もし余裕があるなら照明をプラスすると印象が大きく変わる。一般的な照明は上から照らすため、光が顔に当たりにくい。顔にハイライトを与えるように、小型のLED照明などを“弱め”に顔に当てるとよいだろう。さらに改善したい場合は、大型のLED照明を用意し、ディフューザーを使うか、壁にバウンスさせると良いだろう。特に、バウンスすると光が空間全体に回り込むため、被写体を均一に照らすことができる。もし、本格的な照明を購入するのであれば、演色性の高い照明(Ra90以上、特にR9値が高いもの)をチョイスすると肌色がきれいに映る。

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知人から安く譲ってもらったSOONWELL FB-11
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左が照明なし、右が大型LED照明を壁にバウンスさせた場合

 ウェブ会議にとって音声も重要な要素だ。最もお手軽なのは、ワイヤレスイヤホンを使う方法。イヤホンに内蔵されているマイクをビデオ会議用として使うことができる。相手の声が綺麗に聞こえる上に、顔の位置を動かしてもマイクがずれないため、いつの間にか声が遠くなるといったこともない。「AirPods Pro」や「Jabra Elite 75t」など、通話用に複数のマイクを搭載し、ビームフォーミング技術などで声を効率的に拾うことができるイヤホンも存在する。

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筆者が使っているのは発売されたばかりのソニー「WF-H800」

 さらに追求するのであれば、外部マイクを用意する手法だ。筆者では、ZOOM(ビデオ会議のZoomとは無関係の国内老舗メーカー)のポータブルレコーダー「H2n」のUSBマイク機能を利用した。4つのマイクを搭載し、サラウンド収録も可能なモデルだ。そのほか、ATEM Miniにはマイク入力端子もあるため、外付けマイクを入力ソースとして選ぶこともできる。別途、オーディオインターフェイスを使ってコンデンサーマイクなどを入力ソースにすることも可能だ。

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USBマイクにもなるポータブルレコーダー「ZOOM H2n」。ちなみに、ビデオ会議のZoomとは全く関係ない日本の老舗メーカーである

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