新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止に向けた政策の一環として、家計支援を目的に国民1人あたりに10万円を一律で給付する「特別定額給付金(仮称)」が5月にも開始される見通しだ。条件や申請方法の確定は令和2年度の補正予算成立を待つ必要があるものの、現時点で想定されている給付対象者は、4月27日時点で「住民基本台帳」に記録されている人である。
感染拡大を防ぐため、給付金の申請は郵送またはオンラインが基本。オンライン申請の場合は、政府のサービスサイト「マイナポータル」で手続きする。マイナポータルにログインして本人確認や振込先口座の情報を入力すれば申請が済むので、各種オンライン手続きに慣れている人ならば、こちらを選びたいだろう。
マイナポータルへのログインには「マイナンバーカード」が必要で、ユーザーIDとパスワードだけで利用できる一般的なオンラインバンキングなどと勝手が異なる。マイナンバーカード内の電子証明書を読み取るため、Windows PCやMacに「ICカードリーダライター」を接続したり、NFC対応のスマートフォンを使ったり、Windows PCとAndroidスマートフォンを組み合わせたりといった具合で、特別な準備が必要だ。
補正予算が成立していないこともあり、マイナポータルで特別定額給付金をどうやって申請するかなど、具体的な手順や必要なデバイスは現時点(4月28日)で公表されていない。もっとも、マイナポータルのアクセス方法は変わらず、既存の条件が踏襲されると思われる。
そこで、マイナポータルと地方公共団体情報システム機構の「J-LIS公的個人認証サービスポータルサイト」に掲載されている情報を参照し、特別定額給付金のオンライン申請に利用できると考えられる環境を整理する。
マイナポータルへのログインには、マイナンバーカードに組み込まれたICチップから「利用者証明用電子証明書」を読み出して本人認証をしなければならない。12桁の「マイナンバー(個人番号)」が記載されただけの「通知カード」では、マイナポータルが利用できず、特別定額給付金のオンライン申請も手続きできない。
そして、マイナンバーカードのICチップから情報を得るには、カードを挿入して読み取れるICカードリーダライターか、カードをかざして読み取るNFC搭載スマートフォンが必要だ。ICカードリーダライターを使う場合は、接続したWindows PCやMacからログインする。スマートフォンの場合は、専用アプリからログインする。対応しているスマートフォンは、J-LIS公的個人認証サービスのサイトで確認しよう。
ただし、Windows PCからアクセスする場合に限り、AndroidスマートフォンをICカードリーダライター代わりに使うことも可能だ。その場合は、ICカードリーダライターを用意する必要がない。これについては後述する。
Windows PCからマイナポータルにログインする場合、マイナンバーカードの電子証明書を読み出すデバイスとして、ICカードリーダライターかAndroidスマートフォンを使う。後者だと、ICカードリーダライターをわざわざ用意する必要がないので助かる。iPhoneは、iOSの仕様による制約で今のところICカードリーダライター代わりに使えない。
Windows PCとAndroidスマートフォンの組み合わせでログインするには、PCとスマートフォンのそれぞれに「利用者クライアントソフト」をインストールし、PCとスマートフォンをBluetooth接続する。そのうえで、スマートフォンのNFC機能を用いて読み出したマイナンバーカードの電子証明書をPCへ転送するのだ。もちろん、Bluetoothに対応していないデスクトップPCの場合は、Bluetoothアダプターが必要になる。
また、Macからマイナポータルにログインする場合は、Windows PCと異なりスマートフォンをICカードリーダライターとして利用できない。専用のICカードリーダライターが必要になる。
J-LIS公的個人認証サービスのサイトに記載されているiPhone(7以降)やAndroidスマートフォンなら、利用者クライアントソフトをインストールしておけば、マイナンバーカードから電子証明書を読み出してマイナポータルに直接ログインできる。
ただし、J-LIS公的個人認証サービスポータルサイトのFAQには、「スマートフォンから電子申請をするためには、スマートフォン専用の申請システムが必要になるため、利用の可否については電子申請システム運用窓口に確認ください」と書かれている。つまり、スマートフォン単体でマイナポータルにログインできたとしても、そこから特別定額給付金が申請できるかどうか現時点では不明だ。
ただ、すでに確定申告はスマートフォンとマイナンバーカードだけで済ませられるし、PCを使わない家庭も多いことから、総務省はスマートフォンだけでも申請可能にするのではないだろうか。
前述した以外にも、OSのバージョンやウェブブラウザの種類とバージョン、Java実行環境「JRE」の有無など、さまざまな条件が指定されている。「利用者クライアントソフトのダウンロード」で確認し、申請可能になったらすぐ対応できるよう、今から準備しておこう。
マイナポータルの紹介ビデオ(出典:内閣官房・内閣府/YouTube)
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