Mara Zの本体スペックは、SoCがSnapdragon 435、メモリ3GB、ストレージ32GBとエントリークラスのレベルだ。つまり本体やアプリの動作も知れたものだろう。ディスプレイサイズは5.7型1440x720ピクセル、バッテリーは3075mAhと価格を考えると悪くない。OSはAndroid 9で、Android OneのためUIはグーグルの標準的なものだ。
カメラは背面、前面ともに1300万画素。前面カメラが高画質なのはアフリカでもセルフィーが人気だからだろう。背面をデュアルカメラにせず前面カメラにコストをかけているMara Zを見ると、アフリカのスマートフォン事情も見えてくるというものなのだ。
本体の背面には中央にライオンのロゴ、その上に指紋認証センサーと1300万画素カメラが並ぶ。オーソドックスで今となってはやや古いデザインだが、中央に位置するロゴの存在感が唯一無二の製品であることを感じさせてくれる。
そして下部には「Made in Rwanda」とアフリカで作られたことがさりげなく記載されている。外部端子がマイクロUSBなのも古臭さを感じさせるが、アフリカで出回っている大量の旧モデルや中古品を考えると、同じケーブルを使いまわすためにはType-Cよりこちらの選択が現実的なのだろう。
Mara Zのスマートフォンとしての性能はスペック相応であり、標準的なUIを搭載していることからこれといって特徴的な機能などもない。実際に使ってみると、片手でも楽に持てる大きさは好感が持てる。ただし、標準でスクリーンプロテクターフィルムが貼っていないのがやや残念だ。もしかするとスマートフォン販売店がフィルムを販売・貼り付けすることで少額でも利益を得られるように、なんてところまで考えているのかもしれないが。
また、当然だがグーグルアシスタントも利用できる。アフリカでの通信回線事情がどの程度整備されているかは筆者は体感していないのでわからないが、文字を打たずとも操作や文字入力ができるのは新興国では喜ばれる機能だろう。
SIMカードは2枚装着可能。筆者が10年くらい前にアフリカの関係者に聞いたところ、停電が多いことから2つのキャリアのSIMカードを入れておき、万が一片方の基地局が停電で使えなくなった時にもう片方のキャリアで使えるようにしておく、なんて話を聞いた。今はどうなっているのだろう。
カメラのUIも単純明快で細かい設定事項もあまりなく、買ってきてそのまますぐに使えるという点は最近の多機能スマートフォンと比べるとシンプルで好感が持てる。
Mara Zの特徴はアフリカ製造であること、ストレスなくシンプルに使える操作体系、そしてパッケージや付属品、本体の仕上げなどに“プチ高級感”を味わせてくれるところだ。Tecnoが圧倒的な製品数と価格を武器にアフリカ全土で販売数を増やしている中、後から市場に参入したMara Phonesは同じ土俵では戦わず独自路線でユーザーを増やそうとしているのだろう。
今後ユーザー数が増えれば製品へのフィードバックも多くなり、アフリカ人が好む製品の開発にも弾みがつく。今後の成長が期待されるアフリカ市場で、Mara Phoneは着々と存在感を高めていくだろう。
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