新型コロナウイルスで製造サイクルが減速しつつある状況から、最も大きい恩恵を受けるのは、折りたたみ式スマートフォンかもしれない。2019年にサムスンの「Galaxy Fold」が登場してからというもの、折りたたみ式スマートフォンは当初の期待に及ばず、出荷の遅れ、目の飛び出るような価格帯、未完成の機能といった点ばかりが注目を集めることになってしまった。
開発を一時停止すれば、折りたたみ式スマートフォンは棚上げされることになる。だが、それがメーカーにとっては時間稼ぎになり、事業が再開したときには、もっと緩やかなペースを取り戻すことができる。
折りたたみ式スマートフォンのリリースを遅らせれば、Galaxy Foldの初期レビュー端末で見られたような、またMotorolaの「Razr」でも再発したような、手厳しい評価を受けることも避けられるだろう。どちらも、目玉となるはずのコンセプトをうまく実機で形にすることができていないように思える。
スマートフォンメーカー各社は、この機会を利用して一旦後退し、本当に斬新で人々をわくわくさせるような、かつ堅実なデバイスを生み出せる自由と余裕をエンジニアに与えることができたらいいと私は願っている。
だが現実的には、販売に混乱が生じれば、メーカーは減少した利益を補おうと躍起になり、できるだけ早く新製品の製造を増やそうとするだろう。そして、短期的には、工場も会社も閉鎖されたまま、従業員は研究施設ではなくオンラインでの協働作業に制限され、エンジニアは疎外感を感じることになりかねない。セキュリティの厳しいオフィスに制限されるようなトップシークレットのプロジェクトとなれば、なおのことだろう。
5Gのテストと開始が滞った場合、各メーカーは試作機を開発できず、従業員同士が連携して設計と実装に取り組むことができなくなる。新型コロナウイルスの大流行は、設計者たちに時間的な余裕を与えるどころか、スマートフォンの進歩を遅らせるという可能性すら、現実味を帯びてきているのだ。
アイザック・ニュートンが万有引力の法則を発見したのは、17世紀にロンドンでペストが流行している最中だったという説はよく知られている。運が良ければ、AppleやGoogle、サムスンなどからどれか1社でもニュートン級の逸材が登場して、今のこの混乱の中、残りの各社が皆「なるほど」と思うようなアイデアが生まれるかもしれない。そんな僥倖を期待したい。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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