外泊したら家賃が安くなるサービス「unito(ユニット) 」 が始動した。4月には東京都渋谷区に「unito Shibuya」、千代田区に「unito Chiyoda」を相次いでオープン。外泊するほど安く住める、サブスクリプション住居の提供が始まった。
4月6日にオープンしたunito Shibuyaは、約5平方メートル〜の個室ワンルームを5部屋、カプセル6ベッドを用意する。ワンルームは3.5〜6畳の広さがあり、セミダブルベッド、収納スペース、作業エリア、テレビを完備。カプセルは三方が壁になった造りで、Re-rent時は専用ロッカーに荷物を預けられる。物件設備としてシャワーと洗濯乾燥機、キッチンを備える。
こだわったのは立地だ。提供する部屋は東京23区内、山手線の内側を中心に展開。仕事場から徒歩または自転車通勤ができる物件を中心として、満員電車を避け、始業前、就業後の時間に余裕が生まれる新たなライフスタイルを提供する。unito Shibuyaは渋谷駅新南口から徒歩9分、恵比寿駅、代官山駅からそれぞれ徒歩8分の場所に位置する。
unitoを立ち上げた代表取締役の近藤佑太朗氏は「1つは『毎日家に帰る人と、帰らない人が同じ家賃を払ってるのはおかしくないか』と思ったこと。自分自身、出張も多く、実家が都内にあるため、家に帰っていたのはひと月のうち10日間程度。周りにも毎日に家に帰るという生活スタイルの人が意外と少なかった」ときっかけを話す。
近藤氏によると、20〜30代の未婚で経営者、フリーランス、IT系企業の勤務している友人知人は、友だちや彼氏彼女、実家などに泊まって、家に帰らないシーンを見ることがよくあったとのこと。「こうした状況は、データとして顕在化していないからこそ、それに応えるサービスに可能性を感じた」と話す。
また、「フリーランスや起業家など個人事業主は審査が通りづらく、家が借りられないこともある。これは合理的な判断基準ではない。さらに、礼金、保証登録料といった初期費用が高すぎ、引っ越し自体がかなり重たい作業になってしまっている。この部分はもっと合理化できると感じた」と、現在の賃貸不動産の現状にも一石を投じる。
ユニットは好立地をいかし、住居としてだけではなく、宿泊先としても機能することが最大の特徴。住人が外泊時に部屋をホテルとして貸し出すシステムで、外泊したら家賃がかからない料金システム「Re-rent機能」を導入する。
Re-rent機能は、外泊する日をunitoのアプリケーションから、ワンタップで申請することにより、日数分の家賃が割り引かれる仕組み。例えば、unito Shibuyaの6畳個室は家賃が12万4000円で、1泊外泊するごとに4000円が差し引かれる。同様にカプセルベッドは家賃が8万6000円で、1泊外泊するごとに2500円が差し引かれる。Re-rentの上限は年間180日だ。
宿泊施設として貸し出す際は、専用の収納棚に荷物を入れておくことが可能。宿泊後は運営スタッフが部屋を掃除してくれる。
初期費用として個室8万円、カプセルベッド3万円が必要。最低入居日数は1カ月で、定期賃貸借契約は1カ月の自動更新になる。連帯保証人、敷金、礼金、仲介手数料は不要。水道光熱費と管理費は家賃に含まれる。近藤氏は「高い初期費用、非合理な信用の測り方、情報の不透明性により、その行き来に障壁が生まれている。unitoではその部分をクリアにして行きたい」と意気込む。
住むと泊まるの両方の機能を持つunitoだが、近藤氏は「暮らす場所、つまりメイン拠点として使ってほしい」と「暮らし」に軸足を置く。場所を東京都心、なおかつ山手線の内側に制限しているのもそのため。その分、物件の確保は競争率が高そうだが、3月に立ち上げた「Unito Biz(ユニット ビズ)」を活用する方針だ。
ユニット ビズは、宿泊施設向けにRe-rentを導入する長期滞在者の集客支援と、宿泊施設の撤退支援を兼ね備えたサービス。すでに宿泊施設や民泊施設の事業譲渡や売買を手掛けるDevoteと業務提携し、事業の撤退、譲渡を支援するサービスも合わせて提供する。近藤氏は「既存の宿泊施設に導入していただく形で、unitoを増やしていきたいと」と施策を話す。
すでに、定額住み放題多拠点生活プラットフォーム「ADDress」や世界中住み放題の定額制サービス「HafH」など、従来の賃貸住宅には縛られない新しい住み方を提案するサービスが登場している。近藤氏は「ADDressやHafHを競合として挙げられることが多いが、私が考えるにunitoはメイン拠点で、ADDressやHafHはサブ拠点。unitoにすんでいただきながら、サブ拠点としてADDressやHaffを利用していただくのが良いと思っている」とunitoを位置づける。
外泊したら家賃がかからない料金システムRe-rentは、家賃の全く新しい仕組み。近藤氏も「もっとブラッシュアップして行く必要がある。ユーザーの声を聞きながらまずは半年かけてトライアンドエラーを繰り返し、シームレスなものにしていきたい」と今後を見据える。
unitoは、2020年中に100室の導入を目指す。近藤氏は「『一人暮らし始めた』というように『unito始めた』といってほしい。シェアハウス、実家ぐらし、一人暮らしに並ぶunitoを目指したい」とした。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス