新型コロナウイルスの感染拡大により、全国の小中高校が休校となって半月以上が経った。「中高生がカラオケやゲームセンターに出入りしている」という報道もあり、平日は施設によっては小中高生だけの入場を制限する動きもある。
学校だけでなく、塾や図書館なども休講・閉館となっていることも多い中、子どもたちはどのように過ごしているのだろうか。SNSに見る休校中の子どもたちの様子と、有効に活用している実態を見ていきたい。
「いきなり後輩に会えるのがその日が最後と言われても。悲しいより混乱した。卒業前の大切な1ヶ月が突然消えた」ーー。突然の休校要請を知った時の、ある高校生の言葉だ。
「3月の演奏会に向けて、ずっと練習を続けてきた吹奏楽部の子たちは、いきなり中止になって泣いていた。他の部も、発表会は全部なくなってしまった。練習もできないし、人が集まることだからできないのはわかってるけど…」
卒業式も卒業生のみ、あるいは卒業生と保護者のみなどに縮小したり、中止となった例もある。「楽しみにしていた卒業旅行が取りやめになった。受験時もずっと旅行を楽しみにがんばっていたのに…」という生徒もいる。
「学年末テストも中止になった。喜んでいる後輩もいるけれど、進級や推薦のためにがんばっていた子たちはかわいそう」。テストがなくなり、内申点がどうなるかわからず不安という声もある。
一斉休校やリモートワークなどにより、インターネットのトラフィックが増えたという話がある。実際、インターネットイニシアティブ調べによると、平日1日でアップロードで6%、ダウンロードで15%ほどの増加があるという。オンライン授業、ビデオ会議などで利用者が増えたと考えられるだろう。子どもたちに限っても、インターネットの利用時間が増えたという子がほとんどだ。小学生の保護者たちの多くは「1日中YouTubeとゲームばかり」とこぼす。
先程の高校生に、休校中の中高生がカラオケやゲームセンターに出入りしているという先程の報道について聞いてみた。「休園前のディズニーランドには遊びに行っている子が多かった。確かにInstagramは遊びのお誘いだらけだし、ストーリーズにはよくみんなで遊んでいる様子が流れてくる」とある程度は同意した。
一方で、「でも行き場所もないし、中高生が感染を拡大しているわけでもないのに悪者にされていると感じる」と不満も漏らす。彼女もInstagramやLINEなどで遊びに誘われるが、正直出歩くのが怖いという。しかし、誘いを断ると関係が悪くなりそうで、困っているそうだ。
また、LINEなどでは「まだこの辺では感染者が出ていないから、出歩いても大丈夫じゃね」というのんきな声もあるそうだ。Twitterでは「◯◯(町の名前)で感染者が出たらしい」という不確かな情報を流している人を複数見かけたという。不安で情報が不足しているときにデマを流したり信じたりするのは、大人も同じだろう。
逆に、休校を前向きに捉えてがんばっている子どもたちもいるようだ。「休校をチャンスに変える」と考えて、勉強する時間に当てている高校生がいる。「1日10時間以上勉強できている。どうせ出られないし集中できる」という。スタディプラスに記録している時間を教えてもらったが、毎日10時間前後、多いときには12時間近い学習ができているようだ。
「気晴らしを兼ねて、早朝に散歩にでかけたり、YouTubeでエクササイズ系動画を見つけて、毎日運動の時間を設けている」という高校生もいる。バスケ部というある男子高校生は、「部活ができないのがつらいが、せめて体を作っておこうとアプリに記録しながら運動をしている」という。筋トレアプリを使いながら室内でトレーニングしているそうだ。
「時間ができたので、興味がある職業について調べたり、その職業に就いている人にTwitterでコンタクトを取って、やり取りをした」という生徒もいた。「前よりもっとやりたい気持ちが高まった。普段だったら、部活とか遊びとかで忙しくてできなかったからよかった」。
現在、休校中の中高生対象に、「アオイゼミ」やオンライン学習アプリ「N予備校」、「Z会Asteria総合探求講座」など、多くの優良なオンライン授業や学習コンテンツが無料公開されている。学ぶ意欲が強い学生にとっては、有意義に使えるだろう。
子どもたちが出歩いている旨の報道がある一方で、突然の休校に悲しみながらも、時間を有効に活用できている生徒も多いようだ。テレワークで在宅中心となった方も多いだろう。高校生たちを見習って有効に時間を活用したいものだ。
なおNHKでは、臨時休校で卒業式ができなくなったり縮小された生徒たちに卒業式を送る「みんなの卒業式」という特番を3月24日に放送予定。卒業式が中止・縮小となってしまった皆さんは、このような番組に参加して卒業式気分を味わってみてはいかがだろうか。
高橋暁子
ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。
ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/
Twitter:@akiakatsuki
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