デジタル活用の事業刷新は「今が勝負どころ」と語るクニエの戦略

 朝日インタラクティブは2020年2月18日から2日間、都内で「CNET Japan Live 2020 企業成長に欠かせないイノベーションの起こし方」を開催した。

 NTTグループ唯一の総合コンサルティングファームであるクニエは、「新規事業創出に向けて乗り越えるべき3つの壁と対策」として、新規事業の創出事例を紹介。クニエ コンサルティング事業本部 マネージングディレクターの照井 栄介氏と、コンサルティング事業本部 シニアマネージャーの里泰志氏が登壇した。

クニエ コンサルティング事業本部 マネージングディレクターの照井 栄介氏
クニエ コンサルティング事業本部 マネージングディレクターの照井 栄介氏
クニエ コンサルティング事業本部 シニアマネージャーの里泰志氏
クニエ コンサルティング事業本部 シニアマネージャーの里泰志氏

オンライン・オフラインを区別しない顧客体験の構築

 テクノロジーの発展に伴い、業務業態における現実世界と仮想(ネット)世界の垣根は崩壊している。クニエ コンサルティング事業本部 シニアマネージャーの里泰志氏は、「この現代において企業が継続的成長を目指すには、オンライン・オフラインを区別しない顧客体験の構築が重要」と説明。そのため各企業はオムニチャネルを有効活用し、顧客へ直接リーチする手法を構築していると語った。

 シスコの調査によれば、2003年に世界で使用されていたコネクテッドデバイスは5億台程度。当時の世界人口が63億人なので、1人あたり0.1台の普及率だった。だが、2020年には500億台のコネクテッドデバイスが使用されているという。世界人口は76億人なので、1人あたり6.6台となる計算だ。つまり、現代では誰しもが何らかのコネクテッドデバイスを身に付けていることとなる。そのため、企業も新たなチャネルに着目し、次々と施策を打ち出してきた。

 たとえば、AmazonはAIカメラやセンサー、機械学習を活用した無人レジなし店舗「Amazon Go」を2018年1月から展開。サブスクリプション型の洋服小売り業者であるTechStyle Fashion Groupは、試着室に持ち込まれ購買に至った商品をトラッキングし、売り上げ傾向を踏まえて品揃えや商品企画に反映させる取り組みを展開している。

 このような顧客体験の向上に向けた施策は、米国企業に限らず、Amazon Goに類似した取り組みも日本で始まっているという。たとえばセブン&アイ・データラボでも、参画企業グループの情報資源を組み合わせて、異業種連携から新規事業創出や社会課題の解決を目指している最中だ。里氏は「まだ勝負はついていない、今が勝負どころだ」との意気込みを示した。

段階的に進めて成功体験を積み重ねることで、新規事業創出が成功もしくは早期撤退のタイミングを見極めやすくなる
段階的に進めて成功体験を積み重ねることで、新規事業創出が成功もしくは早期撤退のタイミングを見極めやすくなる

 2019年12月、経済産業省がコンビニ24時間営業の再考を促す声明を出したことにより、大手コンビニ各社ではリアル店舗の見直しを強いられることとなった。そこで、クニエはあるコンビニ事業者に対し、既存店舗の課題だったレジ待ち解消と、データ活用による顧客サービスを実現するため、「マイクロマーケット進出」「リアル店舗データの取得」の実証実験を提案した。

 マイクロマーケットとは、住宅街に設置した通常店舗と比べて想定日販が半額となる、中小規模の商圏を指す。このような、従来型の有人店舗では採算が厳しいエリアへのレジレス店舗設置を目指すのが、実証実験の狙いだ。

 そして、リアル店舗データの取得は、利用者が個人アカウントを持つことで、ユーザーを識別し、顧客行動データを蓄積。嗜好(しこう)に応じたレコメンドや、入店時などタイミングを見計らったレコメンドの送信を行うというものだ。

 利用者としては、QRコードを表示するのみでレジに並ぶ必要がなくなり、ストレスの軽減が図れる。店舗オーナーでは、レジ待ち解消による購買機会の最大化や、全体業務の4割にもおよぶレジ業務の効率化といった利点がある。コンビニフランチャイザーとしては、不採算なマイクロマーケットへの出店判断や、消費者の店内行動をデータ化したデジタルマーケティングの実施が可能となる。さらには、他チャネル連携やプライベートブランド商品開発にもつながるという。

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