エアラインの枠を越えたANAの新規事業の進め方--制約を取り除き新しい世界を拓け - (page 2)

ANAの次なる柱はドローン、宇宙活用、アバター

 そんなデジタル・デザイン・ラボが、設立当初にイノベーションへとつながる新規事業を検討した際に考えたのは、「既存の商品やサービスの価値を一気になくしてしまうような破壊的なイノベーションは何か」ということ。そのときに出たアイデアが、発着に空港のような設備が必要ないドローンを利用した輸送・交通手段や、宇宙空間を利用した超高速の移動手段、物理的な移動が不要になる「アバター」の技術だった。

エアラインにとっての「破壊的存在」をイメージして生まれた3つのプロジェクト
エアラインにとっての「破壊的存在」をイメージして生まれた3つのプロジェクト

 これら3つのアイデアをもとにした新たなプロジェクトがすでに発足している。1つは「ドローン・エアモビリティ」。2019年8月には福岡市玄界島で、海産物を片道10km以上輸送するドローンの目視外飛行の実証実験を実施した。同年9月から10月にかけては、長崎県五島市で離島間の生活物資輸送も行っている。

福岡市玄界島で海産物を輸送する実証実験
福岡市玄界島で海産物を輸送する実証実験
長崎県五島市で生活物資を輸送する実証実験
長崎県五島市で生活物資を輸送する実証実験

 実証実験だけでなく、台風被害により孤立した奥多摩地域への物資輸送という実地活動も成功させ、今後はアフリカ・ザンビアや、国内の神奈川県、大分県、香川県、北海道旭川市などでもドローンを活用した取り組みをスタートさせるとしている。交通手段としてのドローン、いわゆる「空飛ぶクルマ」についても、2025年以降の実現を目指して進めており、2025年開催予定の大阪万博でお披露目する可能性があることも示唆した。

孤立した奥多摩地域への物資輸送をドローンで行った
孤立した奥多摩地域への物資輸送をドローンで行った

 宇宙空間を利用したプロジェクトについては、旅行会社のエイチ・アイ・エスと共同で、宇宙旅行や宇宙ステーションへの物資輸送など事業展開を計画しているのが1つ。さらに、高高度のジェット気流の3次元風速データを人工衛星で収集し、それによって最適な飛行経路を割り出して燃料削減を実現する取り組みや、「アジア初の宇宙港」を目指し、米Virgin Orbitとともにジャンボジェット機による人工衛星打ち上げを行うプロジェクトなどが具体化しているとした。

エイチ・アイ・エスと共同で宇宙旅行や物資輸送を計画
エイチ・アイ・エスと共同で宇宙旅行や物資輸送を計画
ジェット気流を活用した高効率な移動もプロジェクト化
ジェット気流を活用した高効率な移動もプロジェクト化
ジャンボジェット機による人工衛星打ち上げも
ジャンボジェット機による人工衛星打ち上げも

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