アバターについては、同社が世界的賞金レースのXPRIZEをスポンサードする形で、全世界の企業がアバターロボットの開発を進めているのに加え、ANA自身も社会実装のしやすい普及価格帯の「newme」というコミュニケーションロボットの提供をすでに始めている。これ以外にも、エンターテインメント用途の背負い型ロボットや釣り型ロボット、障害者の就労を支援するダイバーシティ型ロボット、災害救助用途も考えられる二足歩行ロボットなども検討中だという。
これら3つの柱となるテーマに沿ったプロジェクトの他にも多様なプロジェクトが動き始めている。「赤ちゃんが泣かないヒコーキ」というプロジェクトでは、NTTや東レ、コンビなどと連携して、気圧の変化などで赤ちゃんが号泣しそうなタイミングを予測し、対策を取れるようにする仕組みづくりを検討している。また大人向けにも、長い空の旅で疲れるのではなく、到着時にはかえって元気になるような機内での取り組みも検討中という。
さらにはANAのマイルで投資できるクラウドファンディング「WonderFLY」、航空便の搭乗予約の数と株価に相関関係があると仮定して、独自のAIモデルやデータを加味して未来の搭乗旅客数予測する「ANA証券」、シェアリングエコノミーのシステムを活用したエコツーリズムのサービス、地方での第2の拠点形成を支援する定額制の航空券・地域拠点提供サービスなど、取り組みは多方面に渡っている。
津田氏は最後に、同社が開発しているアバターのコンセプトワードとしている「beyond all」(すべての制約を超えて)という言葉を紹介した。同氏によれば、現在は金銭的、地理的な問題などから飛行機を利用しているのは世界の6%の人に限られているという。それらの制約を「どう取り除いて残りの94%の人を遠いところとつなげるか」を目指しているのがアバターだ。
しかし、制約はどの分野のイノベーションでも同じように存在する、と同氏。「今ある制約を当たり前のものとしてやっていくと大したものは生まれない。制約を取り除くことで新しい世界が拓けてくる、という考え方が大事ではないか」と語り、イノベーションと新規事業開発を進めるうえでのヒントを投げかけた。
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