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日鉄興和不動産、マンション専用MaaS「FRECRU」を実験運行--MONETのシステム活用

佐藤和也 (編集部)2020年02月21日 17時38分
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 日鉄興和不動産は2月20日、東京都江戸川区にある分譲マンション「リビオシティ・ルネ葛西」にて、マンション向けMaaS(マンション専用オンデマンドモビリティ)「FRECRU」(フリクル)の実験運行を、2月21日から開始することを発表した。運行システムには、MONET Technologiesの配車プラットフォームと、乗車予約ができるスマホアプリを活用する。

「FRECRU」として運行する車両
「FRECRU」として運行する車両

 これは、マンション入居者の専用サービスで、利用者はスマホアプリで予約を行い、運営側が設定したエリア内の乗降ポイントを任意で乗り降りが可能。26人乗りマイクロバス1台を平日のみ運行する。実験運行期間は6カ月から1年程度を予定。初期段階では乗降ポイントを駅や公園、病院など11カ所に設定しているが、利用実績や要望を踏まえて増加や見直しを検討する。

今回のFRECRUによる取り組みについて
今回のFRECRUによる取り組みについて
MONET Technologiesのシステムを活用。左下のタブレットに運行計画などが表示される
MONET Technologiesのシステムを活用。左下のタブレットに運行計画などが表示される

 朝の通勤時間となる7時から9時までは、最寄りの東京メトロ葛西駅までのシャトル運行を実施。9時30分から23時までは、オンデマンドシステムで周辺乗降ポイントへの運行を実施する。予約は乗車する24時間前から10分前まで可能。利用料金は1回につき300円で、シャトル運行時は200円。いずれも小学生以下は無料としている。決済は紙の利用券のほか、PayPayにも対応。アプリ内でのクレジットカードを用いた決済にも今後対応予定という。

アプリ機能について
アプリ機能について

マンション単位におけるMaaSの取り組みへの挑戦と狙い

 日鉄興和不動産とMONET Technologiesは東京都内で記者会見を実施。登壇した日鉄興和不動産 常務取締役 住宅事業本部長の吉澤恵一氏とMONET Technologies 代表取締役副社長兼COOの柴尾嘉秀氏が、導入の背景や経緯について説明した。

日鉄興和不動産 常務取締役 住宅事業本部長の吉澤恵一氏(左)と、MONET Technologies 代表取締役副社長兼COOの柴尾嘉秀氏(右)
日鉄興和不動産 常務取締役 住宅事業本部長の吉澤恵一氏(左)と、MONET Technologies 代表取締役副社長兼COOの柴尾嘉秀氏(右)

 同社におけるマンション事業においては、無人コンビニや宅配型トランクルーム、家具のサブスクリプションサービスなど先進的な取り組みも行っており、MaaS領域においても2016年6月にMONETコンソーシアムに加入している。

 不動産デベロッパーなどのMaaSへの取り組みは主にエリア単位となっており、マンション単位におけるモビリティ領域の取り組みとしては、マンション内でのカーシェアやサイクルシェア、最寄り駅とのピストン運行を行うシャトルバスはあるものの、MaaSへの取り組みはこれまで見受けられなかったという。

 対象となるリビオシティ・ルネ葛西は、東京メトロ葛西駅から徒歩18分の立地にあり、総戸数は439。入居者に若年層が多く、MaaSへの許容性があると推察されることや、周辺に公共施設が点在しているほか異なる鉄道路線もあり、多様なニーズを確認できることから実験運行を決定。さらに利用ニーズなどを住人にヒアリングを行い、さまざまな意見があるなかで一定のニーズを感じているという。例えばカーシェアについても、ちょっとした移動では手軽に使えると言い難いことや、特に女性を中心としていつも使っている車ではないことに抵抗感を感じるという意見もあったという。

 最寄り駅以外の移動ニーズも、ヒアリングを通じて公共施設が点在している地域でもあるため求められていることを確認しているほか、子どものライフスタイルの変化に伴って塾や習い事などの移動に活用できることや、マンション専用であれば子ども一人でも安心して乗せられるという声もあったという。

 主に駅からの距離があり、路線バスの利用も難しい立地などでは、前述のようにマンションからシャトルバスでの運行をしているケースはあるものの、駅との往復運航のため、通勤通学の用途がメインとなる。そうなると昼間の稼働率はおおむね低くなり、維持コストも高く、500戸以上の大規模物件でないと継続が困難と指摘する。

 これを踏まえ、オンデマンド運行によって昼間の稼働率を高め、維持コストを下げることができれば、より小規模物件でも住民専用モビリティ導入の可能性が見えてくると期待を寄せる。今回の取り組みでは、おおむね一日300人の利用があれば、運営コストが赤字にならないラインとしている。今後の展望としても他物件での導入や移動以外の付加価値を検討していくという。

 吉澤氏は、近年のマンション立地において、駅からの距離が重要視される傾向にあり、特に首都圏の新築マンション市場は都心の便利な物件に人気が集中し、価格が高騰しているという。今回のマンション向けMaaSの取り組みが広がり、郊外や駅から遠い物件での利便性の向上を図ることができれば、新たな土地活用や安価なマンション開発の可能性が見いだせると説明した。

   柴尾氏は、乗車動向や車両の動きなどのログデータを用いて、住人の声をシステムに反映し生活の実態にあわせたものにしていき、満足してもらえるものにするとともに、このノウハウを活用して過疎地などでも事業を展開していきたいとした。

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