インドのスマホ市場--シャオミがサムスンから首位の座を奪うまで - (page 2)

Rajiv Rao (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 川村インターナショナル2020年01月13日 07時30分

 MicromaxやIntexといったインドのメーカーが、スマートフォン競争の初期に一時的にでも大きく躍進したものの、その勢いを続けられなかったことは確かだ。まず、コモディティー化がかなり進んだ市場で、中国や日本のメーカーのようにイノベーションを起こすことができなかった。次に、2017年頃のことだが、先見の明があったほかの市場とは違って、4G路線をとらないという失敗を犯したのが致命的だった。

 ほとんど一夜にして、インドメーカー各社は失墜した。皮肉なことに、ナショナリズムが目立つ今のインドで、国民の10人に7人近くがほぼ間違いなく、中国製のスマートフォンを日常的に持ち歩いていることになる。控えめに言っても、インドとは難しい関係が続いてきた、歴史的な「大敵」中国の製品をだ。

 シャオミが見つけたもうひとつの成功のカギは、オンライン市場を苦もなく制したあとで、今度はまるで闘犬のようにオフライン市場に狙いをつけたことだった。インターネット上で販売されているスマートフォンの2台に1台はシャオミ製品だ。2017年には、家電量販店にポップアップストアを出店し始め、続いて「Preferred Partner」という独自のマルチブランドストアを展開。自社のスマートフォンだけでなく、他社製品も系列店ごとの売り上げを増やすために販売するという賢い戦略をとった。その次が、専門ストア「Mi Home」だ。こうして、シャオミはtier 2、tier 3の町で市場シェアの獲得に成功する(注:インドでは人口や所得などの基準で都市が分類されおり、tier 1が主要巨大都市、以下は地方都市とされている)。これまでのような独占的な販売戦略に膨大な費用を費やす必要がなかったのも、サムスンとの違いだ。

 2019年第2四半期には、インドでスマートフォン全体の出荷台数が3690万台を記録し、成長率は依然として急上昇中と、シャオミにはこれからも輝かしい未来が待っているように思える。だが、スマートフォン業界は実に移ろいやすく、1年後には市場の状況が今とは全く違っているかもしれない。欧珀(オッポ)、Vivo、華為技術(ファーウェイ)など、シャオミと競合するほかの中国企業も、シャオミほど長足な発展は遂げていないものの、やはりインド市場にあふれている。その多くが狙っているのは、市場のニッチなセグメントだ。そして、これほどの激戦区だからこそ、変化はまたたく間に起こりうるし、次のシャオミになろうと参入の隙をうかがっている企業も少なくない。

 一方、サムスンもすぐに消えてなくなるわけではない。それどころか、2019年にはシェアが前年の23%から26%へと3ポイントも復調している。サムスンの小売り販売の普及、アフターサービスのネットワーク、そしてもちろんその輝かしいブランドも、いまだ健在であり、多くのユーザーを引き付けている。つまりシャオミは、現在の優勢を維持するために、こうした難題に取り組まねばならないということだ。とはいえ、当面は、インドのスマートフォン市場において堂々と王者を自称してもいい立場だろう。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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