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「IPOに踏み切るかは戦略のひとつ」--メドレー代表の豊田氏が語る上場への思い - (page 3)

日沼諭史 藤井涼 (編集部) 坂本純子 (編集部)2019年12月31日 10時00分
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重要なのはデータ分析--5Gの前にやるべきこと

――今のところ患者視点だと、「医療×テクノロジー」はせいぜい「お薬手帳」がスマートフォンアプリ化した、というレベルではないかと思います。テクノロジーが医療業界に普及したねとか、便利になったね、と本当の意味で言えるようになるのはいつ頃になりそうですか。また、そこに御社が絡むとすれば、どんなことができたらいいと考えていますか。

 患者体験という意味では、仕事が忙しくて必要なのに病院に行けないという人もいます。もしくは、通院すること自体や、病院で診察を待つのが嫌で我慢する人も一定数いる。シームレスにインターネットを活用して早めにかつ継続して医療サービスを受けられる体制を作りたいと思っています。イメージとしては5年や10年のスパンになると思います。2、3年ということはないだろうと。

 また、データを活用した医療システムの再構築みたいなところも考えていきたいですね。現在の日本では医療情報・診療情報がまったく活用できていない状況です。データ化がされてないんですね。医療費の負担増が社会課題ではありますが、検査や薬が進化し、人件費も社会が成長するならコストは上がっていくはずなので、結局のところ医療費を抑えるのは無理だと思うのです。

 医療費を横ばいにするとか、マイナスにすることは難しくても、無駄を削ることはもっとできると思っていて、その分医療従事者の待遇を改善したり、病院が設備投資できるようにしたりといったことができたらいいなと思っています。そういう無駄をなくす意味でも、データ分析が何よりも重要です。それができていないのが問題なので、医療の仕組みを考え直し、改善するのに十分なデータ収集の仕組みを作らなければいけないと思っていますね。

――豊田さんが「医療にうまくテクノロジーを取り入れてるな」と感じる国やグローバル企業はありますか。

 デジタルトランスフォーメーションしてうまくいった保険会社の1事例として、中国の医療プラットフォームを提供する平安(ピンアン)の「平安保険」に注目しています。あと、やはり米国ですね。米国は民間の保険会社が強いので、医療の効率化についての圧力が保険会社から入るのです。

 たとえば隣の病院で先週MRIをとって、今週はまた別の病院でMRIをとる、なんていうのは日本では許されますが、米国の保険金を支払う側からすると、最初のMRIの情報を送れば済むだろう、なぜプラス15万円も使っているんだ、という話になる。

 米国は民間がやってるからこそ、市場の原理が働いている。逆に言えば、貧乏人は医療を受けられない、といったことが起こるので、適切なバランスをとることが大事だとは思います。三権分立ではありませんが、「患者」が保険会社を選び、保険会社は「病院」に対して余計な医療を施していないか睨みを利かせる、そういうジャンケンの関係性みたいなものはあっていいと思っています。

――2020年は5Gがいよいよ本格化すると言われています。御社が提供されているようなクラウド診療の仕組みと5Gは親和性が高いのではないかと思うのですが。

 医療業界では5Gの前にやることがありすぎるのです。なんというか、飛行機すら飛んでいないのに月に行こうとしているみたいな、そういう感じになる(笑)。まずはプロペラ機を飛ばすとか、ジェット機を飛ばすとか、そういうステップが必要です。

 医療では5Gとの相性がいい部分もあるとは思うのですが、それを受け入れるだけの土壌が今の医療業界にない。すごく専門的なニッチな治療法では5Gが使えるかもしれませんが、それよりは一周回った技術の方がいろんな面で受け入れも早いですし、安全性も高いと思っています。

 いきなり遠隔手術で、と言われても、5Gがどれだけ安定して通信できるのか誰もまだわからないような状況です。実用化されていない段階で、唐突に遠隔手術に5Gを使うことはまず起こりえないと思います。なので5Gに向かうステップを踏みながら、1、2年遅れて5Gの医療への応用が考えられていく、という流れになるのではないでしょうか。

 そもそも4Gでも十分なことが多い。できていないのはどちらかというと規制が理由です。内視鏡のリアルタイム映像を遠隔から見ながら先生が手術する、みたいな用途は5Gが必要ですけども、今はそれを必要としているシチュエーションはほぼない。

 「5Gがあるからこれが可能になる!」みたいなこともあまりありません。夢のない話かもしれませんが、まず今の状況でやれることをやってから5Gに行った方がいい。5Gの前にやるべきことがたくさんありますね。

「医療業界では5Gの前にやることがありすぎる。飛行機すら飛んでいないのに月に行こうとしているような感じ」(豊田氏)
「医療業界では5Gの前にやることがありすぎる。飛行機すら飛んでいないのに月に行こうとしているような感じ」(豊田氏)

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