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ティム・クック氏が来日--Apple Watchの心臓疾患活用に「感銘受けた」 - (page 2)

坂本純子 (編集部)2019年12月09日 18時32分
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Apple Watchを治療に取り入れるメリットとは

 木村氏はクック氏に、治療の取り組みなどについて説明した。Apple Watchを取り入れた治療にのメリットはなにか。「たとえば、糖尿病の人に『運動しなさい』というだけではなく、Apple Watchのリング(消費アクティブカロリーのゴール)を200~300キロカロリーに設定しておいて、それが一周するまで運動してください、何歩歩きなさい、というほうが分かりやすい。目標にもなるし、患者さんのモチベーションも上がり、自己管理ができるようになる」と説明。自然とクルマから歩きに変える、散歩をするようになるといった効果があるという。

電子カルテの隣にiPadを置き、iPadをサブモニタのようにして診療する。Apple WatchとiPhoneを使い、日々のデータを自動送信するほか、患者はその日の気分などを入力する
電子カルテの隣にiPadを置き、iPadをサブモニタのようにして診療する。Apple WatchとiPhoneを使い、日々のデータを自動送信するほか、患者はその日の気分などを入力する
消費アクティブカロリーのゴールなどを設定し、リングがつながるまで運動するなど指導する。写真はiPhoneの画面だが、Apple Watchで随時状況を確認できる
消費アクティブカロリーのゴールなどを設定し、リングがつながるまで運動するなど指導する。写真はiPhoneの画面だが、Apple Watchで随時状況を確認できる
急な心拍数の変化を知らせる機能がある
急な心拍数の変化を知らせる機能がある

 Apple Watchでは、心拍数が測定できる。もし心拍数の通知を有効にしておけば、選択した BPM(1分あたりの拍動の数)より高い/低い状態が続いた場合に通知を受けたり、不規則な心拍がないかを自身でチェックしたりできる。

 クリニックでは、Apple Watchで取得した心拍やワークアウト、アクティビティの状況を日々のデータが自動で送信され、医師が随時データをチェックできるしくみを持っている。

 事例としては、「ある患者のApple Watchの脈拍が、急に35から130ぐらいに上昇し、それが夜中の2時から4時。トイレに行ったのか、悪夢でも見たのか?──と尋ねてもそうではなかった。その日に病院で心電図をとってもらったら心房細動という不整脈だとわかり、それから治療を始めた人がいる」とし、イレギュラーな変動をきっかけに病院にいく、ということが重要だとした。

 実は、不整脈は異常のないいわゆる普通の人にも多く起きる現象だという。異常をどのぐらいの確率で検知できるのだろうか。

 「脈拍が不規則に跳べば、何らかの不整脈だということはわかる。ただ何の不整脈かは、心電図を見ないとわからない。おそらく脈が跳ぶことがまったくない人はいない。ただ、それが治療しないとならない不整脈なのかどうかは、心電図を見ないとわからない。心臓が電気的にどう動いたかを見るのが心電図なので脈が跳んだ原因がわかる。心電図があるかどうかは、脈が跳んでますね、で終わるのか、じゃあどう治療しましょう、となるかの違いをもたらす」という。

 不整脈と運動の関係については、「不整脈の原因は全部分かっているわけではないし、何を治したら不整脈も治るという1対1の関係では無い。電気の流れが少し違えばすべて違う名前が付いており、不整脈の種類はたくさんあるため一概には言えないが、心臓の病気のほかに生活習慣病や、ストレスが原因になることもある。 痩せたら不整脈が出なくなったとか、暴飲暴食、特に飲むことをしなくなったら出なくなった、ということもある」と説明した。

熱心に話を聞くクック氏
熱心に話を聞くクック氏

 なお、現在の最新モデルApple Watch Series 5では、一晩の充電で18時間持続するとしているが、それでも24時間持続するわけではない。バッテリーの問題をどう考えるか。

 「最初にお願いするのは、寝る前に充電して朝起きたら身に付けるようにということ。長く記録をとればとるほど異常の検出率が上がるので、電池の続く限り腕に巻いていただくのがいいと思う。 最新モデルだと長時間付けられるが、以前のモデルは1日持たなかったので、2個使用し、朝晩を交互に使っている人もいた」と説明した。

 なお、さまざまなアクティビティトラッカーがある中で、2015年からApple Watchを採用し続けているのは、「他のアプリケーションとの連携、セキュリティの安心感。医療に関するフレームワークがあり、医療のために使って欲しいという動きがあるから」と説明した。

米国では先行解禁--ECG(心電図)計測機能に期待すること

 すでに米国では、Apple Watchで2018年からECG(心電図)計測機能を使用できる。ECGアプリを立ち上げ、案内に従って時計を装着しているのと逆の手の指でデジタルクラウンに触れ、30秒待つだけで測定できるというもの。

 販売されているApple Watchはハードウェアとして世界共通だが、日本ではまだ使用が認められていない。今後使用できるように調整を図っていることは明らかにされているが、時期は未定だ。

 今後もしECGの使用が実現したらどう変わるか。「合併症を起こしてしまう前に不整脈をどうやって見つけてあげられるか?が、われわれに課されたタスク。病院に来ているときだけの心電図ではわからないことも多い。それをApple Watchを身に着けることで変化を発見し、それがきっかけで病院にいき、治療が終わったら自宅に戻り、またヘルスケアで自己管理する──という流れができれば」

 一方で、Apple Watchは心電図とどのぐらい差があるのか。「医療機器とほぼ同等性能だという認識はあるし、海外のいろいろな論文でも報告されている。精度というよりは、機器が違えば数字が違うのは当たり前のこと。それが血圧計であれ、体重計であれ、 脈拍計であれ、同じ機械でトレンドを見るというのが大事。血圧とかは同じ機械で連続で2回測っても絶対同じ数字は2回でない。そういうもの」

 常時心電図がとれるようになるとどう変わるのか。「あのときドキドキしたよな、あのとき具合が悪かったよな、というときの心電図が1枚記録することが大事。でも、記録がないとわからない。それが記録できるまで検査を繰り返すというのもよくあること。そうした機能を手元に持てることになる。心電図の機械だったら、毎日持ち歩いてくださいといっても持ち歩けないと思うが、SNSや電話もできる時計に心電図もとれる機能があったら、より持ち歩きやすくなる」と期待を寄せた。

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