――自社物件を持たずに中古住宅の売買を伸ばす、その仕組みについて教えて下さい。
私たちのメインは集合住宅の中の1戸を取り扱う区分マンションのリノベーションです。そもそも日本で中古住宅の売買が促進されない理由は、中古物件を見ても一般の方がときめかないからなんですね。間取りも設備も旧式で、壁や床も古くなっている住宅を、いいなと思えるのは、場数を踏んできたこの業界のプロだけです。
そのプロの目を通して物件を探し、設計、デザインし、施工する、この部分をワンストップで請け負うことに価値があると思っています。中古住宅がいいなと思っても、状態が不安だったり、管理状況や修繕計画が適正かわからなかったりと、一般の人が見極めるのは大変むずかしい。その面倒な部分を私たちが請負、サポートすることで、中古住宅のリノベーションを推進しています。
加えて11月にはNTT都市開発との資本業務提携を結びました。NTT都市開発は、NTTグループ唯一の総合不動産デベロッパーで、土地、建物のアセットを数多く保有しています。今回の提携を通して、そのアセットの利活用を推進していきたいと考えています。
――中古不動産のリノベーションということでしょうか。
それももちろんありますが、目指すのは、リノベーション、コンバージョン事業の拡大です。新宿、渋谷、池袋と日本の街並みはどこも似ていますよね。超高層ビルが立ち並ぶだけが街づくりではないと思っています。そうした街全体を考えることもしていければいいですね。
――すでに、2016年に東急(旧:東急電鉄)、2017年に三井物産と静岡銀行と資本提携を結ばれていますが。
起業当時描いた株主のポートフォリオに総合商社、電鉄会社、銀行、アセットと書かれていて、その通りに提携を進めてきました。会社を立ち上げて以来、思わぬことが起こるのは日常茶飯事なのですが、株主については本当に恵まれていると思っています。
資本業務提携を結ぶ上では、綿密なすり合わせが必要で、そこの部分の努力は惜しみません。例えば、NTT都市開発は「革新性」と「誠実さ」がコーポレートスローガンで、本当に誠実な会社です。ただ「革新」という言葉1つとっても、その意味合いがピタリと一致することはないでしょう。お互いが考えるスピード感やクオリティはそれぞれで、この部分のギャップをどう埋めていくかはお互いの努力しかない。企業体質が異なるのは当たり前ですが、すり合わせを重ねることで、目指す方向は見えてくる。その部分は徹底的にやりました。
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