シャープの子会社であるAIoTクラウドは11月28日、ビジネスチャットと音声/ビデオ会議機能を搭載し、2つの機能をシームレスに利用できる法人向けビジネスコミュニケーションサービス「LINC Biz」を発表。同日から提供を開始した。
このサービスは、ビジネスチャットとビデオ会議機能をオールインワンという形で提供するコミュニケーションツール。特長としているのが、シームレスな連携操作。ビジネスチャットでの議論から、必要に応じワンクリックでビデオ会議に移行可能。ビジネスチャットを通じ、会議の案内者が参加者へ案内メッセージを発信。参加者は受信した会議案内のメッセージをクリックするだけでビデオ会議が開始できる。
ビデオ会議の機能ではビジネスチャット上で共有している資料をビデオ会議上でも使用しながら議論を進めることが可能。ホワイトボード機能も搭載しているため、会議の参加者はペン機能やテキスト入力機能を使い、各自の端末からメモやアイデアを自由に書き込むこともできる。会議終了後には、参加者が追記した資料を再びビジネスチャット上でメンバーに共有できるという。またビデオ会議においては、外部へのゲスト招待機能を備えており、通知されたURLにアクセスすることで、ウェブブラウザから参加できるとしている。
このほか、導入希望の要望に応じて、ビジネスチャットをベースにした拡張機能についても、受注対応として提供する。社内の問い合わせに自動で回答するFAQチャットボットなどといった仕組みを構築できるという。
利用はウェブブラウザやモバイルアプリ(iOS/Android)、PCアプリ(2020年1月中旬以降提供予定)から可能。ローンチ段階での料金プランは、無料のフリープランで提供。2020年1月中旬以降に有料のスタンダードプランを用意する。料金は1ユーザーにつき月額350円としている。
AIoTクラウドは、AIoTプラットフォーム事業とクラウドソリューション事業などを担う形で、10月1日に設立。LINC Bizは、クラウドソリューション事業におけるサービス第1弾となる。同日行われた発表会において、AIoTクラウド 代表取締役社長の赤羽良介氏が開発の背景として、自社における情報共有の課題解決を挙げた。同社は全国に5拠点あり、メールでのやりとりでは断片的な情報や議論、経緯が追えないなど限界を感じていたという。そこで既存のビジネスチャットを導入したという。
ビジネスチャットの効果を高めるためにはシャープ全体での導入が必要と考えたが、約2万人への導入コストが莫大となることが想定されたこと、チャットでの議論がビデオ会議で分断される使い勝手の悪さを感じたことなどを受け、自社での開発を決めたと振り返る。
開発責任者であるAIoTクラウド クラウドソリューション事業部 ソリューション統括部長兼クラウド開発部長の音川英之氏は、LINC Bizについて約1年ほど自社内で運用し、継続的な改良を加えたという。ビジネスチャットとビデオ会議それぞれ単体としても機能を磨いたことに加え、特にこの2つをシームレスに連携することは、社内での運用を通じて行った改良のひとつと説明した。
昨今ビジネスチャットやビデオ会議を活用した働き方も着目されており、すでにさまざまなサービスも提供されている状況ではあるが、赤羽氏は国内での実情としてはビジネスチャットの導入率が23.6%。ビデオ会議の導入率が32.6%と、決して高くはないことを説明。米国などの海外から見ても普及状況が低いことから、赤羽氏は国内での市場にまだ伸びしろがあると分析する。LINC Bizは機能面やシームレスな連携のみならず、低価格であることもアピールポイントとしたうえで、メインターゲットを300人未満の中小企業と見据え、顧客の獲得を図っていくとしている。
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