グーグルは11月19日、日本でのスタートアップ支援の取り組みとして、起業家向けコミュニティスペース「Google for Startups Campus」を渋谷ストリームに開設した。2020年2月からは、スタートアップ向けのアクセラレータープログラムなども開始するという。
Google for Startups Campusの開設にあわせて、米GoogleのCEOであるスンダー・ピチャイ氏が来日。日本市場の可能性や、グーグルが実施してきた支援策などについて語った。
東京に数日間滞在し、建設中のオリンピックスタジアムや、提灯を手作りする老舗企業などを訪れたというピチャイ氏。「伝統と革新が共存する姿に触れるたびに、東京という街に対して、深い感銘を覚えずにはいられない」と思いを語る。
日本は、Googleが米国外で初となるオフィスを構えた国だ。2001年に渋谷のセルリアンタワー東急に日本オフィスを設立した。当時は「Googleもまだスタートアップだった」(ピチャイ氏)が、それから18年の月日が経った。一度は増床にともない六本木ヒルズに移転したが、2019年秋に9年ぶりに渋谷に拠点を戻した。
「渋谷は再開発とともに、変革と再生のシンボルとして知られるようになり、私たちもスタートアップではなくなった。しかし、私たちの使命が『世の中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする』ことであることは今も変わらない」(ピチャイ氏)。
その中で、変化したことがあるとすれば「使命を全うするためのアプローチだ」と同氏。検索だけでなく、人々の暮らしやビジネスに役立つ様々なツールを手がけてきたと説明する。例として「Googleマップによって東京を移動するユーザーの時間を年平均で2時間節約できた」「GmailのSmart Compose機能で毎週10億以上の文字入力を省略できている」といった成果を挙げた。
また、東京オリンピックが開催される2020年には、日本語で目的地や住所を読み上げるGoogleマップの新機能や、現在開発中のGoogleアシスタントのビジネス向け通訳機能などによって、訪日外国人や海外の顧客のコミュニケーションもサポートできるとアピール。
2020年以降も、今回開設したGoogle for Startups Campusや、2019年春に発表した、デジタルスキル習得プログラム「Grow with Google」などによって、日本市場を支援すると強調した。なお、Grow with Googleの受講者は450万人に達しようとしており、2022年までに1000万人を目指すとしている。
このほか、同社では2018年から「みんなのコード」を支援し、小学校での情報科学教育の義務化に向け、数千人規模の教員養成プログラムを提供しているが、新たにGoogle.orgより、助成金100万ドル(約1億円)を追加で提供することを発表。同プログラムを中学校にも拡充することを明らかにした。「こうした取り組みが、2020年から未来へと続くレガシーの一部となることを願っている」(ピチャイ氏)。
Google for Startups Campusは、ロンドン、マドリード、サンパウロ、ソウル、テルアビブ、ワルシャワに開設されており、東京は世界7番目。グーグルの渋谷オフィスがある渋谷ストリーム内に開設され、ワークスペース、コラボレーションエリア、イベントスペース、会議室などを備える。
2020年2月からは、日本の社会課題解決を目指すAIスタートアップを対象に、3カ月間の集中型のアクセラレータープログラム「Google for Startups Accelerator」を実施する予定。11月19日から12月13日18時まで募集を受け付ける。参加企業は2月中旬ごろに発表予定で、プログラムは2月中旬から5月末まで実施する予定だという。応募条件や審査などの詳細はウェブサイトで確認できる。
Google for Startups Campusに参加するスタートアップは、期間中はCampus内のワークスペースを使うことができるほか、飲食スペースや一部の会議室もすべて利用できる。また、Google社員によるメンター制度もあり、GoogleのAIチームをはじめとする様々なチームとのコラボや、Googleのテクノロジー、人的ネットワークなども活用できるという。このほか、参加企業は機械学習や人材獲得・育成、製品開発管理に関する各種トレーニングなどを受けられるという。
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