気象データにツイートを組み合わせた「体感指数」が難しい商品の需要予測を変える

 ツイートデータを商品需要予測に活用する取り組みが進んでいる。民間の気象会社である一般財団法人日本気象協会もその一社で、気象庁から取得した気象データをもとに防災事業や環境事業を展開しているが、近年では、気象とSNSデータを活用した商品需要予測も提供している。両社はこの取り組みについて6日に説明会を開いた。

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日本気象協会でシニアアナリストを務める吉開朋弘氏

 日本気象協会はこれまでも、食品ロスを削減するため気象データを活用した商品需要予測を提供。高精度に予測できれば、生産数を調整して食品ロスを減らすことができ、利益・環境の改善にも貢献できる。今回の取り組みは、需要予測を高精度化するためにTwitterのデータを加えたものだ。

気象データ×ツイートの「体感指数」が需要予測を変える

 日本気象協会でシニアアナリストを務める吉開朋弘氏によると、これまでも気象データを活用した需要予測を手掛けてきたが、従来の方法は気温や湿度など定量的なデータを使っていたという。しかし、同じ30度でも5月と8月では体感は全く違う。このため、同じ温度でも商品の売れ方は全く異なり、需要予測から外れる結果となってしまう。

 そこで、気温や湿度だけでは表現できない“体感”を需要予測に使えないかと考えたのが、Twitterを活用した「体感指数」である。人がどんな時に「暑い」「寒い」と感じるのかを調べるため、Twitter上でこの2つのワードが含まれた投稿を過去4年に渡って分析。その投稿数は約1600万ツイートにのぼる。

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実際の気温と体感には大きな乖離がある

 Tweetで「暑い」と投稿された数をグラフに表し、どのような要素を加味すればより正確な「体感指数」を作り出せるか開発した結果、気温や湿度、日射量といった「状態の暑さ」のほか、前日との差による「変化の暑さ」、心理や慣れといった要素も加味しなければならないことに着目したという。こうして、従来の需要予測に比べてより正確な需要予測ができる「体感指数」の開発に至った。

初夏の30度と夏終盤の30度は違う

 この体感指数を活用した需要予測として、ミツカンの事例を紹介した。同社が販売する「冷やし中華のつゆ」は、夏しか売り上げが伸びず、売れ残った商品はそのまま廃棄ロスとなっていた。従来では需要予測は気温を中心に行っていたため、初夏の30度も夏終盤の30度も同じように需要があると予測されてきた。

 しかし夏終盤は暑さに慣れているため、同じ30度でも初夏と同じような需要は生まれない。その結果、毎年のように実際の売上より高い予測を出してしまい、廃棄ロスを生んでしまっていたのだ。体感指数を用いたところ、夏の需要の下がり具合を予測し、余剰在庫を35%削減することに成功した。

Twitterベースのため、ユーザーが多い東京が今は中心

 また、体感指数を活用した小売店舗向け需要予測サービス「売りドキ!予報」も紹介された。タブレットによって気軽に体感指数をプロモーションなどに活用できるサービスだ。これにより、競合のスーパーに比べて大きく売上を伸ばしたケースもあるという。

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タブレットで簡単に体感指数を確認できる「売りドキ!予報」

 体感指数を活用するシーンは様々な業界に広がっている。飲料メーカーでは体感指数をもとに自販機の配送方法を変更し、CO2の排出量を54%削減。アパレルショップは体感指数から冬服の値下げのタイミングを割り出し、利益率90%増に成功している。

 なお、Twitterのデータを活用しているため、現在は東京をはじめとした人口集中特区に偏った需要予測となっているのが現状だ。今後は地方のデータも集めて、それぞれの地域にあった予測ができるようにブラッシュアップをしていきたいと、吉開氏は展望を語った。

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