Facebook、暗号化されたメッセージを英警察に開示する義務に直面か

Edward Moyer (CNET News) 翻訳校正: 湯本牧子 高森郁哉 (ガリレオ)2019年09月30日 10時35分

 Facebookと傘下のWhatsAppは近く、英国が米国との間で予定している協定に従い、ユーザーの暗号化されたメッセージへのアクセスを英国の警察に許可するよう義務づけられることになるという。Bloombergが米国時間9月28日、匿名の情報筋の話として報じた。この協定は、米国を拠点とする他のソーシャルメディアプラットフォームも対象となっており、テロリズムや小児性愛といった重罪の捜査に関連する情報共有を義務づけるものだ。

鍵のイメージ
提供:James Martin/CNET

 10月に締結される予定の同協定の下では、米国と英国は相互の市民を捜査せず、また英国企業から得た情報を米国が死刑案件で利用することはできなくなる。

 2018年12月にはオーストラリアで、反暗号化法案が可決された。テクノロジー大手に、テロリズムや組織犯罪に関わるメッセージの解読支援を義務付ける法案だ。

 米国では、プライバシー擁護団体が政府に対し、米司法省とFacebookが関わる暗号化関連訴訟での非公開判決を開示するよう求めている。2018年の判決では、米連邦捜査局(FBI)がFacebookに「Facebook Messenger」での暗号化された音声通話を盗聴させることはできないとした。

 また2019年5月には、Apple、Google、Microsoft、WhatsAppのほか、セキュリティ専門家やプライバシー保護団体などが、英政府通信本部(GCHQ)の「ゴースト提案」を批判する公開書簡に署名した。この提案は、警察が暗号を解読しなくても私的なメッセージを読めるようにする方法を提示している。会話に捜査員を密かに参加させることで、目立たないように身を隠しつつメッセージを閲覧できるようにするというものだ。テクノロジー企業などは、この提案が、サイバーセキュリティや人権に深刻な脅威をもたらすと述べていた。

 米国務省はコメントの依頼にすぐには応じなかった。Facebookは米CNETに次のようなコメントを寄せた。

 「われわれは、人々がオンラインで私的な会話をする権利を信じている。エンドツーエンドの暗号化は、その権利を保護する助けになるもので、当社が10億人を超える人々に日々提供している価値の基盤を成す。われわれは、バックドアを設けようとする政府の試みに反対する。それは、あらゆる場所でユーザーのプライバシーやセキュリティを弱めることになるからだ。それと同時にわれわれは、法執行機関が人々を安全に保つ上で果たす役割も尊重している。CLOUD(Clarifying Lawful Overseas Use of Data:データの海外における合法的使用の明確化)Actなどの政策は、有効な法的要求を受けて企業が入手可能な情報を提供できるようにするもので、企業にバックドアを設けることを義務づけてはいない」

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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