「Apple Card」って使う価値ある?筆者がしゃれたチタン製のカードを取り出すと、ほとんどの人が決まってこう聞いてくる。外見について言えば、これほど見栄えのするクレジットカードはなかなかないだろう。ミニマリストデザインで、高級感があるという点で、Apple Cardは、「iPhone」や「MacBook Air」が築いた道を踏襲している。かっこよくカードを取り出して目立ちたい、そんなタイプのAppleユーザーだったら、これ以上にかっこよく決められるものはない。
実のところ、Appleは1986年にクレジットカードを発行したことがあり、これまでもBarclaysと提携してクレジットカードを既に提供していた。だが、今回のファイナンス事業進出でポイントになっているのは、カードではなくiPhoneだ。支払いには、物理カードを使うのではなく、iPhoneを使うよう推奨されており、iPhoneがなければApple Cardを持つこともできないという仕組みになっている。
モバイル決済でこそApple Cardは最も役に立つということだが、同じ理由から、日常的に使うカードとしては魅力に欠けるというユーザーもいるはずだ。数週間使ってみた筆者から見ても、キャッシュバックの選択肢としては手堅いが、支払い方法のメインになるほどではないと感じた。
iPhoneや「Apple Watch」で決済機能「Apple Pay」を使うのが好きな人なら、Apple Cardは検討に値する。このタッチ操作のモバイル決済システムを通じて購入したときには、どんな買い物でも常に2%のキャッシュバックがあるので、今の市場ではかなり率の高いキャッシュバック機能付きカードということになる。Uberの配車サービスを利用することが多い人も、Apple PayとアプリのApple Cardを使って手配すれば、キャッシュバック率は3%と魅力的だ。
「Apple Store」でApple製品を買うとき、あるいはAppleのサービスやサブスクリプションを利用するときには3%の割引があるが、使い方に注意が必要だ。「Apple Music」や「iCloud」に登録している、または「iTunes」や「App Store」でいろいろと購入するのであれば、迷う余地はない。ただし、例えば「Apple TV」アプリ経由のHBOなど、サードパーティー製のサブスクリプションサービスということなら、キャッシュバック率は他のカードの方が高い。
AppleがApple Storeで自社製品のセールを開催することはめったにないので、他の小売業者から購入する方が節約額は大きくなる可能性が高い。AmazonやBest BuyといったストアでiPhone、「iPad」、「Mac」コンピューターのセールがあるときなら、お得になる額は3%より大きいことが多いからだ。
一方、物理的なApple Cardは、見かけこそしゃれているものの、カードとして使うとキャッシュバック率は1%しかない。他の多くのカードでよくある特典、例えば延長保証などもないので、日常的に使う意味はますますなくなる。
Apple Cardを使うには、「iOS 12.1.4」以上を搭載した「iPhone 6」以上が必要になる。「Android」ユーザーは、申し込むまでもない。必須である「Wallet」アプリが「iOS」専用だからだ。
クレジットカードのサインアップはシームレスで、所要時間もわずか数分だった。iPhoneでWalletアプリを開き、右上隅にあるプラス記号をタップしてApple Cardサインアップのオプションを選ぶだけだ。あとは、個人情報を入力すれば、承認画面に進む。
誰でも承認されるわけではないが、範囲はかなり広いようだ。またAppleは、カードの提携銀行であるGoldman Sachsと協力して、さらに網を広げようとしているとも報じられている。
物理カードの使い方は、これまでに使い慣れたプラスチック製または金属製の一般的なカードを使うときと変わらない。カードリーダーに通すかタッチして署名すれば(あるいは署名なしで)終わりだ。Apple Payを使うときも、Apple Payに対応する場所で、かつMastercardに対応していればシームレスに進む。皆さんが既にApple Payに追加しているかもしれないVisaかAmerican Expressのカードを使うときと同じだ。
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