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「源ノ角ゴシック」構想は25年前から--“フォント愛”あふれる米アドビ書体チームに聞く - (page 3)

日沼諭史 山川晶之 (編集部)2019年09月27日 10時00分
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源ノ角ゴシックのバリアブルフォントを開発中

――フォントの未来についても聞かせてください。近年だと、字体を柔軟に変えられるバリアブルフォントの話題が増えており、フォントだけでさまざまな表示環境にマッチさせる動きが出始めています。

ダン氏:バリアブルフォントはエキサイティングな取り組みではあるのですが、課題が山積みです。私たちはバリアブルフォントの技術仕様の策定に関わっているし、実際にバリアブルフォント周りの開発もしています。多くの人やアプリケーションが正しくバリアブルフォントを使えるようにするべくトライしています。

ケン氏:すべてのアプリケーションがバリアブルフォント技術に対応するのにどれくらい時間がかかるか見積もっていますが、かなりゆっくりとしたペースになると言わざるを得ません。バリアブルフォントにおける私たちの開発作業は、フォントが関わっている技術のあらゆるレイヤーに渡っているからです。私たちとしてはバリアブルフォントの挙動は把握してはいるものの、現在開発中のバリアブルフォント版の源ノ角ゴシックでは、想定外のところで問題が起きていたりします。

ダン氏:こうした複雑なプロジェクトを進めているおかげで、バリアブルフォントにおいて開発が必要な部分、作業が必要な部分が見えてきています。深刻なトラブルにつながらないよう、事前に時間をかけて問題解決できるのは業界全体のためにもなります。オープンソースプロジェクトにしているのは、他社がフォントをつくる際にその最適化の仕方がわかるマップを私たちが提供できるからです。

 ウェブ上で活動しているので、ユーザーも何ができるのかが理解できます。あらゆるオープンソースプロジェクトにおいて大切なことは、主導する側がゲートキーパー(門番)になってユーザーを締め出さず、参加者全員の理解を手助けすることですよね。

――バリアブルフォントについての具体的な開発計画などはありますか。

ケン氏:Pan-CJKについて言うと、ベイビーステップアプローチをとることになります。たとえば源ノ角ゴシックでは、当面はそのデザインに対して1つのアクセスしかもてない、つまり線の太さしか変えられません。これはシンプルではありますが、将来的にはもっと他のアクセス、長体や平体なども可能になるようトライしていきたいと考えています。

ダン氏:ウェブでもデバイスでも特に重要なのが、1つのフォントですべてをできるようにすることです。1つのフォントで必要に応じて太さのスタイルや異なるスペース割り付けなどをヒエラルキー構造でもたせることで、小さなフォントファイルで表現力の高いタイポグラフィを効率的に実現できます。

 私たちのアプリケーションにおけるビジョンは、ユーザーがデフォルトの状態でベストな見栄えが得られるようにすること。フォントを小さくすべきか、大きくすべきかといったようなスタイルの変更をユーザーが考えるのではなく、そこはフォントやソフトウェアが自動化すべきだと考えます。テクノロジーによって、新しいユーザーも熟練ユーザーと同じように使いこなせるようにしたいですね。

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――VRなど、フォントを載せるメディアにも新しいタイプのものが出てきています。アドビはフォントの未来をどのように描いていますか。

ダン氏:私たちはクリエイターの方々に対して、あらゆるメディアでフォントを使ったクリエイティブな仕事ができるような仕組みを用意し、それに対してたくさんの選択肢を提供したいと思っています。そこでやろうとしているのは、アドビのアプリケーション開発チームやユーザーの方々がフォントを使いこなせるようにすること。VRはもちろん、今後出現する新しい世界であってもそれは変わりません。要するに、私たちが阻害要因とならずに、ユーザーがクリエイティビティを発揮できるようにしたい、ということです。

ケン氏:長年フォントに関わる仕事をしてきたこともあり、世界中のすべての人がフォントを使って、より良いタイポグラフィを実現していくための幅広いお手伝いができると思っています。誰でも簡単にオリジナルのフォントを作れるオープンソースのツールも提供していますし、ツールを使いこなすためのワークショップを開いていたりもします。このフォントの世界の知識を幅広く共有していくのは、私たちのミッションだと考えています。

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