アスタミューゼとSBIネオファイナンシャルサービシーズは9月5日、地域企業の雇用促進に向けて事業提携した。両社のノウハウとサービス、ネットワークを活用することで、地域企業に対して技術職や研究職の専門人材の雇用支援を行い、事業成長を促進して地域活性化を図るとしている。
アスタミューゼは、新事業やサービス、新技術、特許情報など世界のさまざまな情報を分析し、イノベーションの源泉となる「イノベーションキャピタルデータベース」を構築。これをもとに、企業向けに新規事業開発支援コンサルティングや、技術者と企業をつなぐ転職支援プラットフォーム「SCOPE」などのサービスを提供している。
SCOPEは、従来型の給与や年齢、勤務地、経験などの条件ではなく、社会課題や未来課題を軸に転職者と会社をマッチングさせる独自の転職支援サービス。利用する企業は、アスタミューゼがデータベースをもとに定義した「2025年の成長領域」およびSDGsにも対応した「解決すべき社会問題105」を踏まえて自社の強みを確認し、自社はどんな社会問題を解決している企業なのか、あるいは自社のリソースを活用してどの領域に進出すべきか、どの会社と協業するなどして問題解決企業としてアプローチしていきたいかを見極めてメッセージを発信する。
他方でアスタミューゼは、SCOPEで定義した300種類以上の有望成長市場に関する技術職・研究職・専門職の人材を募集する、業種ごとの転職ナビサイトを運営。そこに登録した優秀な人材情報を確保している。その優秀な人材と企業を、社会課題や未来課題を解決するというキーワードをもとに、「共感」でマッチングするという枠組みとなっている。
今回の提携の趣旨は、地方企業に対してSCOPEのプラットフォームを紹介し、企業のリブランディングと優秀な人材の紹介をするもの。その際に、SBIネオファイナンシャルサービシーズがSBIグループのネットワークを活用し、地域金融機関などを通じてSCOPEを地域企業に対して展開していく。地域金融機関は、自行のサービスとしてSCOPEを提供することで、地元の企業や産業を育成するための支援・貢献ができる形になる。
地方企業が抱える問題について、アスタミューゼ 執行役員 事業推進本部 本部長の嶋崎真太郎氏は、「地方創生、雇用促進とずっと言われているが、人も企業も大都市圏に集中している。地方に働きたい会社はないのか、わくわくする仕事は生まれないのか、地方と中央のオープンイノベーションは生まれないのかというとそんなことはない。それは地域が悪いのでなく、自社がどうしていくかというメッセージの発信が足りていないことが一番大きい」と指摘する。
実際、同社が実施した転職を希望する専門人材へのアンケートでは、転職する理由として、「社会貢献性」が上位に挙がっており、「安定性よりやりがいを求めている」という。さらにいえば、「テクノロジーよりもテクノロジーが解決する課題に注目」している。そこで、「志ややりがい、未来への挑戦をしている課題解決型企業であることをアピールすることで、人材不足問題を解消できる」としている。
SBIネオファイナンシャルサービシーズ アライアンス推進本部 本部長の吉木直道氏は提携の意図について、「当社は金融機関のデジタル化を支援するサービスを提供し、SBIグループ全体では地方金融機関との共創を通じて地方創生に貢献することをミッションとしている。今回の提携を通じて、地域企業の人手不足解消に貢献し、地域金融機関との連携による地域企業の魅力の発信で地方創生に貢献していきたい」と語った。
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