東京建物は8月28日、東京・京橋に食に関わる実証実験や社会実装の場「TOKYO FOOD LAB」を開設したことを発表した。1階に通常の5倍の生産性を持つ植物工場件研究施設「PLANTORY tokyo」、2階には食にまつわる知見を共有・体験できるイノベーティブコミュニティ拠点「U(ユー)」で構成する。
TOKYO FOOD LABは、世界的な人口増や食料危機、水不足、海洋マイクロプラスチックなどの食の安全に関わる課題に向け、新しい生産方式や、調理方法、食の楽しみの取り組みを融合し、食のアップデートや社会課題の解決を図り、イノベーション・エコシステムの形成を目指すもの。SDGsの実現に貢献する新しい街づくりへの挑戦という。
東京建物 取締役専務執行役員の福居賢悟氏は、食に関する社会課題が多くあり「既存産業とのオープンイノベーションを誘発する取り組み」だと説明した。
京橋という地に作った理由としては、隣接する日本橋は魚市場、京橋が青果市場であったことから「老舗と言われる料理店があり、食にまつわる企業も多く、食を切り口とした街づくりに取り組む」と説明した。
TOKYO FOOD LABを構成するPLANTORY tokyoは、植物工場に特化したサービスを行なうプランテックスが運営する植物工場件研究施設。すでに8月1日からオープンしている。将来の人口増による食料不足に生産性の向上で対応を目指す。
温度、湿度、CO2濃度だけでなく光合成速度、光子吸収速度、CO2吸収速度、吸水速度など植物の成長速度に関する「速度変数」で成長制御を行なうという同社の植物成長制御クラウドシステム「SAIBAIX」と閉鎖型植物生産機「Culture Machine」を用い、従来の植物工場方式と比較して面積生産比で5倍の収穫重量を実現する。
植物工場は閉鎖型のため、野菜に光が当たってるといった様子は見学できない。プランテックス 代表取締役の山田耕資氏によれば、光は反射板などによって少ない光でも無駄なく利用しており、外部に光が見えるようでは、効率を最大限活かしてきれないことになるという。
また、成長度合いなどから細かく区切り、光や熱をそれぞれに最適化する。水についても、蒸発した水などは回収して利用すれば、費やした水すべてが出荷した植物に含まれることも理論的には可能だとし、それを目指していく。現在でも農業用水使用量は3800分の1になり、食料不足だけでなく水不足といった点にも対応できる。
面積生産比で5倍としているが、電気、水などについても効率を追求していることから「ほかの要素を下げつつ面積生産性を上げている」とし、高い生産性に自信を見せた。
現在は葉物野菜が中心だが、次には収益化しやすいということから薬草やハーブ類の生産を想定している。その先には根菜、果樹、イモ類などの収益化も目指していくという。
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