YouTubeは過激主義の拡散や児童の性的搾取問題など、殺到する非難に対処している。批判的な人々は、インターネット接続があれば誰でも動画をアップロードできるようにするYouTubeの方針を問題にしてきた。
しかし、YouTubeの最高経営責任者(CEO)を務めるSusan Wojcicki氏は米国時間8月27日、開かれたプラットフォームの重要性を改めて強調した。
Wojcicki氏はYouTubeクリエーターへの四半期書簡の中でこう記した。「より多くの問題が見えてくるなか、政策立案者、報道機関、識者らは異口同音に、開かれたプラットフォームに価値があるのか、さらには存続可能なのかと疑問を呈している。こうした懸念にもかかわらず、私は、開かれたプラットフォームの維持がこれまで以上に重要だと考えている」
Wojcicki氏は、YouTubeの開かれた性質により、より多様な声が耳目を集められるようになると述べた。とはいえ、開かれていることには負の側面もあり、偽情報、人種差別、外国勢力による干渉活動が同プラットフォーム上に広がるのを許している。Wojcicki氏によると、課題は、開かれていることと、月間訪問者数が20億人を超えるコミュニティーを管理することとの「バランス」を見つけることだという。
「それは時に、主流から外れるコンテンツ、物議をかもすコンテンツ、さらには攻撃的なコンテンツをそのままにすることにもなる。だが私は、幅広い見解に耳を傾けることにより、たとえそうした見解の一部に同意できない場合でさえも、やがては私たちの社会がより強くなり、さらに見聞を広めることにつながると考えている」(Wojcicki氏)
Wojcicki氏が書簡を公開する以前に、Google傘下のYouTubeは、YouTubeのポリシーを非難するクリエーターらが関わる、注目度の高いいくつかのスキャンダルに直面してきた。YouTubeは6月、保守派のコメディアンであるSteven Crowder氏のチャンネルを停止しなかったとして反発を招いた。Crowder氏は、ニュースサイトの動画プロデューサーでゲイのCarlos Maza氏に対し、同性愛嫌悪的な言葉で中傷していた。また8月には、LGBTQのクリエーターらが、YouTubeがゲイコミュニティーを差別しているとして訴訟を起こした。
一方、ドイツでは金属産業の労働組合IG Metallが、YouTubeにはクリエーターに対する透明性がないと非難している。IG Metallはユーチューバーのグループとともに7月、YouTubeに対し、コンテンツ削除と収益化停止の決定について議論する第三者協議会を作ることを要求した。YouTubeは8月23日、同グループとは交渉をしないと回答した。
Wojcicki氏は27日の書簡で、YouTubeのガイドラインに違反するコンテンツを削除することや、主要報道機関のような信頼すべき情報源を「注目させる」ことなどを含む多くの方法で、同プラットフォームの浄化に取り組んできたと述べた。
Wojcicki氏はまた、YouTubeが問題のあるコンテンツの削除に消極的なのは同社の事業を損ねるからだという批判に対し、事実ではないと反論した。YouTubeの事業には、動画のエンゲージメントや視聴時間といったさまざまな要因が関わっている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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