どの360度カメラにも当てはまることなのだが、QooCamの楽しさは周囲全体を記録し、後から没入感たっぷりの写真やビデオで楽しめることだろう。撮影時に構図を気にする必要がなく、アプリで好きなだけ変更できる点も便利だ。
一方、THETAより後発の360度カメラでありながら電子コンパスが搭載されていない仕様は残念だ。THETAで360度写真を撮影すると、画像の中心をどの向きにしても東西南北が写真に正しく記録される。そのため、「Google Maps」に投稿した写真の北方向は、地図上の北と一致する。これに対し、QooCamで撮影した360度写真をGoogle Mapsに投稿すると、「ホームポジション」などと呼ばれる画像の中心が北と認識されてしまい、画像と地図の方向に食い違いが生ずる。必ず北をホームポジションとして撮影すれば食い違いは発生しないが、一番見せたい被写体が最初に表示されなくなってしまう。
THETA m15で撮影した六本木ヒルズ。方位が正しい
QooCamで南にある東京タワーを撮影したが、地図上で北方向にあると表示される
そして、THETAはスマートフォンのアプリと連携させて撮影すると、GPSで取得した位置情報が写真に記録されるのだが、QooCamにはこの機能がない。THETAだと、Google Mapsに複数の360度写真を投稿して位置情報にもとづくストリートビュー画像群を自作できる。これに対し、QooCamで同じことをするには、何らかの編集ツールを使って自力で位置情報を埋め込む必要がある。これについてKandao Technologyは、今後QooCam Appのバージョンアップで対応するとしている。
なお、QooCamで撮影した360度写真やビデオは、前後の画像をつなぎ合わせたステッチ部分に色収差のような色のにじみが出る。THETAでも同様の現象は発生するが、QooCamと比べると目立たない。そこで、QooCamで撮る場合、きれいに見せたい部分は画角の中央に入れよう。
このように、「ここをこう直したらさらに良いデバイスになる」「この機能を搭載したらもっと使いやすくなる」という点はいくつかある。しかし、QooCamとQooCam Appの組み合わせは、360度と3Dの写真やビデオの楽しさを手軽に体験させてくれる、全体として完成度の高い製品といえる。
気軽に撮影し、臨場感のある楽しい映像を手間なく作れる点が、QooCamの魅力だ。旅行やイベントで大活躍するだろう。
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