基本的な撮影はQooCam単体で済ませられるが、スマートフォン用アプリ「QooCam App」を使うと、無線LAN(Wi-Fi)経由で細かくQooCamを操作できる。アプリ上のボタンでリモート撮影のほか、露出やホワイトバランスの調整、ビデオ撮影時のフレームレート設定、DNG記録、タイムラプス指定など、より高度な撮影が可能になる。
120fpsで撮影した360度スローモーション映像。カメラは風で揺れたが、手ぶれ補正が見事に機能
自撮り棒は写り込まないが、影が入らないように工夫すべきだった
ただ持って歩けば、ドローン空撮のような映像に
高速再生に加工。視点移動はアプリでキーポイントを何点か指定しただけ
QooCam Appは、撮影した写真などをVRゴーグル用の3D写真に変換したり、SNS投稿用に加工したりする編集アプリとしての機能も備えている。特に、ビデオ編集機能は使いやすく、スマートフォン上の簡単な操作で楽しいビデオ作品が作れる。360度カメラというQooCamの特徴をいかしてとりあえず周囲全体を撮影しておき、後から被写体に合わせて画角を変更する、といった編集作業が実行しやすい。なかでも、画面の中央に特定の被写体を入れるキーポイント機能や、被写体を自動認識して追跡し続けるスマートトラック機能が役立つ。
京急の赤い快速特急を実速度で再生
再生速度を途中で切り替えてみた
QooCam Appには、ビデオや写真の加工作業をさらに簡単にする機能もある。「Smart Clip」と呼ばれる一種のテンプレートであり、アプリ内の指示に従って編集するだけで、さまざまな楽しい映像が作れる。たとえば、360度写真から動画を自動生成する「Animate Photo」、ドローンで空撮しながら被写体をズームインするような「Drone Zooming」、被写体とカメラとの距離を変えながらズームを連動させるドリー撮影のような「DollyZoom」といった映像効果が、スマートフォンのアプリだけで完成してしまう。
Smart ClipのAnimate Photoで360度写真をビデオ化
Smart Clipのテンプレートは順次追加されていくとのことなので、「こんな映像を作りたい」という希望をKandao Technologyに伝えておけば追加されるかもしれない。Smart Clipの一部機能は、ウェブサイトで紹介されている。
次に、QooCamの3D機能をみていこう。
QooCamをL字型に変形させると、立体感のある写真やビデオが撮影できる。3D撮影用レンズの間隔は約55mmで、人間の両眼の感覚とほぼ同じであるため、人間が体験するのに近い立体感となる。
撮影済み3D写真は深度情報も記録されているので、QooCam Appでピントの合う位置や範囲を変えられる。アプリ上でVRゴーグル用の写真やビデオに変換すると、「Google Cardboard」や「Samsung Gear VR」のようなスクリーンレス型VRゴーグルですぐに臨場感のある3D体験ができる。
QooCamで撮影した3D写真は、メインの被写体が浮き上がっているように感じるFacebookの疑似3D写真機能「3D Photo」を組み合わせると、より多くの人に楽しんでもらえる。3D Photoに投稿可能な形式の3D写真は、「iPhone X」「iPhone XS」といった3D Photo対応スマートフォン上のQooCam Appか、QooCamのPC用アプリ「QooCam Studio」で生成可能だ。
Facebookに投稿した疑似3D写真。レンズの汚れで左上がぼけてしまった
QooCam Studioを使えば、画像の傾き修正、手ぶれ補正の調整、カラー補正なども施せる。もちろん、ビデオの分割や連結もできる。
また、QooCam Appに存在せず、QooCam Studioだけにある機能として、最大で再生速度を10分の1に下げられる「AI Slow Motion」を忘れてはならない。これは、速度を落とす際にフレーム間の映像を補完して自動生成することで、ギクシャクしない動きのスムーズなスローモーション映像を作る機能だ。
たとえば、QooCam Appでフレームレートを120fpsに指定して撮影したビデオをQooCam Studioで処理すると、1200fpsビデオが作れる。これを30fpsの動画として再生すれば、滑らかな40分の1倍速スローモーション映像となる。ただし、筆者のPC環境はAI Slow Motion処理に必要なGPUを搭載していないとのメッセージが表示され、実際に試すことはできなかった。この件をKandao Technologyに問い合わせたところ、メッセージ表示はバグの影響であり、修正済みのQooCam Studioをリリースできるよう準備中だそうだ。
AI Slow Motionの紹介ビデオ(出典:Kandao Technology)
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