Lyndi CohenさんのInstagramの写真は、健康的な生活の力を表現している。オーストラリア在住の栄養士であるCohenさんは、自分の手料理や、優雅にきめたヨガのポーズの写真を投稿している。SNS上のグラマラスな写真が実際といかに違うかを見せるために、2枚のビキニショットを並べて投稿してもいる。
それでも、29歳のCohenさんは不健康な習慣に悩まされている。Instagramの投稿写真にいくつ「いいね!」が付くかに執着してしまうのだ。
Cohenさんは、いいね!の数を見て、自分の9万9700人のフォロワーと、どの写真や動画をシェアすべきかを考える。不健全だと分かっていても、Cohenさんは自分より人気のあるInstagramユーザーと自分を比べてしまう。
「私たちは、意義のあるコンテンツではなく、いいね!の数を追い求めることに取りつかれてしまう」とCohenさんは言う。
Instagramは今、Cohenさんをはじめとするいいね!に執着するユーザーに小休止を与えようとしている。Facebook傘下の写真共有サービスであるInstagramは、投稿に付くいいね!の数と動画の再生回数を表示しないテストの対象地域を7月から拡大している。このテストを実施している地域では、投稿がどれだけ人気を博しているのかが分からない。自分の投稿が獲得したいいね!と動画再生回数は確認できるが、他の人々には見えない。
この動きは、ユーザーの精神的健康を害する可能性のある機能や製品について、IT企業が見直していることを浮き彫りにしている。Twitterは、会話を見やすくするために、いいね!やRT(リツイート)をタップするまで表示しないようにすることを検討中だ。Facebook、Apple、Googleは2018年、スクリーンタイム(PCの画面を見続ける時間)を制限するツールを紹介した。7月には、2017年にいいね!ボタンを廃止したPinterestが、深呼吸や感謝の気持ちの持ち方など、心の健康のためのアクティビティを表示し始めた。Instagramの競合である写真アプリのVSCOは、画像に付いたいいね!の数を表示しない。
いいね!を非表示にすれば、Instagramユーザーが何を投稿するかや、他のユーザーとの関わり方が変わるだろう。Facebookの広報担当者は、Instagramがこのテストを開始した目的を「投稿がいくついいね!を獲得するかというプレッシャーを取り除き」、ユーザーが「本来投稿したいものを快適に」シェアできるようにすることだと説明した。
1月には、卵の写真がInstagram史上最多いいね!を獲得し、話題になった。卵のInstagramは人気を獲得した後、メンタルヘルスに注目を集めるために使われた。
オンライン生活から来るストレスを軽減することは、ユーザーの健康のためになるだけではない。ソーシャルメディア企業は、ストレスを軽減することがビジネスにも役立つことを知っている。結局、ユーザーがSNSを有益な場とみなさなければ、再訪しない可能性がある。
Facebookは、このテストの初期段階の結果に満足していると語った。テストに参加した人々へのインタビューで、いいね!の非表示はメンタルヘルスを改善すると思っているユーザーがいることが分かった。一方、ユーザーエンゲージメントの低下につながり、Instagramでの製品のプロモーションが難しくなると心配する向きもあった。
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