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Instagramの「いいね!」数を隠せばユーザーは今より幸せになるはずだ - (page 2)

Queenie Wong (CNET News) 翻訳校正: 編集部2019年08月19日 07時30分
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ソーシャルメディアのあり方を変えた「いいね!」

いいね!の総数は投稿したユーザーにしか見えなくなる
提供:Instagram
いいね!の総数は投稿したユーザーにしか見えなくなる
提供:Instagram

 いいね!の非表示は、Instagramでのユーザー行動を変える可能性がある。いいね!ボタンの発明が、Facebookなどでの人々の行動を変えたのと同じように。今では当たり前になっているいいね!ボタンは、ソーシャルメディアの競争的な面を強化し、多くのサービスを人気コンテストに変えてしまった。

 ニューヨーク大学のマーケティング心理学教授、Adam Alter氏は「いいね!ボタンがソーシャルメディアを大きく変えた。いいね!は社会的承認を意味し、投稿に多数のいいね!が付くことは、あまり付かないか、最悪まったく付かないよりも社会的地位が上になる」と語った。

 テクノロジーの中毒性に関する著書もあるAlter教授は、このテストが成功するかどうかは、Instagramがユーザーのフィードに表示する投稿の優先順位をどう決めるかにかかっていると語る。同社のアルゴリズムは、投稿が獲得したいいね!数などのエンゲージメント指標を含む多様なファクターを使って、フィードでの投稿表示の優先順位を決めている。

 いいね!非表示で投稿の「公共的価値は下がる」が、ユーザーは個人的に自分の投稿のいいね!数を確認できると同氏は語った。

 Instagramはまずカナダでこのテストを開始し、7月からオーストラリア、ブラジル、アイルランド、イタリア、日本、ニュージーランドに対象地域を拡大した。同社は、米国、あるいは月間アクティブユーザー数が10億人以上の世界全体にテスト地域を拡大するかどうかについてはコメントを控えた。

 Sour Bags & Totesのデザイナーで、35歳のカナダ人であるKasey Lahueさんは、Instagramはこのアイデアを放棄すべきだと考えている。このテストが始まって以来、Lahueさんはエンゲージメントが下がったことに気づいた。LahueさんのInstagram投稿はこれまで、投稿後30分で十数件のいいね!を獲得していた。だが今では、3時間たっても8件しかいいね!されないと、Lahueさんは言う。

 「このテストの目的は、人々があまりいいね!に集中しすぎないようにすることだが、私に言わせれば、かえって状況を悪くした。Instagramは、このアイデアを放棄したくないのなら、小規模ビジネスが奈落に落ちないようアルゴリズムを少し緩くした方がいい」とLahueさんは語った。

 Instagramは、どの投稿を優先させるかを決定するアルゴリズムを変更する予定はないし、いいね!数と動画再生件数を完全に非表示にする計画もないと言う。同社は、企業やクリエイターからもこのテストについてのフィードバックを集めている。

 トロントに拠点を置くマーケティング企業のHashtag Paidは、Instagramがカナダで一部のユーザーを対象にいいね!非表示のテストを開始した後、6月15日から7月1日にかけて、約200人のカナダのクリエイターを調査した。この調査で、回答者の51%のフィード上でいいね!が表示されなかったことが分かった。回答者の過半数が自分の投稿へのいいね!が減ったと答え、自分の投稿のいいね!が非表示になったクリエイターの18%が、いいね!が劇的に減ったと答えた。また、フォロワーが増えるペースも落ち、投稿へのコメントも減ったという。

 オーストラリアと米国に拠点を置くマーケティング企業Marketing Eyeの経営者、Mellissah Smith氏は、中小企業のエンゲージメントも減ったと語った。この状態が続けば、Instagramを衣服やジュエリーの販売に活用しているビジネスオーナーは、ユーザーのフィードでの投稿表示の優先度を上げるために、より多くの広告費を費やさなければならなくなると同氏は言う。

いいね!の多い投稿を見ると脳が喜ぶ

 いいね!数の減少は予想できないことではなかった。カリフォルニア大学ロサンゼルス校による2016年の研究で、10代のユーザーは、他の誰かがいいね!を付けた写真にいいね!する傾向が顕著であることが分かった。研究者は、この行為は同調圧力によるものだと考察した。10代の場合、多くのいいね!が付いた写真を見ると、チョコレートを食べたり金を獲得したりという楽しい体験をしたときと同じ脳の領域が活発に活動することが明らかになった。

 サーファーでクリエイターのAlex Hayesさんは、10代のころはInstagramでいいね!を獲得できる写真を投稿しなければというプレッシャーを感じていた。4年前にサメと一緒に写ったセルフィー写真を冗談で投稿したところ、これがバズったことで、いいね!への欲望が高まった。

 現在21歳のHayesさんは、社会的承認への渇望が投稿に影響したと語る。Instagramのユーザーやセレブたちが、自分の顔を老人のように加工できる「FaceApp」アプリからの写真を投稿した際、Hayesさんは自分への反応を期待して時流に飛び乗った。

 「おかしなことに、私はFaceAppの写真を投稿したものの削除してしまった。私のコンテンツに合わなかったからだ。あれは私らしくなかった」(Hayesさん)

 Hayesさんは、いいね!非表示は、社会的承認を追い求めるのではなく、創造性を追求することをユーザーに奨励するだろうと言う。

 栄養士のCohenさんは、Instagramがテストを開始した後もエンゲージメントは落ちていないと言う。いいね!と動画再生回数が表示されなくなったことで、これまでより大胆な投稿をするようになった。例えば、着せられた服がフィットしないほどスリムなマネキンをレポートする動画などを投稿した。

 Cohenさんは既にInstagramのテストを受け入れたのだ。

 「さようなら、いいね!。こんにちは、メンタルヘルス」とCohenさんは投稿した。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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