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LINE代表の慎ジュンホ氏が表舞台に出ることにした理由--素顔に迫る独占インタビュー - (page 3)

藤井涼 (編集部) 山川晶之 (編集部) 日沼諭史2019年10月09日 08時00分
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慎氏が考える「LINEの今後」

——2011年にLINEが誕生してから8年が経ちますが、どのようなフェーズにいると考えていますか。

 私たちとしては「第2の創業期」と言っています。メッセンジャーベースでここまで成長してきましたが、さらに成長するためには「ライフ・プラットフォーム」として、ユーザーの実生活のあらゆる場面で貢献しなければならない、というのが今のフェーズだと思っています。

 ですので、AIや金融などに事業領域を広げないといけないのですが、現状の体制では経営陣がすべての部門を管轄するとスピードが落ちてしまうので、各部門ごとに独立したカンパニー体制をとっています。各カンパニーのそれぞれの経営陣が、「LINE以上の会社を作るぞ」という意気込みでやっていますね。

 優秀な人材の採用には特に力を入れています。この4月にはグローバル基準の大胆な株式報酬制度を導入しました。新しい成長戦略にドライブをかけるのは「人」です。グローバル基準でトップクラスの人材をひきつけて、活力をもって挑戦をしてもらえるような魅力的な制度は何なのか。経営企画、財務、法務、IR、人事など、各ファンクションからなるメンバーで議論しました。結果として、報酬制度にも「WOW」をもたらす、他社にはないLINEオリジナルの制度になりました。

 総株式数比で10.8%のうち、取締役に対するストックオプションは年約1.2%に限定していて、従業員に対する報酬制度としては、国内でも異例のインセンティブになっています。グローバル基準で、トップクラスの方たちにも十分に魅力を感じてもらえるのではと思っています。スタートアップ企業のように事業成長や企業価値向上のために全社員で取り組み、その期間で得た果実を分かち合うことができる制度、大胆に挑戦したい人が大きく報われる制度として設計しました。

——組織制度を大きく変え、採用にも注力していると。

 そうですね。採用方法も7月からはエージェンシーの採用からリファラル採用に切り替えました。会社としてのLINEは業績も組織の規模も成長を続けています。しかし、チームの規模が2倍になったからといって、成果も2倍になるわけではありません。かえってスピードが遅くなるということもあります。

 ナンバーワンサービスのほとんどは、「それなりで満足する多数」ではなく、「最高を目指し続ける強い意志を持った少数精鋭」によって作られますので、組織が拡大しても小さなチームを保ち続けることは必須です。そのため、LINEは強いリーダーシップをもった「100のスタートアップ」が切磋琢磨する場として存在する必要があり、グローバル従業員数が2268人(LINE株式会社単体:4月末時点)になった現在も、卓越した小さなチームの集合体として勝負していけることが必要になります。

 現在のLINEでは、人材紹介会社経由での入社者比率は50~60%ほど。一方、リファラル(従業員の友人・知人紹介による採用)経由での入社者は20%程度に留まっています。しかし、リファラル経由の場合は応募から入社までのパーセンテージがエージェント経由の約10倍となっており、よりLINEにフィットする方と出会える可能性が高くなっています。私たちはこれによって、「Build Lean and Exceptional Teams」(最高を目指す、少数精鋭のチーム)を目指します。

 我々の業界は人材がすべてです。グローバル基準の本当に優秀な人に来てもらいたいと考えています。そして、やりがいがある挑戦できる環境の中でいきいきと働いてもらいたい。WOWを生み出していくために、LINEには、たくさんチャレンジできる環境があります。CWO制、カンパニー制、そして大胆なチャレンジが報われる報酬制度も準備できました。ぜひ一緒に挑戦したいという方に来ていただきたいです。

——LINEは今後、どのようにしてグローバル競争で戦っていくのでしょう。

 メッセンジャーとしての競争はほぼ終わっています。コミュニケーションだけのサービスでグローバル展開しようとするならチャンスはないと思いますが、LINEが次に目指しているライフ・プラットフォームという部分では、さらに広げていける可能性はあります。

 たとえば、1つのアプリにAIやFinTechなどを盛り込んだ完成されたサービスは、米国にもまだありません。また、東南アジアだと金融システムが遅れていて、金融サービスが安定していない国も少なくない。そういったところにはステーブルコイン(暗号通貨)が貢献できると思います。

 銀行サービスが提供しにくい場所で、ブロックチェーンによってそれと同レベルの決済・送金サービスを提供できれば、ものすごくいいイノベーションが生まれると思います。時間はかかるかもしれませんが、そういったイノベーションが起きる時がいずれ来るのではないでしょうか。

 今まで存在しなかったイノベーションを組み込んだライフ・プラットフォームをLINEが完成させれば、アジア圏はもちろん欧米の市場にも再チャレンジできると考えています。

——グローバルという視点では、日本発で世界でも通用するインターネットサービスはなかなか生まれていません。この現状をどう見ていますか。

 中国とロシアは別として、インターネットが米国で生まれたこともあって、サービスが米国で広まると、自然と他の地域でもそのサービスが使われるという流れになっています。実際には日本だけじゃなく、他の国発のサービスも少ないんですよ。でもスマートフォン時代になって言葉の壁を越えやすくなっているので、今までよりはチャンスがある。サービス的な発想や概念がどのくらい汎用的に受け入れられるかが大事です。

 たとえば、LINEのスタンプも最初はアジア圏、日本だけで流行しているという認識だったのですが、最近は欧米のサービスにもスタンプの機能があったりします。世界的に通用しそうな斬新なサービスを提供できるかどうかが肝なんですね。あと、国内目線で考えるのではなく、チャンスがあれば国を越えてグローバル展開するということも最初から覚悟すべきです。

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——最後に、LINEが企業として目指している姿を教えてください。

 会社にも寿命があります。以前「LINEの最後のイメージはありますか」と新入社員に聞かれたとき、僕は「延命するより、最後まで新しい大きなチャレンジをしていたい。それがLINEの最後のイメージになるということは約束できます」と答えました。自分がこの会社で頑張っている以上は、アジア圏では一番チャレンジできる環境がある会社だと認識してもらえると嬉しいですね。LINEでできて他の会社でできないことは、チャレンジできること、そしてグローバルに展開できる環境です。

 LINEはコミュニケーションツールとして大きく成長しましたが、最初は(NAVERの)検索部隊でした。でも当時、我々の提供する検索サービスはユーザーにはあまり喜ばれなかった。いまはコミュニケーションだけでは足りなくなって、実際のライフスタイルの中でどのように貢献できるかというところで、勝負をかけなければいけない時期です。

 ですので、LINEとして何をやりたいかというよりは、市場でいまユーザーが望んでいるものが何であるかに着目して、そこにどう提案できるかを考えるべきです。FinTechも我々がやりたくてやっているというより、いまユーザーが一番望んでいるものがFinTechだと考えているから取り組んでいるのです。LINEは今後も、ユーザーの課題を解決するイノベーションを起こし続ける会社でありたいですね。

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