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LINE代表の慎ジュンホ氏が表舞台に出ることにした理由--素顔に迫る独占インタビュー - (page 2)

藤井涼 (編集部) 山川晶之 (編集部) 日沼諭史2019年10月09日 08時00分
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毎日10時間の会議、個人のデスクはなし

——さまざまなサービスに携わり、かなり多忙だと思うのですが、日々の働き方についても教えてください。

 毎日10時間くらい会議をしています。タイや台湾、韓国のメンバーとテレビ電話を利用しつつ、多い時は20~30名で新しいプロジェクトについて議論しています。なので、個人のデスクはありません。

 偉そうに座っているより、みんなと集まって議論した方が新しいアイデアも浮かびます。私はプログラミングをしないので、プログラマーや企画担当者と直接話し合わないとちゃんとしたフィードバックができません。ですので、ほとんどの時間は社内で議論することに集中しています。楽しいから長時間でもあまり疲れませんね(笑)。

——東京に来て11年とのことですが、親会社のNAVER(ネイバー)がある韓国のソウルや海外へ行くことも多いのでしょうか。

 時期によって変わりますが、最近は東京に滞在していることが多く、東京が6割、ソウルが4割という割合です。あとはタイ、台湾、インドネシア、米国に行くこともたまにあります。

 ソウルではAI関連の事業も担当しています。AI分野は人材が足りないのが一番の課題です。すべてのリソースを集めないと大きなチャレンジができないので、私が掛け持ちしているという状況です。

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 以前、私がエンジニアをしていた頃は、米国の会社からのスカウトはめったにありませんでしたが、最近は大学生やインターンのレベルで声をかけられたりするので、本当にAI分野の人材獲得は難しくなっていますね。ちなみにLINEの場合、海外の人材は京都のオフィスで働きたいという人が多いですね。環境がとてもいいみたいです。

——親会社のNAVERと、LINEの事業に対してやりとりすることはあるのでしょうか。

 NAVERとはあまりやりとりはありません。市場が異なるので事業展開はLINEで自主的に判断してくださいと言われていて、ほとんど任されています。みなさんには「NAVERから口出しされているんじゃないか」と思われがちですけど(笑)、実際にはほとんど何もありませんね。

 ただ、LINEだけじゃなく、NAVERは他の子会社に対しても同じスタンスで接していると思います。最近、NAVER LABSというロボット開発の会社ができたのですが、そこに対しても投資という形で支援するだけで、あとは現場に任せているみたいですから。

「LINE Pay」は“還元”以外で差別化していく

——慎さんがいま注目しているテクノロジー領域は何ですか。

 やはりAIとFinTechですね。この2〜3年は特にAI分野の進化が驚くほど早い。ただ、人材はほとんど米国か中国に流れていますので、その中で我々がいかにして競争できる環境を作れるかが課題です。

 また、AIといってもさまざまな分野があります。そのなかでもイノベーションが起こったのは今のところディープラーニングだけです。これはパターン認識するエンジンです。その部分ではすでに人間より優れているところがありますが、人工知能はパターン認識以外もあります。

 将来的には、新しい理論でパターン認識以外のところもカバーするかもしれませんが、AIが100%人間の領域をカバーするというより、共存してシナジーを出すと思いたいですね。とはいえ、大学にいた時は、今のような時代が来るのは100年後じゃないかと思っていましたから、私の予測精度はあまり高くないですね(笑)。

——FinTechについては、QRコード決済や顔認証決済が普及している中国と比べると、日本のキャッシュレス化はずいぶん遅れています。

 日本は中国に比べるとFinTechではるかに遅れているのは間違いありません。キャッシュレス決済、バーコード決済は今はまだ決済全体から言えば数パーセントの利用率だと思います。市場自体を開拓しないといけない時期ですから、こういう状況では1社だけがカバーするより、各社が激しく競争する方が革命を早く起こすきっかけになります。

 他の国と比べると日本はキャッシュレス化のスピードは遅いですが、各サービスがものすごく頑張っている国はその後いい発展をしています。中でも、メッセンジャーベースの決済サービスや金融サービスは、友達同士で個人間送金したりできるというメリットがあります。そうしたユーザビリティを考えると、新鮮なアプローチができる環境はLINEにはあると思います。LINEらしい金融サービスが提供できるかどうかが勝負です。

——キャッシュレス決済では、「LINE Pay」のほか競合サービスである「PayPay」や「メルペイ」などが還元率を高めるなど、キャンペーン合戦が続いています。

 今は黎明期なので、多くのユーザーに広げるためにもキャンペーン合戦は必要不可欠だったと思います。ただし、LINEとしては今期やったような大きなキャンペーンは今後は基本的にはしないつもりで、サービスの差別化というところで勝負したいと思っています。

 金融サービスはブランドの信頼度がハードルになっていて、そのハードルを越えて利用してもらうにはコストがものすごくかかります。しかし、LINEの場合は1人あたりのユーザー獲得単価が非常に低いんです。たとえば、最初にユーザー登録したら何ポイントプレゼントしますというキャンペーンだとあまり登録しないけれど、友達からポイントをプレゼントする形だと、せっかく友達から送ってもらって何もしないのは申し訳ないから会員登録しようという気持ちになります。

 そういう意味でも、メッセンジャーはユーザーを集めやすいプラットフォームになっていると思います。ですから、キャンペーン合戦になっても効率面では負けません。ただ、基本的にはキャンペーンよりサービスを充実させて勝負したいですね。

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