グーグルが考える「AI×プログラミング」の授業案--町田第三小学校で公開授業 - (page 2)

教員や校長はどう感じた?

 公開授業の当日に、この取り組みについて町田第三小学校の関係者らに話を聞くことができた。

 まず、この授業を担当した木村剛基教諭は、「児童たちが新しいことに対して、楽しみながら学んでいる姿が見られてよかった」と率直な感想を話してくれた。自分はプログラミングが得意ではないが、グーグルに頼りながら取り組みを進められたことが心強かったという。一方で、授業でプログラミングを扱うには、児童たちのローマ字入力やコンピュータの基本操作が課題になると述べた。プログラミングを行う前段階に時間が必要だというのだ。

町田市立町田第三小学校 野末直美校長(写真左)と町田市教育委員会 指導室長の金木圭一氏
町田市立町田第三小学校 野末直美校長(写真左)と町田市教育委員会 指導室長の金木圭一氏

 同校の野末直美校長は、「今回のグーグルとの取り組みでは、テーマや教材が実生活に結びついていたこともあり、子どもたちの世界を広げることができた」と述べた。児童たちが動画教材を見ながらAIについて発見したり、プログラミングでは工夫する場面も多く見られた点が良かったという。また、同校ではプログラミング教育に取り組んで3年目になるというが、野末校長はグーグルの支援を受けることで教師のスキルアップにつながったことも評価した。

 ほかにも、教師全員がLTE環境のChromebookを持っていることも、準備段階の効率化に寄与したという。同校長は「初回ミーティング以外は、すべてハングアウトを活用してミーティングを効率的に進められた」と話し、忙しい教師たちの負担軽減になったようだ。同じく、町田市教育委員会 指導室長の金木圭一氏も「町田市では、いつでもどこでもデータにアクセスできる環境を構築して、教師のライフスタイルに合わせた働き方ができるように整備を進めている」と述べた。育児で早く帰宅する教師や、休日に出勤する教師らに対して、柔軟な働き方を実現していきたいというのだ。

 一方で、課題点について野末校長は、「教員もプログラミングに慣れていない環境で、ツールの動きを試したり、児童の活動の様子や達成を予測しながら授業デザインを組み立てることがむずかしかった」と述べた。“ここまで進みたい”と思っていてもできなかったり、逆に教師が、“これはむずかしいだろう”と思っても意外に子どもたちはできたりと、授業の展開に苦労したという。こうした点をどのように進めていくかが、今後の課題となる。

 とはいえ、プログラミングやAIが社会の何に有効で、どのような課題解決につながっているのかを学べる環境は、今の子どもたちにとって非常に価値ある。2020年度の本格実施に向けて、現場はまだまだ教員の負担が大きいと思うが、社会や未来につながる授業をつくってほしい。

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