ソフトバンクは、7月26日から4日間にわたって新潟県の苗場スキー場で開催された野外音楽フェス「FUJI ROCK FESTIVAL '19」で、5Gのプレサービスを提供した。
5Gによるサービスが提供されたのは、会場の「OASIS」エリアにあるソフトバンクブース内。同ブース内には会場内の8カ所に設置されたカメラの映像を、5Gのネットワークを通じて伝送。各会場の様子をブース内に設置されたモニターで同時にチェックすることができた。
この映像は、ソフトバンクが提供したスマートフォンアプリ「FUJI ROCK '19 by SoftBank 5G」を通じて、会場外からも会場の様子を確認することができた。ただし、こちらは通常の4Gネットワークで視聴することを考慮し、直接映像を配信するのではなく、1〜5分ごとに写真を配信する仕組みとなっていた。
また会場の様子をCGで再現した「FUJI ROCK’19 EXPerience by SoftBank 5G」というアプリでは、カメラの映像をもとに会場の混雑具合を分析。それをCGに反映させることで現場の雰囲気を味わえる仕組みも用意されていた。
会場内にはもう1つ、VRヘッドセットを装着することで、5Gのネットワークを通じてVR空間内でライブ映像を視聴できるだけでなく、同じヘッドセットを装着した人達とアバターを通じてコミュニケーションできる仕組みも用意。同時期に東京・六本木で開催されていた「テレビ朝日・六本木ヒルズ夏祭り SUMMER STATION」のソフトバンクブースにも同じヘッドセットが用意されており、苗場の会場と六本木という離れた場所同士の人達が、ライブを見ながら会話をしたり、アバターを通じて握手やハイタッチをしたりするなど、従来にないコミュニケーションを楽しむことができた。
今回用いた5Gのネットワーク環境はプレサービス専用のもので、基地局も専用に用意した移動基地局車などを使用したほか、コアネットワークも商用環境とは異なるものを用いているという。4Gのネットワーク上で5Gを展開するノンスタンドアロンでの運用となり、周波数帯は5Gが3.7GHz帯、4Gが700MHz帯を使用しているとのことだ。
ちなみに、5Gの周波数帯に関しては、電波免許割り当て前に設置の申請をしていた関係上、ソフトバンクに割り当てられた帯域を使っているわけではなく、商用環境と全く同じというわけではないとのこと。ただし電波特性上、大きな違いはないとしている。
今回のプレサービスではその5G基地局と、専用に用意された5Gスマートフォンを無線で接続し、データ通信をする形となる。5Gスマートフォンとして用意されたのはソニーモバイルコミュニケーションズ製とシャープ製の2種類で、前者は2019年2月の「MWC 2019」で公表された5G端末、後者はシャープが公表している5G端末がベースになっているという。
ただし今回5Gスマートフォンは、USBテザリングでPCやサーバーなどをネットワークに接続する、モデムとしての役割に限定されている。そのため実際に操作することはできず、スマートフォン上で5Gのネットワークを利用できるわけではなかった。
そうしたことから、今回の取り組みは5Gの実証実験の延長線上にあるようにも見える。だがソフトバンク側の説明によると、従来のように限られた場所や人だけしか体験できないものではなく、一般の多くの人達が5Gを体験できる環境として提供したことから、プレサービスとして打ち出すに至ったと説明している。
今後も断続的にはなるものの、一般の人達が多く参加するコンシューマー向けのイベントを中心に、2020年春の商用サービス開始まで、5Gを活用したサービスを展開し、アピールを続けていきたいとしている。
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