ソニーは7月30日、2020年3月期第1四半期の連結業績を発表した。売上高は前年同期比1%減の1兆9257億円となったものの、CMOSイメージセンサーや半導体などを持つ、イメージング&センシング・ソリューション分野の大幅増益により、営業利益は同18%増の359億円を記録。第1四半期としては過去最高の営業利益となった。税引前利益は、スポティファイの株式評価益と売却益を得ていた前年同期に比べ、26%減の2310億円、四半期純利益は33%減の1521億円になった。
今期から組織変更と担当役員の変更にともない、セグメント区分の見直しを実施。従来のホームエンタテインメント&サウンド分野、イメージング・プロダクツ&ソリューション分野、モバイル・コミュニケーション分野を、エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション(EP&S)分野にまとめた。また、従来の半導体分野は、イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)へと名称を改めている。
半導体分野の名称変更に対し、ソニー 専務CFOの十時裕樹氏は「半導体分野におけるイメージセンサーの割合は、すでに85%に達している。イメージセンサーは、アナログとデジタルのハイブリッド的デバイスで、今までの半導体とは設備なども異なる。スマートフォン向けに急激に需要が拡大し、設備投資負担も大幅に下がると計画している。今後はAIセンサーの開発なども推し進め、ソニーグループの成長戦略の柱の1つなる重要な事業。こうした理由によりセグメント名称を変更した」と背景を話した。
I&SSは、売上高が前年同期比で14%増の2307億円、営業利益は同204億円増益の495億円。モバイル機器向けイメージセンサーが大幅な増収になった。十時氏は「イメージセンサーが主要スマートフォンメーカー各社の中高機種に採用されている。センサーサイズの大型化や多眼化などの需要も高まり、生産設備はフル稼働の状態」と現状を説明した。
一方、ゲーム&ネットワークサービス分野は、売上高が前年同期比3%減の4575億円、営業利益が同96億円減益の738億円と減収減益となった。前年同期には、自社制作ゲームソフトにヒット作があったが、今回はそこまで売上が伸びなかったことが原因としている。しかし「PS4」ハードは出荷累計販売台数が1億台に達するなど、好調さを維持。「発売から7年目となった今も年間1500万台の販売を見込めることは、支持されている証左と考えている」(十時氏)とした。
音楽分野は、モバイル機器向けゲームアプリ「Fate/Grand Order」が減収になったものの、EMIの連結により、音楽出版の売上、ストリーミング配信が増加し、売上高は同11%増の2023億円、営業利益は62億円増益の383億円となった。
映画分野は売上高が同6%増の1861億円、営業利益が同76億円の損失から80億円改善し、4億円の利益となった。第1四半期では損失計上するケースが多い映画分野だが、今期は5年ぶりの利益を計上。「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」が10億ドルを突破するなど、劇場興行収入の増加が寄与しているという。
落ち込みを見せたEP&S分野は、テレビ、スマホ、デジタルカメラの販売台数減が響き、売上高が同15%減の4839億円、営業利益が同76億減益の251億円。競合他社との価格競争が激化したテレビの販売台数は23%減となっているが、十時氏は「新製品の拡販や価格対応施策により6月の販売は持ち直している」とコメントした。
スマホについては「海外市場における中高価格帯のモデルの販売台数が当初計画通りにはいっていない。また日本では端末代金と通信料の分離問題が取り沙汰されているが、この動向をキャリアは慎重に見ている。それにあわせて、私たちも見方を慎重にしている側面はある」とした。
2020年3月期通期の売上高は、前回公表値から800億円減の2兆1600億円へと下方修正。あわせて、テレビとスマホの販売台数も下方修正している。
金融分野は、売上高がほぼ横ばいの3369億円、営業利益が55億円増益の461億円。ソニー生命が減収になったものの、ソニー銀行による有価証券運用益が増加した。
2020年3月期通期見通しは、売上高が4月時点の見通しから2000億円減の8兆8000億円としたものの、営業利益は8100億円、税引前利益は7700億円、当期純利益は5000億円と、4月時点の公表値を据え置いた。
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