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「私の後継者は創業者意識を持つ人に」--シャープ戴会長兼社長ロングインタビュー後編 - (page 3)

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影響を受けた2人の経営者、挑戦する大切さやスピード感を学ぶ

――戴会長兼社長が、経営者として、一番影響を受けたのは誰ですか。

 2人います。ひとりは、大同股份有限公司の林挺生董事長です。大同大学時代の校長であり、10年間、上司でした。私が最初に就いたのは、塗料の技術者の仕事です。ですから、実は私は塗料には詳しいんですよ(笑)。ひとくちに「黒」といっても、360種類もあるのを知っていますか。

 しかし、入社してから半年後に、私は「この仕事には興味がないので辞めたい」と思い、辞表を書いたのです。どうしてもこの仕事が私には面白いとは思えませんでした。しかし辞表を返され「どんなことに興味があるのか、やりたい仕事を選んでほしい」と言われました。そこで、日本の駐在員の試験を受けて、日本で仕事をすることを選んだのです。私は3番目の成績だったのですが、上位2人が兵役で日本に行くことができず、私が日本に行くことになり、大同日本で働くことになりました。26歳のときのことです。

 10年後に、鴻海精密工業の郭台銘さんに出会い、面接をして、採用が決まりました。そこで、大同に離職の届けを出しましたが、このときも最初は許可されませんでした。いろいろと考えた結果、同じ大学の先生などにお願いして、ようやく辞めることができました。

 林董事長は、台湾一の経営者です。もともと大同大学は、事業経営の授業が毎週1時間あり、それを1年生から4年間履修します。その授業の教壇には、林董事長自らが立って教えてくれるのです。大学1年生から経営に対するモノの考え方などを身につけました。

 そして、もうひとりの影響を受けた経営者は、鴻海精密工業のテリーさんです。テリーさんも台湾一の経営者です。挑戦する大切さや、スピード感といったものをテリーさんから学びました。

――戴会長兼社長は、今67歳ですが、70歳になったら、何をしますか。

 田舎に戻りたいですね。仕事をせずに、自由に過ごしたいと思っています。もう45年間働きましたから(笑)。私の父は公務員で、40年間仕事をしました。そのときには、「40年もの長い期間に渡って、仕事をするなんてあり得ない。私はその前に引退したい」と思っていましたが、今ではそれを越えてしまっていますよ(笑)。

――シャープの仕事が最後ですか?。鴻海に戻ったりはしないのですか。

 シャープの仕事が最後です。3年前シャープに来たとき、私はまさに片道切符でやってきました。これが最後です。そのあとは休みです(笑)

「3年前にシャープに来たとき、私はまさに片道切符でやってきました。シャープの仕事が最後です」
「3年前にシャープに来たとき、私はまさに片道切符でやってきました。シャープの仕事が最後です」

日本の若いビジネスパーソンに伝えたい7つのこと

――もし、20代の戴会長兼社長に会ったら、どんなアドバイスをしたいですか。

 若いときには、もっとしっかりがんばって、お金を貯めれば、家族が安心できる。責任をしっかりと持ってがんばれ、といいたいですね。

――今の日本の20代、30代のビジネスパーソンに言いたいことはありますか。

 私は、2016年8月21日に、社長就任直後に、経営基本方針を打ち出しました。そこで、幹部たちに言ったことがあります。私が日本の若いビジネスパーソンに言いたいことは、これと同じです。1つめには、「チャレンジスピリットを持って、絶えず挑戦を続けること」、2つめには「すべての面でスピードを劇的にアップすること」、3つめには、「狼性を持つこと」。「狼性」というのは、狩猟に出た狼のような企業文化のことです。するどい嗅覚と八方にらみで動向を探って、機会をうかがい、好機とあれば勇猛果敢に邁進する。その一方で、規律あるチームワークと高い戦略性を持ち、不屈の精神で困難を克服し、貧欲に勝利を追求することを目指します。

 そして、4つめには、「ワークハード、ワークスマート」を目指すこと、5つめには、「目標管理(KPI)」と時間管理を徹底すること。これは、日本に駐在した時に、日本の上司から要求されたもので、その大切さを学びました。そして、6つめには、「会社は自分の家であるという意識を持ち、自ら率先して行動すること」です。鴻海には、社内に徹底された言葉として、「生活条件と戦闘条件が一致するものは強い」という言い方をしています。鴻海時代には、この言葉を、部下に対して、よく話しました。そして、「赤字は絶対に許されないという認識を持つ」ことも大切です。日本の若いビジネスパーソンには、こうした7つのことを意識して欲しいですね。シャーブの中には、この意識が根づきつつあるという認識はありますが、私としては、もっともっと徹底をしていきたいですね。

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