Appleは米国時間7月25日、Intelのスマートフォンモデム事業の大半を10億ドル(約1100億円)で買収することで合意したと正式に発表した。同社は、ワイヤレスチップ開発を大きく前進させることになりそうだ。
Appleは、Intelの知的財産や設備などを取得するとともに、従業員約2200人を迎え入れる。買収は第4四半期に完了する見通しだ。
Appleのハードウェア技術担当シニアバイスプレジデントのJohny Srouji氏は、プレスリリースで「Intelと長年にわたって連携してきた。このチームが、ユーザーに世界最高のエクスペリエンスをもたらす技術を設計するという、Appleと同じ情熱を共有していることを知っている」と述べた。「iPhone」の現在のモデル(「iPhone XS」「iPhone XS Max」「iPhone XR」)にはIntelのモデムが採用されているが、以前のiPhoneにはQualcommの4Gチップが採用されていた。
新たに優秀なエンジニアが加わるとともに、「革新的な知的財産を大規模に取得することで、将来の製品開発が促され、Appleは今後さらなる差別化を進められるようになる」と同氏は述べた。
Intelの最高経営責任者(CEO)Bob Swan氏は声明で、同社はこの買収によって、開発してきた「非常に重要な」知的財産とモデム技術を手放すことなく、スマートフォン以外で利用される5Gの開発に専念できるとしている。
Swan氏は、「ネットワーク事業者、通信機器メーカー、クラウドサービスプロバイダーなどのわれわれの世界中の顧客層のニーズに最も密接に関連する分野となる5Gに全力を注ぐことを楽しみにしている」と述べた。
Appleは、同社の端末のハードウェアとソフトウェアをすべて自社で保有しようとしており、コンポーネント市場での取り組みを拡大している。独自のチップを開発することで、リリースする機能がこれまで以上に適切に制御できるようになり、新型端末の発売スケジュールも管理しやすくなる。
Appleは、特許侵害で競合他社を提訴している華為技術(ファーウェイ)などのモバイル企業から自社を保護するために不可欠な特許も手に入れることになる。
さらにAppleは、Intelの5G技術を利用することで、自社のスマートフォンを高速な5Gワイヤレスネットワークに接続するためのチップを開発する取り組みを一気に加速することにつながる可能性がある。AppleとQualcommが4月に係争に終止符を打ち、5Gチップの供給に関する複数年契約を締結すると、Intelは5Gの携帯モデム事業から撤退した。しかし同社は、Appleにメリットをもたらす可能性のある重要な特許を保有している。Intelの技術によって、5G対応iPhoneが2019年に発売されることはないかもしれないが、Appleの社内開発は加速する可能性がある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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