クラウド人事労務ソフト「SmartHR」を展開しているSmartHRは7月22日、シリーズCラウンドとして、約61億5000万円の資金調達を発表。サービス面では、2019年秋には、従業員情報を分析できる「ラクラク人事レポート機能」を公開予定であることも明らかにした。
調達額の内訳は、第三者割当増資が約55億円(追加投資枠含む)、新株予約権付社債が約6億5000万円。国内の新規投資家として、シニフィアンが運営する「The Fund」や、SaaSベンチャー企業への投資および支援に特化したベンチャーキャピタル「ALL STAR SAAS FUND」と、ほか1社。また海外の新規投資家として、サンフランシスコを拠点とする投資ファンド「Light Street Capital」と、ほか1社としている。なお、THE FUNDとALL STAR SAAS FUNDは、いずれもSmartHRが出資1号案件。また既存投資家として、Coral Capital(旧500 Startups Japan)が運用するSmartHR専用ファンド「SmartHR SPV」や「WiL」「BEENEXT」も参加している。
同日行われた説明会において登壇したSmartHR代表取締役の宮田昇始氏は現況として、SmartHRのサービス開始から約3年で2万6000社以上が利用中であり、99.5%の企業が継続利用を行っているという。この高い継続理由が、特に海外投資家が評価した部分でもあると説明する。
SmartHRでは、外部連携の強化とオプション機能によるプラットフォーム化を進めており、「雇用契約機能」や「カスタム社員名簿機能」をリリース。そして新機能として開発を進めているラクラク人事レポート機能は、SmartHRに蓄積された人事データをもとに、従業員の入退社数や平均勤続年数の推移など、見たい情報を簡単に抽出し集計やグラフ化が可能。多用な活用ができるとしている。
このほか、人数規模の大きいの企業における課題として、大規模チェーン店や工場で働くパートなどの従業員がスマートフォンを持っておらず、SmartHRを活用しにくい状況もあるため、店舗管理者向けのiPadアプリを開発。現在は一部ユーザーに限定して提供しているという。似たような課題として、若年層のアルバイト従業員はメールアドレスを持たない、あるいはわからないため、給与明細が送れないと言う状況もあるとする。そのため、時期未定としながらもLINEとの連携を計画しているという。さらに、国内の外国人労働者に向けた多言語対応も10月中旬から公開予定としている。
今回の調達資金については、人材採用や人件費などの“人”とマーケティングに対して、大まかに半々程度の割合で投資をかける考え。宮田氏は、SmartHRを活用することで解決できる課題が顕在化している顧客だけではなく、潜在層にもアプローチしていくという。「我々の領域は、いまだに紙とハンコ、手書き、役所に持っていくということが残っている世界。サービスの存在さえ知ってもらえれば高い確率で導入してもらえることがわかっている。こういったことを課題として感じていない顧客に啓蒙していきたい」とした。
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