世界で最も客室数が多いホテルはマリオットだが、ヒルトンやインターコンチネンタルといった名だたる大手ホテルを押さえて、世界2位にランクインするホテルブランドが、創業からわずか6年のインド発のスタートアップ「OYO」であることをご存知だろうか。
日本ではヤフーとともに合弁会社を設立し、3月に家具家電付きで、敷金・礼金0円の賃貸アパートサービス「OYO LIFE」を開始したことでも話題になった同社だが、グローバルではホテル運営のユニコーン企業として知られている。
7月18日に都内で開催されたカンファレンス「SoftBank World 2019」の基調講演で登壇した、OYO創業者のリテシュ・アガルワル氏は「あと数カ月で世界一のホテルブランドになる」と自信を見せる。25歳という若さで、いかにして同氏は“ホテル王”へと登りつめたのか。様々なデータによってそれを証明した。
現在、OYOはアジアや欧米など世界80カ国に110万客室を展開しており、131万室のマリオットホテルとの差は21万室。しかし、OYOは毎月9万室というハイペースで客室が増えていることから、今後数カ月のうちに世界一の座も獲得できると見ているという。
なぜ、これほどのスピードで客室を増やせるのか。それは同社がもつ1億を超えるデータや、全世界1000万以上のビルデータベースなどを活用して、通常は半年から1年かかる物件の契約までの時間を最短で会議3回、長くても5日間まで“超短縮”しているからだという。
また、デザインアルゴリズムによって客室におく家具や壁面の素材、絵画などを選ぶことで、客室の稼働室を2倍以上に上げることに成功したとアガルワル氏。中には3倍になった客室もあるという。米国のダラスにあるOYOホテルは、過去3カ月にわたり平均85%以上の稼働率を実現していると胸を張る。
客室の価格設定にもAIを活用している。機械学習によるアルゴリズムを活用して、1日あたり5000万件もの価格調整を実施しているという。毎時14万4000件のデータを解析しており、リアルタイム予測の正確性は97%に達すると説明した。
このほか、従業員向けに客室清掃管理アプリを提供しており、1人あたりの清掃客室数が4部屋から10部屋に増えるなど、生産性が2.5倍に上がったことなどをアピールした。
物件獲得から客室デザイン、価格設定、さらには従業員の働き方にいたるまでAIやテクノロジーをフル活用することで、従来のホテル業界の常識ではあり得ないスピードで急成長を遂げたOYO。アガルワル氏は、近いうちに世界一のホテルブランドとなり、今後もAIによってホテルや不動産業のあり方を変革していくと力強く語った。
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